第五殺揃う八大旧魔人王、襲来する新魔人王
「それでは名簿をとっていく……イフリートの『アル・ダジャール』!!」
中東の民族服の装いに顔上半分全てを包帯でおおった青年がそう告げた。
「ベルゼビュートの『グラン・ギニョール』!」
全身黒甲冑をしたくぐもった鈍い声の中年男性がそう名乗りをあげた。
「エリスの『デスピナ』」
異様に伸ばした右指の爪達に黒いマニキュアを塗り、黒い口紅をした紫髪縦ロールに派手なドレスをした女が名乗りをあげた。
「金毛白面の者の『妲己』~~」
ウェーブ黒髪、狐耳に狐の尻尾のある赤色の鮮やかで艶やかなチャイナドレスをした女が適当そうに名乗りをあげた。
「ロキの『ハガル』だよん」
道化師の格好をした男が名乗りをあげた、その形相からは狂気的なモノが滲んでいる。
「サタナエルの『アルブム・アルブス』………」
白髪、赤目、俗にいう遺伝子障害アルビノであり、それでいて八重歯かつぼそぼそとした声を出す、何故かセーラー服をしている女が名乗りをあげた。
暗い空間、数少ない蝋燭の灯台は辺りをか細く明かりを灯している、皆、その暗がりの中で各々他の存在を魔力関知で認識している。
「さて、最後の者が来るまで確認事項だ、魔神鳥、あれが新魔人王を産み落とした事により、我々は危機に貧している、成長するまでに幾度か刺客を送ったがヤツの周りの女共がそれを食い止めている、ただ一人、単に力を軽んじた暴力筋肉娘は無関係の者だろうな」
『アル・ダジャール』がそんな事を言うと。
「でしょうね、私が送りつけたもん」
『デスピナ』がそんな事を返した。
「は?」
そんな事を言ってしまうアル・ダジャール。
「ちょっと、また新興勢力に
『アルブム・アルブス』がそうヒステリックに彼女に怪訝な目と口先を向けた。
「おい、ブス」
そう言ったのは『ハガル』だ、それは『アルブム・アルブス』の虐め文化上のあだ名のようなモノだ。
「別に均衡は壊れた方が面白い、憑依先以外、イツメンじゃんな、まぁそれだからずっっっっとこんな悪の組織幹部会みたいなのが出来るわけだがいい加減そうだな、飽きた」
「そうか、これもいつも通りか?」
何かが地面に叩きつけられる音がした。
「ミクラトンテクートリの『勝田咲』、女をブス扱いとはフェミニストとしてキレちゃったぜ?」
「ミクさん!怒りを抑えてくれ!」
「やめぃ!
そう彼に注意したのは『アル・ダジャール』
と『グラン・ギニョール』だ。
「そうよ、そんな病弱メンヘラクソビッチ私と良いこともっとしてよ」
「私ともよ~」
そう『勝田咲』に媚を売るのは『デスピナ』と『妲己』であった。
「おっひさー、スサノオの『
そんな剣呑さと淫靡さが混じる中、男口調をセーラー服で言うのは違和感の塊のようなモノだが
「こ れ よ り 戦 争 を 開 始 す る!!」
それに対して『デスピナ』がそう叫んだ。
彼女の両手には機関銃があった、それが創造されたか或いは元々持っていたかは定かではない、アポートという事もありえるだろう。
それを二人に向けてそれぞれ器用に乱射した、片方は
「なんでまた女をつれてくるのよ!それも女性人格じゃなくて男性人格を女にさぁ!」
「
何かが広げられる音がした、それは闇にとけるような漆黒の色合いの風呂敷であった。
「無駄よ、物理攻撃は効かないわ、その気になれば米軍さえ敵に回せるほどの防御力よ」
「ちっ、怒りでトリガーハッピーになる癖そろそろやめないとな」
「そうだぞ、トシギャァ!?」
また何かが叩きつけられる音がした、正確にはデスピナがハガルの頭をハイヒールによって踏みつける音である。
「誰が年増だって???」
「私よりは若いんだけどね~」
と、この中でも最年長の『妲己』が言った。
「まぁオバサン方はさっさと死ねばいいわ」
「「あ?」」
