魔都戦線--ウィキッド・キッド--
飛瀬川吉三郎
第零殺Changes
会員制バードラキュラは東京豊島区池袋西口の裏路地にあり、その裏路地の所在地は街の無法地帯と化した『
メキシコ産マジックマッシュルームをふんだんに使った理性崩壊させる最上級に格別ながら安い麻薬があり、近年の無差別殺人の多発この最上級に格別ながら安い麻薬の服用が原因らしい。
ジャンキーがジャンキーを殺す、それが多い場所、そういう意味で『
☣️☣️☣️
ショットグラスのテキーラをカウンターでバカスカ飲む野性味溢れる髪型、雰囲気をした大柄の男が目の前の筋肉質でかなり蓄えた髭を持った老人バー店主に更なるテキーラのショットグラスを頼んでいた。
「足りねぇぜ!もっとだ!もっともっとぉ!アルコールが全身を満たし終えるまでぇ!」
「
「うるせぇ!」
ドンッ!カウンターに握り拳を叩きつけた。
それにバーの店主が額に青筋を浮かべた。
「亀裂が入ったならば殺していましたよ?」
そう言いながらバー店主が新しいテキーラのショットグラスをカウンターに置いた。
それに軽く冷や汗をかく牙人、それでもなお、彼は軽口を叩いた。
「わりぃ、だが殺し合いになったら今でも不良界最強と呼ばれた
「矛盾などありませぬぞ?『大獅子』、それにしてもカウンターの大理石の質はかなり高かったと思われますが痺れてませんかな?」
「痺れてもねぇし痛くもねぇよ」
「ちょっと黙ってくれませんかねぇ?今集中しているんですから」
そう言う男、ダーツボードの前でダーツを構え、今放とうとしているダークスーツに赤髪をして、帽子を被り、糸目をした男がいた。
「てめぇは百発百中だろう?」
「言い方変えましょうか、耳障りです」
「あぁ!?!?」
どうやらダーツをしている男は毒舌家のようで蛮上牙人に向かって露骨な挑発をした。
「やめなサレ、酒が不味くなるヨ」
テーブル席に座っている女二人の片割れ、チャイナドレスを着て中国酒を中華風のグラスにいれて飲んでいる女が毒舌家を注意した。
「ですって蛮上さん」
「は?」
怒りを滲ませる男、それを煽った男の方へと中国人の女は呆れながら中国酒を一口飲み、名前を言いながら指摘をしたのだった。
「オ前に言ってるヨ、
「えー?僕だったんですかぁ?ほいっと」
自分の毒舌ぶりを注意した中国人の女の方という明後日の方向を向きながらも勝田咲の手からけだるげにダーツは放たれて、ダーツボードのど真ん中のダブルブルに刺さった。
「俺の騒音が今のそれに負荷をかけたか?」
蛮上牙人が彼に非難を浴びせた。
「ものすっっっごくです」
端的に勝田咲が答えた、それに。
「死ね」
蛮上牙人は勝田咲に悪態をついてからまたテキーラのショットグラスをあおった。
「えぇ!?バトらないの!?バトれよ!?」
テーブル席の女二人の片割れ、ジャージ姿、茶髪ざんぎり頭、鬼のような八重歯、つり目、女には不相応に思える筋肉量、それでも美しいと思わせる肉体美をした女がバカルディのボトルをラッパ飲みしながら二人を煽った、彼女はバトルジャンキーでもあった。
「僕はあんな野蛮人とはやりませんから」
勝田咲が彼女の煽りを拒絶したがその言葉を聞いた蛮上牙人は笑い上戸になってしまう。
「野蛮人か~、それは俺様にとっては褒め言葉だぞ?ガオガッガッガ!!ガーガッガ!」
「知能戦で僕に勝てるヤツはいませんし」
また勝田咲が毒舌を吐いた。
「ガァァオ!?てめぇ!俺が負けるとでも!?負けてしまうとでも?ざっけな!」
それにガチ切れする蛮上牙人。
「おーやっちゃえ~」
「駄目ヨ、
「ですからやるつもりはないと言っていますから」
「挑発したよなぁ!?なぁ!?おいこら!」
