第十殺殺気の極意!放て!殺された父の奥義!


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殺気、それは殺す気を相手に犇々と感じさせるモノ、殺害意欲を誇示して相手に威圧を与えること、否!古来中国において殺気を極める事は殺人拳を極めることと同じ!!!


心霊医療!自分の気を与えて相手の気枯れした生命エネルギーを補完する、しかし!殺気による心霊医療は自らの殺気で自身のあらゆる害悪、毒!病魔!を抹殺する事が可能!


その中国殺人拳に二つの流派があった、蛇拳と蟷螂拳、二つは対立する関係で………


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「女が死んでるなぁ!犯してぇなぁ!?」


「なんだてめぇ……?」


九蘭王馬は怪訝な目を向けた、カーキ色のジャケットをして上半身に蟷螂のタトゥーをしている男、それはもう奇抜であった。


「エドガー・アラン・ポーは知ってるか?知らねぇよな?江戸川乱歩じゃないぜ?今からするのはまぁ俺がネクロフィリアって話なんだがお前はその女の恋人かなんか?」


「なわけねぇだろこんな年増」


「だーよーね~~なら帰れ!こっから先は見世物じゃねぇぞ!」


「………お前イカれてるな」


「だーろーうーね~~だったらなんだ!?このチンピラ!?殺すぞ!?」


殺気、それは常人が放てる量ではない。


「その緑色に蟷螂のタトゥー、お前、カラーギャングのグリーン・マンティスの人間だろ?あそこはイカれたやつ多いもんな」


「そーうーだーよ~~で?」


「真宴高校番長として跳ねっ返りにナメられた態度とられたら逆に殺したくなるんだわ?分かりますか?寄生虫で頭おかしくなってるから分ーかーらーなーいーか~~?」


「キサマァ!!!!!今こそ見せてやろう!天魔蟷螂拳の力を!!!!ショアッ!」


飛び跳ねて襲うグリーン・マンティスのチンピラ、それに九蘭王馬は今しがた感じた苛立ち、怒りをこの男にぶつけようとしていた、その結果、怒りから派生した膨大な殺気だけで相手を縮み上がらせてしまった。


「なぁーん!?!?」


グリーン・マンティスのチンピラはそのままなにもしないまま自由落下して着地する、他にも冷や汗が夥しく地面に着地していく。


「天魔蟷螂拳見せてくれるんじゃねーぇーのーか~~どうした?ビビったかぁ!?」


「ヒッ!?なわけねぇだろ!?天魔蟷螂拳の力を見せてやる!?」


極度の恐怖という極限状態から放たれた貫手が喉元に迫り、死を予感させて、九蘭王馬の頭の中に走馬灯が巡った。


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九蘭覇馬くらんはま、アメリカ裏ボクシング最強の男、通称ハマー、九蘭王馬の父親である。


アメリカ裏ボクシングとは地下格闘技の一つであり、裏社会のマフィアやギャングが取り仕切る闇の興行である。


人間は自分自身の力を三割も使えない、その三割の力で上手くスポーツ化した殴り合いをするのが表のボクシングである、対して裏のボクシングはそうした自分自身の力、潜在能力を最大限まで出せる暴力狂がボクシングの技術を使って殺し合いをするモノである、裏ボクシングのチャンピオンの別名が『バイオレンス・マスター』と呼ばれるだけで分かるだろう、そこにあるのはコロシアムだ。


そこで日本人初全米裏ボクシングチャンピオン、『バイオレンス・マスター』と呼ばれたのが九蘭覇馬、ハマーであった。


チャレンジャーが後が立たないが、その全てを撲殺してきた、ただ、一人を除いて。


父親の勇姿を見るため祖父、九蘭神馬くらんじんばに連れられて不良中学生だった九蘭王馬は渡米して父親の殺される様を観戦する事になった、憧れの父親を敗北させてそして父親の偉業と威光を踏みにじる男、それが勝田咲だった。


「なんだ!?こいつぁ!?」


何度も殴る、キングコングに殴られる小人、という有り様だったがそれでも倒れない、そしてその小人は冥王を腕にまとっていた。


「ガバッ!!」


悪魔の牙が父親の腹部に直撃した、それにより場外に吹っ飛ばされる父親、グローブ越しからの威力でも伝わった殺気、それにより、父親の体は粉微塵に四散していった。


「親父ィイイイイイイイイ!!!」


暗黒街の悪夢ダウンタウン・ダウンと呼ばれていた勝田咲、どこからか調達した資金によるヴァイスファンドにより世界中の裏社会を若干二十歳ぐらいで支配した若者。


彼の脅威は単に誰も彼を殺せないことにあった、『不死身の勝田』と呼ばれていた。


同時にその欲深さから第六天魔王と呼ばれていた、あぁそうか、天魔、天魔ねぇ……


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「ヤツの差し金か……ならしっかり……」


「アエッ!?エッ!?」


アッパーされた拳、それにより貫手していた手のひらは勢いのあまりそのまま曲がってはいけないほど後ろに曲がってしまった。


「死ね」


殺気に満ちた右ストレートの拳が相手の左回り頬に当たる。


「ゴファアアッッ!!!!!!」


すると、殺気により粉微塵に四散した。


「ちっ、駄目だ、これが通用するのは格下だけ………もっと色々鍛えないとな………」


九蘭王馬は死体を増やして今度こそその場を後にしたのだった。

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