『アルブム・アルブス』が二人に対してそんな無神経かつ不躾事を言った。
「というか話を進めてくれない?帰ってスマホゲームの周回をやりたいんだけど?」
「黙れ小娘!!場を仕切るのは貴様ではない!この我よ!」
それに対して『アル・ダジャール』がそんな風に返す、中東は未だに男尊女卑が根深い。
そんな憤怒の絶叫から一転、微笑む『アル・ダジャール』。
「では今日の議題である成長した新魔人王の話をしましょうか」
☣️☣️☣️
「フェックション!!!!」
「どうした?風邪か?」
伊縫有里がくしゃみをした貴城泉を
「畜生、噂の大元を皆殺したいぜ……」
「女顔系美少年有名人様はあれだろう?女子達にイケメンランキングとかされるんだろ?そんなお前の方こそ軽く半殺ししたいぜ」
「できねーだろお前が俺を半殺しなんて」
「だなー、俺なんて石礫を放つだけの能力だもんなー、そら無理だわ」
そんな魔神鳥墜落後から数年たったありきたりな日常会話が軽くされた。
そこへ実家が寺の三つ編みお下げ眼鏡の同級生の生徒会書記に抜擢された
「ふづきさん知らない?女子トイレにバトルした痕跡があるんだけどなんか心配なの」
「あの女は怪我はしねぇが不意打ちで腹に電気能力浴びせられて拉致られたのかな」
伊縫有里がそう考えてた額に青筋を浮かべる。
「かもしれないな」
貴城泉も伊縫有里の意見に同意して額に青筋を浮かべた。
「じゃー、法子ちゃん、俺ら早退するわ」
伊縫有里は波羅宮法子にそう言う。
「えー、また?別にいいけど」
波羅宮法子がいつも通りの返しをした。
「おー、わりーな、最近は魔人ばかりで物騒な世の中でよ、ここら辺の近くに実質的な流刑をされた悪党魔人中国留学生が三割をしめながらもそれと対等に渡り合える日本人魔人不良達の魔窟、
波羅宮法子の言葉に波羅宮法子は。
「流石にまえこーはないでしょ」
と、呆れた。
「まえこーだろうが俺の女を拉致るやつはばかこーだ」
貴城泉はスマホを取り出し地図のピンク色のアイコンのある位置を確認した。
「貴城さんなにそれ」
「ふづきの貞操帯にはGPSが付いてるんだよ、それで現在地を確認してる」
貴城泉が彼女の質問にそう答えた。
「それどこで売ってるの?」
波羅宮法子の両目が暗くなっていた。
「こわっ!とかリアクションしないのかよ」
伊縫有里がそれに対して突っ込んだ。
「変態グッズ専門のインターネット通販サイト
「分かった、俺も使うわ」
「あなた、代わりにそれと同じなの買って学校持ってきてよ、私ははら清純な子だし」
「嘘こけ、誰に使うんだよ」
「二組の
二組の夜久貝、チャラ男にして大病院の御曹司、魔人としての能力は『あらゆる薬物の効果を倍増させる』、屑のための能力である。
「……分かった、ヤツのヤリチンを食い止める陰謀を食い止める計画乗るわ」
「やった♥️」
波羅宮法子はそんな風に喜んだ。
「そんな計画立てないでとりあえず無計画にどこぞへ殴り込みかけるぞ」
貴城泉は代理購入を頼まれた伊縫有里をたしなめた。
「わーてるよ」
☣️☣️☣️
「ふぎゃばーーー!」
また叩きつけられる音がした、それは天井を突き破るような隕石のようなモノであり、破れた天井からは日差しが坦々と漏れていた。
「眩しいなぁ、ルキフグスいたら死ぬなぁ」
『グラン・ギニョール』はそんな愚痴を言い、自分の影から黒い長剣を生やして持つ。
「その前にこれはもう喧嘩売ってるだろ」
『グラン・ギニョール』はそう言い……
「
更に自分の影を溢れさせ隕石のようなモノの上の乗っかっていた二人を攻撃した。
「
そのうちの片割れがまた隕石のようなモノを手のひらから出した。
それにより溢れさせた影の蛇達は潰れた。
「ほう……最近の若者にしてはやるな」
『グラン・ギニョール』は彼を誉めた。
「が、しかし、これはどうかな?最近の若者よ!