「えぇ?ほら両手を上げます!既に降参ですから!」
そんな戯けたことを言いながら勝田咲が蛮上牙人の方を向いて両手を上げた、両手を上げた瞬間、何かを飛ばした、それを片方の先っぽを蛮上牙人は口で乱暴に噛み砕き、もう一つを指でつまんで壊した、噛み砕かれたのは投げナイフ、指でつまんで壊されたのはチャクラム、両方暗器であった。
「これがお前の知能戦かぁ?」
「あまり傲られても困ります、外でやっていたら投げナイフの柄を起爆させて顔がぐちゃぐちゃになってましたよ?」
「なっ!ぺっ!」
噛み砕かれた投げナイフを吐き出した。
「んー、男が暗器って女々しくない?」
「いイや、勝田君、ああいう事をして自分が弱いとカモフラージュしてから強さを見せつけるような逆転プレイが好きなのヨ」
「それって嘘喰いのちゃんみだじゃ~ん」
「そーネ」
「
勝田咲が中国人の女に赤面しながら言った。
「最初から強さを誇示した方が男らしいのに~卑怯な手を使っただけで戦闘オアだよ?」
轟子がそれに酷評をしていた。
「かモシれないワネェ」
蝶幸がそれを肯定した。
「あっ、でも、結局暗器に拘るんだよね?」
「サァ?」
「えぇ~」
「彼の肉弾戦をして本気を見せた事は見たことナイ、暗器の暗殺だけでいつも終わってるからネ、牙人の素手殺人より弱いかもネ!」
「じゃあ、牙人が不良界では最強だね!!」
「まぁ、お前も倒せるがな」
牙人がそう女二人の会話に挟まってきて。
「無理だって」
と嘲笑されるように轟子に言われた。
「あ?」
と、牙人が怒りをまた滲ませようとして。
「ちょり~~すっ!」
男二人の緊迫から男女二人がすわ闘いになるか?という剣呑な雰囲気の中、メンバー達で盛り上がっていると会員制バードラキュラに新たな客が入ってきた、黒口紅にショートボブ、ブラなしライダースーツで巨乳を誇張、黒いジーンズ、両耳逆十字のピアス、バファメットの頭のネックレスをした現代の魔女。
「八鳥さん!
そんな調子でカウンター席に座った女。
「貴城さんはいつものでよろしいですか?」
八鳥卍蔵がそんな事を言って。
「うん、ブラッディ・マリーだよ」
と、貴城はカクテル名を言い、頷いた。
「ところでさぁ~八鳥さん、なんか今、隕石のように大きな鳥が宇宙から墜落してくるんだって!八鳥さん、名前だけに鳥マニアでしょ~、なら車でちょっと見にいかなーい?」
「名前だけで鳥マニアと判断しないでください、さてははしごのし過ぎでオアなので?」
「そうだよ~オアオアだよ~~~」
そんなやりとりをする傍ら。
「隕石のようにって事は宇宙生命体かよ!?宇宙キターーーー!!最高だっぺぇよ!!」
蛮上牙人がエイリアン・オカルトに興奮を隠せていなかった、彼は実は宇宙が好きであり、宇宙生命体とも喧嘩をしたがっていた。
「んー、うるさい、でも好き」
「えっ……」
「冗談半分よ」
「半分本気!?」
「そうね、じゃあ、一人で落下地点見てきなさい、私もあとで何杯かやったら行くから」
「はーい!」
そうして蛮上牙人はバーの外に出ていき、宇宙生命体(?)である大鳥を見に行った。
「うるさいのが消えてダーツに集中できそうです、どうです?ほろ酔いに一ついかが?」
「やらないわよ、ラッキーボーイ、私は手先ぶっきちゃんだからダーツ向いてないのよ」
「あぁそうですか、ていうかこれハーレムなのでは?」
女三人の状況に勝田咲は興奮しかけた。
「
バーの店長八鳥卍蔵がそう忌々しく言った。
「あっ、ご老体がいましたか」
「そんなに女の子を求めるならガールズバー行ってくだされ、高堂轟子氏も
八鳥卍蔵がそう彼に注意した。
「分かりました……ほいっ」
