第一殺魔人病と魔神鳥の子


魔神鳥、魔人病の病原体の魔窟、つまりは、生物兵器の塊だった、魔人病とは一定の条件のある者の臨死に追いやり、生き残った者に魔能を発現させ魔人にするのである、それは細菌が脳内を蝕むからとされているーーー


☣️☣️☣️


アメリカ某医大講義室・夜中


そこには学生はいなく、白衣を来た者達が座っていた、彼等は魔人病の治療のために設立された『全米光医者協会』の者達である。


登壇したのは老年のお婆さんだったが目付きは鋭く、両目は蒼いが日系人が入っているのか、その濡羽色の髪のなんと見事な事よ。


彼女は元々、霊能力者の家系に生まれたが自身は霊能力に目覚めず、とある理由で超能力に目覚めてから、超心理学を研究していた。


「臨死体験をすれば脳内に『とある物質』が分泌される、これは脳内に一定値溜まれば超能力に目覚めさせる、臨死体験をして超能力に目覚めた者は世界中に数多くいます、しかし、この『とある物質』を改良、いや、改悪といいましょう、どちらにしてもバリエーションを増やしてしまったらしいですね、魔人病の病原体である最近は奇怪グロテスクな事に三日月型、笑った口にも見える悪趣味なモノです」


彼女の言葉の最後でスクリーンに写されたパワーポイントにその三日月型の細菌が浮かぶ、笑った口、まるで道化師のようだった。


「これに感染した者は死にやすい、なのでこれは細菌によるバイオハザードがまず先にあった、これだけで無秩序で無理由なテロリズムです、しかし、死なない人間の条件があった、『心に膨大な影を持ち』、『現実への悲観的な視点が極まり虚無主義に成って』、『今の現実を反転させたいと切望している中二病に近い闇深き誇大妄想狂』の三つの条件であった、私は欲望ゆめを持った者達、つまりは『天魔の眷属マーラ・クラン』と読んでいます、貧困、格差、競争原理、資本主義、若者の○○離れは金離れ、悟り世代は悟りたくて悟ってるわけではない、彼等は本当は欲望ゆめを持って、そして発揮したかった、まぁ簡単に言えばフラストレーションが溜まっていた若者、抑圧され続けた大人が魔人になっていきました」


そして次にスクリーンに写されたのは今の東京、インフラは数年間そのままであり、治安悪化をして荒廃しているように見える。


「東京では魔人による犯罪が増えました、ちなみに、中二病患者は有害ではなかった、彼等は明確な悪も見つけれず、またそのための能力にも目覚めなかった、しかし、彼等は能力に目覚めた、、それをもて余せば悪をしたくなる、それを抑止する者も出る、無数の悪の組織がカラーギャングのように乱立して自警団もそれに伴い増加して自衛隊や警察は全国から優れた人間を集め、無理矢理魔人病に感染させて『法務省絶殺局』という魔人犯罪専門の組織を作りました」


彼女は続ける。


「我々は魔人病に駆逐するためにいる、従って、我々は『東京浄化作戦』をしなければならない!ワクチンも用意した!然るべき日に我々は東京に飛行機で迎い、必ずやがばっ」


彼女は続ける事ができなかった。


「はぁい、おしまいですよぉ」


彼女の隣にいたダークスーツに赤髪をして、帽子を被り、糸目をした男が彼女の首に太く分厚い鋭利ナイフで抉っていた。


「やはり首は抉るに限りますねぇ」


「イヤァァア!!!」


「貴様どこから!」


「テレポートか!?いや、ここにはバリアが貼られていたはずでは!?」


「はい、うるさいですよ、千刃無双陣!」


その突如現れた男は、ナイフを講義室の椅子に座った者達に投げていく、どれもかも、喉元、心臓、脳内貫通を的確にさせていった。


「アポイーツだ!バリアを固めぎょばっ!」


「バカな!バリアが通じない!?」


と、いう断末魔を無数にあげさせていく。


「あっはっは!!たまりませんねぇ!!」


人体の致命傷となる部位をナイフが刺すたび、赤い雨は増えていく、やがて、それは血の海になっていく、そして彼は言った。


「ブラックホールに入らされてから十年ですかねぇ、僕の子供は成長してるんですか?まぁ死体に口なし、遺体に口出しですなぁ!」


そして、彼は唱え始めたーーー


「冥!死!贄!邪!骸!殺!厄!屍の山を築け、我がアギトに供物を、レクイエム・トランス!グギョエエエエエエエエエエエエ!」」


そこからそこにあった死体はボリボリと食べられてなくなっていく、その間に一人の男が講義室に入ってきて金切り声で叫んだ。


「神ィィイイイッヒィイイ!!!」


「うるさい!死 な す ぞ ?」


「あなた様からの電波を受信して遥々渡米してここまで来ました!死を統べる異能を持った魔人達の梟倶楽部の長、灰鉤賽はいかぎさいです!」


「本当に死なすぞ、死を統べる魔能を持つのは俺だけだ、しかし、冥導ネクロマンシーの魔能なんてそんな組織を作れるほどポコポコ生まれたなら個性が失われてしまいますねぇ………」


