第2話 海難、そしてあの日の青写真

大西洋沖たいせいようおきえいアメリカ渡航船とこうせん沈没事故発生ちんぼつじこはっせいから1時間じかん14|分後ふんご


    1がつ17にちPM1:45

 大西洋沖沈没事故現場たいせいようおきちんぼつじこげんば


1がつという真冬まふゆえいアメリカ渡航船とこうせん大西洋たいせいよう広大こうだい大海原おおうなばらに、船体せんたいやく6わりをすでにしずめている。

このふね全長ぜんちょう64m、はば10.7m1120そう㌧のふねで、事故じここした当時とうじ乗員じょういん乗客じょうきゃくは140にん


その140にん事故後じこご現状げんじょうはこうだ。


くしくも救助きゅうじょされ、予備船よびせんれたもの


事故じこ反動はんどうによりうみほうされたもの


しずみゆくふねうえ必死ひっしふねにしがみついているもの、におおきくけられている……。


のだが…実際じっさい救助きゅうじょされたひとはごくわずかで、大半たいはんひとは、ふねけられていた予備船よびせんれない人達ひとたちであった。


いわゆる、せい狭間はざまにいるひと圧倒的あっとうてきおおかったのである。


それは、1がつ3日みっかに17さいむかえたばかりの少年しょうねん、レオもその狭間はざまにいる1人ひとりで、うみほうされたものであった。


「たっ!たすけてゴボボガボッ」


大西洋たいせいようつめたいなみはレオを平然へいぜんみ、確実かくじつにその体温たいおん体力たいりょくいでいる。


そんななか、レオはおぼれながらもまわりを見渡みわたしていた…。


だれかを必死ひっしさがしているようだ。


「みんな…スティーブ…デフォー…

ウィリアム……おまえらは無事ぶじなのか?……みんな…みんな……俺達おれたちはこれからだろ?……」




ときはさかのぼり……

えいアメリカ渡航船沈没事故発生とこうせんちんぼつじこはっせいから


7日なのか4時間じかん38分前ふんまえ

1がつ10日とおかAM7:53

えいアメリカ渡航船出航とこうせんしゅっこう


イギリスのとあるみなと……

ここはアメリカ渡航船とこうせん人達ひとたちの、活気かっきあふれていた。

その活気かっきなかに、レオをふくむ4人組にんぐみ少年達しょうねんたち姿すがたもあった。



こののレオはどこか上機嫌。じょうきげん

いまからるこのふねが、7日後なのかご事故じここすことよしもなかった。


たのしみだなぁアメリカ」


調子者ちょうしもののウィリアムと温和おんわなデフォーも興奮こうふんしている。


「あぁ!ここからが俺達おれたち人生じんせいはじまりだ!」


「だね!ドキドキ♫」


彼等かれら3人のよう興奮こうふんしながらも、スティーブは冷静れいせいつづいてった。


「みんな…これからくアメリカという

くに自由じゆうくにだ、イギリスでゆめことさえできなかった僕達ぼくたちだったけど、あのくにゆめ現実的げんじつかんがえられる、まれもそだちも関係かんけいないこの1つひとつなんでもできるくになんだ」


この凛々りりしい発言はつげんをするスティーブは、この4人組にんぐみのリーダーだ。


じつはこの3にんにアメリカへの渡航とこうさそったのもスティーブである、みんなかれこと信頼しんらいあいしていた。


ふねんでく、レオ、スティーブ、デフォー、ウィリアムの4にんこころ

かろやかで希望きぼうちていた。


みなとくも1つひとつない快晴かいせいうたうようにうカモメ、祝砲しゅくほうこえる汽笛きてき

そしてのぼっていく朝日あさひは、ちょうどふねかさなり、まるで……

後光ごこうしているよう………


レオたち4にんはそれらの光景こうけい


僕達ぼくたち出発しゅっぱつ祝福しゅくふくしている」


かんじずにはいられなかった。

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