その岩を放った最近の若者の影から蛇が出てきて彼を
それは禍々しきほどドス黒く、忌々しいほど邪気が凄まじい魔力の塊の黒き刀だった。
「で?俺の女はどこだ?」
「既に後ろだ」
「なっ!」
背後に回っていた
「んだよ、これは……」
伊縫有里は冷や汗をかいた、これほどの闘気は幼少期より不良である彼でさえ感じたことが無かった、それが今、すぐ隣にいた、かれは武者震いしてその存在を攻撃しようとしてその存在の方向に顔と腕を向けたがーーー
「鶴上ィイ!?」
岩を放てなかった、その躊躇、それは隙になり、腹部にパンチが一発、それで吹き飛ぶ。
「がはああああアアァァァーーー!」
そんな苦悶の叫びを横目に
「いてぇなあのバカ……」
地面に倒れこんでいる貴城泉に
「ではとりあえず死ね、新たなる魔人王!我が玉座を脅かすモノ!
目の前にいて仁王立ちする『アル・ダジャール』は容赦のない攻撃を開始する!それにより彼は爆発してしまう!
だがしかし、それに受けてか、それを気にせず、持っていた黒き刀を杖の代わりにして立ち上がり、そして下段に黒き刀を構えて。
「
それは両足を体から両断するような低い横薙ぎの技、通常の剣道ならば外道の技、だが|自己流殺法の世界、即ち彼にとっての殺し合いでは基本中の基本の一つである技である。
それにより、片右足の外側半分が裂かれた。
「……もう目覚めてるじゃねぇか!!!もうくたばれ!
その叫びの裏側でトン、っとと『デスピナ』の背中が『アルブム・アルブス』手で押された。
「そこ危ないよ」
振り替える『デスピナ』は鬼女の顔となる。
「き、きさまぁ!!!殺す気かぁ!?」
「さっきはさっさと死ねばいいわって言ったじゃない?ババアで記憶障害なのかしら?」
「ふざけるナアァァァーーーーーー!」
その時、『デスピナ』の足の下の地面は複数の大きな爆発の一つの発生地点となった。
それにより『デスピナ』は死んだ。
ーーー八大旧魔人王残り七人。
それを尻目にアニ・ダジャールはプライドが裏目に出てコントロール不可能になった自身による
「死ね死ねぇ!本来唯一無二の魔人王として誇りたかったが寛容なる自分は他の魔人王を受け入れたが貴様はなんとなく別だぁ!!」
アル・ダジャールはそんな事を言い放った。
「
その爆発が狂喜乱舞して爆風が吹き荒れる中、一つの斬撃がアル・ダジャールの首もとを前から来て、そして切り飛ばして後ろへ。
「なアァァーーー!死んだアァァーーー!」
ーーー八大旧魔人王残り六人。
「うわぁ、こりゃ危ないかも~?」
『妲己』がそう言って、背後より黒き刀を突き刺されられた。
「あにゃ?」
「
ーーー八大旧魔人王残りごに……
「残念ながら幻術ですウウウゥゥゥウ!」
大声で怒鳴りながら最初の隕石のような岩石の上にいつの間にか立っていた『妲己』。
「アイエエエェエー!ニンジャナンデエェエエ!とかやればいいんでしょうかアアァァァーーー?危ないでしょうがアァァーーー!二人もやられたら危険さ分かるわアァ!もう帰るウウゥゥゥウ!ウワアアァァァーーー!」
『妲己』は情緒不安定になりながら絶叫を続けた後、霧のようにその場から消え去った。
「ちっ、逃がしたか、まぁなら次だ」
「
『グラン・ギニョール』がそうやって発動して現れた暗黒騎士は貴城泉に向かっていき、それを一刀両断した直後、脇腹に激痛が。
また
それをした左足を掴んで言う。
「俺はDVしたことないがDVするとは酷いじゃないか、というか貴様は誰だ?」