「おや、つまり、お前は『勝田咲』かい?」


パワーポイントというハイテクな者を使いながら皆に魔人病について語っていた老婆、彼女が首からナイフを鳥だし、にやけていた。


「私は『とある物質』は再生能力を促す、と発見してねぇ、不死身にたどり着いたのさ、まぁ、発見するのの遅くてこれなんだけど」


「そうですか、


「私と同年代だったら良かったのにねぇ」


「いやですよ、僕、霊は冬場寒くなるから嫌いなんです」


「あたしは他の家族とは違うよ」


「そうですか、ではどう違うので?」


老婆は手をつきだした。


「こう違うのさ!念力ねんりきィイ!」


そして勝田咲は宙へと浮遊させられた、手であげられず、何も触れていない状態である。


念力とは、超能力の一つで、意思の力だけで物体を動かす能力のこと。念動力、観念動力とも言う。また英語psychokinesisの略称を使いPKピーケー)と呼ぶこともある。


そして講義室の天井を突き抜かせそしてかなり天空へと舞い上がられてから落とされた。


「そのままマントルの中心までいって永遠に燃やされるといいね!念力は相手を包み、その間、相手は他の超能力を使うことは出来ないんだからねぇ!そのまま死に晒しなぁ!」


老婆は叫ぶ。


「アポート、アポイーツとか別に超能力を使っていた訳じゃなく、あくまでそれらは偽装です、本当の扱い方はこうですよババァ!」


老婆の後ろに勝田咲は立っていた、そして、長い刀、五尺三寸もある太郎太刀を振り落として、老婆を肩から腰にかけて両断した。


そして、老婆はピクピクと真っ二つに肉体の上半身の頭部で血反吐を吐き、そして言う。


「ぐぼはぁっ、ふふっふふふふ、じゃあお前のは魔能か、そりゃそうだ、なら一体いつからお前は魔能に目覚めていたんだい?」


「冥土の土産に教えましょう、


「そうかい………」


老婆は事切れた、つまり死んだ。


「つまりどういう事ですかい?」


灰鉤賽は勝田咲につい質問をした。


「いつだろうと同じって事さ、過去、現在、未来、それは一つの点になっているんだよ、これをスポットライト理論というんだがね」


スポットライト理論は、ブロック宇宙論が元となっている。まるで時間(過去・現在・未来)がみな舞台役者のように空間という一つのステージに同時に存在しており、そこにスポットライトが当たり、過去から現在へ、現在から未来へ・・・とスポットライトが移動していく、という理論である。


もちろんこの場合、過去・現在・未来は同じ空間という舞台に同時に存在しており、決して過去が消えたり、未来が現在の場所を取ったりするわけではない。この理論は相対性理論と矛盾を生じる事がない時間理論の一つでスコウ博士はこの理論を絶賛している。


「移動するスポットライト理論の最も素晴らしい点はブロック宇宙論で語られる時間の説明を完全に肯定できる点です。例えばあなたが10年前に経験した事はスポットライト論では完全に過去の物という訳ではありません、あなたと同じ空間に居るけどスポットライトが過去から現在に移動してしまったから、過去という物に触れる事が出来ないだけです。」


☣️☣️☣️


日本東京都池袋瀬新せあら学園中等部昼休み


貴城泉きしろいずみは食堂で激辛四川(風ではなく、厨房の人に中国人がいて彼女が作っている特製のもの)麻婆丼を買ってそのままお盆を食堂の机に置いて、椅子に座り、目の前の二人、に軽くドン引きされる。


