第四殺覚醒する八大旧魔人王の一角


世界にはかつて、西暦が確立したか、それ以後か、またはそれに近いたった数百年か数千年、そこは人外魔境の世界だった、世界各地に根差した『悪魔』と呼ばれる、歪な欲望ゆめを叶える事で人々の負の念を啜る闇次元存在がいた、その中でも世界にはシンクロニシティのように『魔人王』と呼ばれる存在が生まれてしまった、それは『悪魔』と自信の肉体を完全同調させた存在であった。


言わずと知れた堕天使長!禁断の力が今ここに!サタナエルの『アルブム・アルブス』。


殷王朝を破滅に導いた毒婦!災厄なる妖怪仙人の女帝!金毛白面の者の『妲己』。


人から神になり、そして堕ちた存在!最強の怪神!スサノオの『狗古智卑狗くこちひこ』。


破滅と戦乱の誘う不和の女神、黄金の林檎は流血の味、エリスの『デスピナ』。


中世を絶望のどん底に落とした黒雷矛の暗黒騎士、聖処女を謀略で貶めた魔貌の鬼畜帝、ベルゼビュートの『グラン・ギニョール』。


最悪の巨人王にして悪神!そして終焉を呼んだ道化師の神!ロキの『ハガル』。


唯一神に反目したサタンの凶名ザラーム発火能力パイロネシスの祖!イフリートの『アル・ダジャール』。


飽食を極めた最古のカニバリストの中南米地下冥界の冥王!ミクラトンテクートリの『勝田咲』。


彼らはまだこの21世紀でさえ一人たりとも死んでも滅びてなどいなかったーーー


☣️☣️☣️


暗いーーー


鶴上ふづきはそうそこで何も見えなかった。


やけに寒い、氷でも雪でもない、ましてや冷夏でもなければ全裸にされてるわけでもない、そう、風だ、風がびょう――と唸ってる。


目の前に怪物がいた、自分だ、いや違う、死んだはずの兄上だ、その顔だけは他の異形さを構築している部分より際立つ、これが芸術館で顔だけ削がれているならば絵画になれるだろう美しさだろう、だがそんな顔立ちと良い家柄なのに彼は風になることを選んだ、暴走族、と言えば分かるだろうか?彼はその暴走族で族長になった、倉から粗悪な日本刀を大量に持ち出し、彼は人斬りになった、彼の前に走っていた族は血塗れ、蹂躙しようとした場所にカラーギャングがいたらどんな色のシンボルカラーだろうが紅に染めた。


兄上は狂っていた。


あぁ、それでも自分は兄上のようになりたい、何故ならば兄上は愛する者のために狂ったのだ、不良相手に強姦された自分の女、その強姦した相手が兄上の殺人童貞を捨てるきっかけになったのだ、ゆえに狂ったのだ。


「いいや、それは兄上でない、それはこの俺様の『旧魔人王超越隔世アビス・アウトソーシング』で兄上は兄上でなくなっていたのさ」


ふざけるな、あれが兄上でないならはなんだったのだ。


「俺様は狗古智卑狗、『魏書東夷伝』に登場する狗奴国の官。王卑弥弓呼より先に記されていることから、狗奴国の実権を握っていたとも考えられる、つまりは辺境の王様だ」


「くか………なんて?」


「まぁ今では俺が神格化した名前にして魔名の方が有名だわな、建速須佐之男命たけはやすさのおのみことというのがな」


それに心当たりがある、漫画、小説、ライトノベル、ゲーム、スマホゲームの台頭で執拗にフリー素材扱いされる世界中の神話の中でも日本代表と言える名前だった。


「それがまさか……というかなに?」


そのスサノオがこちらを値踏みするかのように舐めるように見て、そしてこう言った。


「お前も『旧魔人王超越隔世アビス・アウトソーシング』されればいい、早い話が肉体の主導権を渡せ、だ」


怪物スサノオが大きな口を開けて私は食べられた。


「ク、ウオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


私は私の中で消えた、そしてが降臨した。


☣️☣️☣️


廃工場、両手を天井から垂らされた鎖で縛られて宙に浮かされている鶴上ふづき。


そこに魔法少女達が彼女を台風の目にして、彼女をの周りに無数に集っていた。


「え?なに?」

「きゃ、きゃあああ!」

「離れろ!!こいつも魔人として覚醒するぞぉおおおおおおお」


単なる台風の目にいた彼女が新たなる暴風になり、彼女達は吹き飛んだ。


両手が鎖を無理矢理千切れさせた後、彼女は羽もないのにも関わらず浮遊した。


「天!轟!暴!風!壊!滅!塵!蹂躙するは我が怪力乱神が権能、我がナックルに万物を破壊させろ!カプリチオ・トランス!ウホアアアアアァァアッ!」


そして、彼女は緑色の衣をまとい、風の化身になり、殺戮の狂想曲カプリチオが始まる。


「我が神風によりこの人虫虫けら共を貪り尽くせ!!!!グラビティー・テンペスト!!」


圧死、天井が壊しながら複数の竜巻が魔法少女達を地面に叩きませて食い込ませていく、そのまま彼女達は風圧で押し潰されていく。


「助け……たずげ」

「死にたくない死にたくない死にたく…」

「ウボエアアァァァア」

「逃げ……ろげぇ」

「おとうサーーーーーーーン!!」

「死ぬときは一緒と……」

「うん、だから……ウゴガァッ!!!」


そんな無数の断末魔を浴びたくこちひこはーーーーー


「「ハハハハアァーーーー!!!!!ホォーーー!!!!ウホォーーーー!!!!!」」


と喜悦の叫びをあげた。


現世しゃばに現出した気分はどうですか?スサノオ」


勝田咲ミクトランテクートリが片手をあげて風圧を腕をひしゃげながらも自分そのものは潰されず耐えていた。


「よくねぇ気分だ、そもそも『神々の時代』に『英雄』によって倒された堕落して『魔神化』した俺らを死者蘇生ネクロマンシーしたのはお前だろう?もっと早くできなかったのか?」


「無理ですね(即答)」


「まぁいい、俺は回数が多い方だが他の奴等はどうなってる?誰かできてないのはーー」


「他の全員は出来てますね(即答二回目)」


「なぬっ!?つ、つまり!?」


「魔人王全員が集う八邪手デビル・レッグスの怪議を設けられますね、というか貴方が最後だったのでこうして催促させて貰ったわけですが……」


「分かった、で、怪議の場所はどこだ」


「都内の地下施設です、あと他の皆はもう集っている頃ですねぇ、何故ならば貴方がここでこうやって覚醒するのは予定調和だから」


『予定調和』、という単語を最後に出した勝田咲に。


「分かった」


それをあまり考えず鵜呑みして彼は頷いた。


二柱は方法は違うが同じように瞬間移動テレポートしてその怪議の場所に向かった、世界が歪むように、と、まるで突風のように、である。


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