「ん~分かりやすく言えばスサノオだ!」
「そうか、『魔神』に憑依されてたのか、それも良くあることだ、よっと」
掴んだ左足を掴んだまま回転、二周、三周、そして
それは魔神祓いの技、憑依された魔神を文字通り突き放す技である。
「
ーーー八大旧魔人王残り五人。
「いやぁ、もうこれ全滅ですよね、全滅って壊滅とか殲滅とか違って本来だと三割兵力が減っただけで全滅じゃないらしいんですよ」
勝田咲が落ちてくる鶴上ふづきをお姫様抱っこのようにやり、キャッチをして着地した。
「おい、てめぇ、それは俺のやることだ」
貴城泉が怒りを滲ませてドスの効いた声を放つ。
「あれぇ?その凶器手放しますか?」
勝田咲がふと浮かんだ言葉を言った。
「………」
それに沈黙で返すと
「片手に武器持っていたらもう片手で抱き締めるのは無理ですって」
と、勝田咲がそうやって事実を告げた。
「まぁいいです、フェミニストなのでこのまま叩きつけたりはしませんがあなたはさてどうなることでしょうかねぇ」
貴城泉は頭を捕まれて地面に叩きつけられる、それは奇しくも一回目の時に勝田咲かまハガルのやられた事である。
「三回だ」
更に二回同じ事を繰り返された。
「厄日だなぁ!お前の攻撃を食らうとそこが重点的に攻撃されてしまう!」
「傷害致死罪は暴力の罪重ねですからね」
「ちっ、本当にいやらしー能力だぜ、過剰防衛の時間だ!ジョーカー同士踊ろうぜ!」
掴んだ頭を話してハガルは勝田咲に飛びかかる。いつの間にか両手に装着された鉤爪が彼をマッダー・ピエロというのを奇想させる。
「ズタズタアァーーン!」
そういう奇声を
「本当の奇声とはこうするもののだ、ではパ行でいきましょうか」
そのまま攻撃と共に無防備に受け止め。
「パラリィ、パロリィ、パギャディ、んー、そうですね、パゴジーでいきましょうか」
勝田咲は分厚い大きな鉈をいつの間にか持っていた、自分の能力からアポートのような事したモノだろう、それを振りかぶる。
「パゴジー」
それによりハガルは一刀両断された。
「では、ミクラトンテクートリとして全員を死者蘇生しましょう
ーーー八大旧魔人王残り八人。
「よぉ、鶴上さっさと起きてお姫様抱っこで持ち上げて逃げるべ、ゾンビ相手はキツいつーの、お前は倒しすぎだがあのダクファンコスプレ野郎、あれ一番強い気がするわ~~」
貴城泉は起き上がり、そして、鶴上ふづきをお姫様だっこで持ち上げてそのままの状態で『グラン・ギニョール』とバトルをして服が破れて全身が傷だらけとなった伊縫有里は地面に手を当てて、地面のコンクリートの一部を塊として分離して上に飛び出させた。
「
それにより三人は安定して空中に投げ出されてその場から目的を果たして去っていった。
「
「オアアアァァァーーー!あぶねぇ!」
『グラン・ギニョール』は大きな蛇をコンクリートの塊が飛んでいく天に向けて放ったがその大蛇の
「逃したか、失態だぞ『グラン・ギニョール』」
復活した『アル・ダジャール』が言う。
「敗北死亡雑魚オスの方が無様失態でしょ」
復活した『デスピナ』がそれに罵倒を浴びせた。
「んー、じゃあ連帯責任ってことで」
勝田咲が彼らに向けてそう言って、それを有耶無耶にするべく八大旧魔人王は乱戦を開始して『アル・ダジャール』と『グランギニョール』の後に袂を別れるきっかけとなった。
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