「お前、いつも思うけど味覚死んでね?」


そう言うのは幼馴染みで悪友の茶髪をした少年、伊縫有里いぬいあきさとである。


「辛そうだが、それももしや鍛練か?」


そう言うのはクラスメイトのポニーテールに目付きの鋭いが特徴的な剣道部の鶴上ふづきつるがみふづきである。


「味覚は生きてるし鍛練じゃないって」


そう、貴城泉は一人ごち、れんげで一口。


「相変わらず美味しいなぁ」


「私の手料理では言わないのになぁ……」


鶴上ふづきは小声でぼそりと言った。


「お前はカレーも甘口しか食べられないお子様舌だろうに………」


実際、鶴上ふづきは食堂で女子に人気の甘口カレーを食べていた、それを指摘されて彼女はふてくされる。


「お前のお嫁さんになるなら辛口も食べられるようになれると思ったら大間違いだぞ、自分の好物は自分で作れるようにならないとな、今時の男は料理もできないとな」


伊縫有里がそれを受けてこう言った。


「そうだろ、甘い味付けできないと今後嫌われちまうぜ?なぁ鶴上、こいつ、家ではデスソースなんて普通に使ってんだぜ?」


鶴上ふづきはそれに驚愕する。


「デ、デ、デスソース!?死ぬ気か!?」


「鍛練って線はあってるかもなぁ」


伊縫有里が冗談を事実だと肯定していた。


「だから違うって」


そういいながら貴城泉は二口目以降も口に含めていく。


「ふぅー」


そして、一息いれて、お盆にあった水を注いだコップから水を飲んだ。


それを。


「でさ、お前、鶴上とどこまでやったの?」


伊縫有里がそんな事を言い放ち、


「ぶへっ!」


その水を貴城泉は吹き出した。


「あんまはしゃいで性感染で魔人病を移すなよ?鶴上はなんか耐性あるらしいけどな」


と、伊縫有里が卑猥なジョークを言い放つ。


「魔人病は性感染で移らねぇよ!?」


「移らねぇけどやったのか?」


「やってねぇよ!?まだまだ童貞だよ!?」


貴城泉は伊縫有里に立て続けに聞かれたのをどっちも否定した。


「ご本人も前にしてそれはねぇ……」


それに鶴上ふづきが呆れていた。


それに伊縫有里はこう返した。


「お前ら俺が帰宅部を良いことに登下校なんだかんだで一緒に合わせて下校してるじゃねぇか、いつもそのまま帰ってるだけなん?」


「そうよ、そのままよ、家近いし」


鶴上ふづきがが鉄面皮で言い返した。


「ほら、駅裏のホテル街に行かないの?」


伊縫有里が更に続けようとしたが。


「不純異性交遊は駄目だろ有里」


貴城泉がそう言い、伊縫有里が叫ぶ。


「かー!ノーモフィリアか?標準・規範・正常とされる状態への愛好。慣習や信条・信仰、ルールへの服従等!この真面目共が!」


「何故、そこで異常性癖の話が?」


貴城泉が疑問に思ったが鶴上ふづきが違うところを疑問に思ったらしい。


「泉君はどんな異常性癖がいいの?その未来のお嫁さんとして一応知っておかないと」


「ふづきさん!?知らなくていいよ!?」


「辛い物好きはマゾらしいぞー」


伊縫有里がさらに茶化した。


「そう、私Sだから安心ね」


「らしいぞ、イズミン」


「イズミン言うな、あと俺はマゾじゃないよふづきさん」


「泉君のためならどっちにでもなるわ」


鶴上ふづきがが恍惚と暗い眼をしていた。


「有里」


そして貴城泉は悪友にこう言うのだった。


「なんだ、イズミン」


「俺、やっぱノーモフィリアでいいや」


「味覚以外、ほんとつまんねー男だな……」


伊縫有里がため息をついて、食べ終わったラーメンを厨房の返すところに返しにいった。


「ねぇ、泉君」


鶴上ふづきが彼の去った後、聞いてきた。


「なんですかふづきさん」


「一口頂戴」


彼女が普通のように聞いてきたから戸惑う。


「……辛いよ?」


「いいから」


鶴上ふづきががカレーのスプーンで激辛四川麻婆丼をすくって、そのまま食べた。


「ゲホッゲホホ!!ンッ、アッアウッ!」


鶴上ふづきがは辛さのあまり咳き込み、そして被虐的な喘ぎ声に似た声を出した。


「後半おかしくない!?てか水!ほら!」


貴城泉が慌てて、自分の水のコップを差し出して、それを鶴上ふづきはわざわざコップを回して、間接キッスを決行してしまった。


「ふぅ、一石二鳥」


鶴上ふづきは今日一番の笑顔を見せた。


「間接キッスをする陰謀はともかく二羽はなに?」


貴城泉がやや計られた事に怯えながら聞く。


「マゾ開花」


鶴上ふづきがが端的に答えた。


「目覚めなくていいよ!?」


貴城泉はさっきのやりとりをマジに受け取られた事にビックリしてしまう。


「おっ、食堂で調教とはサドってるなぁ」


伊縫有里が戻ってきて、席に座る。


「勝手に一口頂戴されただけだよ……」


貴城泉が残りを食べ進める合間に言った。


「あーんしたか?」


伊縫有里がにやりと笑いながら聞いてきた。


「はっ!?」


鶴上ふづきが遅れて何かに気づいたらしい。


「ははっ、一本打ち込むのに熱心な剣道部の女らしいな」


伊縫有里がそんな鶴上ふづきを笑った。


彼らの日常はこうしてこのまま続いていくように思えた………




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