またもや勝田咲はダーツボードのダブルブルにダーツを当てた、これでダーツによってダブルブルに花が咲き始めた。
「ところでその宇宙からやってくる大きな鳥って宇宙生命体ですかねぇ、ほら、ドクターストレンジの
「まるで現出させたような口ぶりサネ」
☣️☣️☣️
エリア51、グルーム・レイク空軍基地。
そこは地球外に現れる『
「SAKIは裏切り者だ」
そこの管轄を任された統轄官が唐突に言う。
「SAKI?アポートとアポイーツしか出来ない最弱のサイキッカーとされている男が裏切り者?あの者達に
「そうもいかぬ」
「どうって?」
モニターの宇宙空間に大きな鳥が映し出された。
「これを見よ、この
「な、なんですって!彼は暗器ぐらいしかアポート出来ないんじゃなかったんす!?」
「それが万物ならなんでもよいらしい」
「あー、型月の魔術師の話において、「ありえないが、物質化するもの」。物理学や数学で用いられる「無」とは意味が異なる【無】も含まれちゃうんすね、つまりは
「勝手に納得されても困るがそれでいい」
そして統轄官はため息を一つついた。
「だがこれは国家の一大事どころではない、もはや世界の危機と思っていいだろうな」
☣️☣️☣️
「キエエ!キエエ!」
大鳥が囀るーーー
「な、なんだ!?どんなでっけぇ鳥が動物園から脱走したんだぁ!?」
「いや、幻聴よ!」
「ぬ、鵺じゃ!鵺が招来されよったぞ!」
異口同音に成層圏を破り、大気圏へと襲来したその存在の事の囀りを皆で感じ取った。
「さぁ、来い、拳で語り合おうぜ………」
拳をポキポキさせながら蛮上牙人のみ危機感を感じながらも
「キエエエエエエ!!」
大鳥が視認できる距離となった、まだ点にしか見えないがはっきりと見えてきた。
人々はそれを隕石と思った、テレビでもそれを隕石として扱い始めた、
が、しかし、蛮上牙人はその終わりへかつてないほど高ぶっていた、彼は大鳥の顔と自分の顔がキスするぐらいの近さになってもそれを睨み続けて、そのまま激突してしまう。
だが、彼は死ななかった、大鳥の殴った拳からの大量出血、頭部からもやや微妙たる出血、全身を複雑骨折してなお死ななかった。
しかし、人々は死に絶えていった、大鳥が地面に激突した時、大鳥が元々放出していた瘴気、マイアズマ、ミアスマ、ミアズマ (μίασμα, miasma) ともいい、これはギリシア語で『不純物』『汚染』『穢れ』を意味する。漢字の『瘴』は、マラリアなど熱帯性の熱病とそれを生む風土を意味する、16世紀イタリアのジローラモ・フラカストロは、病気が伝染する原因は、微小な生物である』contagium vivim(生きた接触体)』との接触(コンタギオン、コンタジョン)だと唱えた。彼の主張は、『contagium vivim』の正体が未知であることを除けば、現在の病原体に対する理解と変わらないものであった。
かつて魔法の時代と呼ばれた時代が西暦以前にあった、魔法の元は『魔素』と呼ばれ、それが
そもそも西暦以後に『魔素』があったらそれはサリン、マスタードガスといった毒ガスのようになっていただろう、人工的な魔素を魔女狩りの際に使われたがそれも毒ガスの人体実験でしかなかったらしい、それが世界最悪の男アレイスター・クロウリーによって魔法を使えるような魔素に改良されたがそれはまた別の話、現代人では多くの場合、魔素を浴びれば死んでしまうのは間違いない、今ではもう魔素への抵抗力が無いからだ、例えば全身を赤ん坊の頃に毒に浸して『毒体』にして『毒体』で子供を産めば『毒体』として子孫が繁栄していく暗殺一家の系譜があってもその風習が廃れ、その後、また『毒体』をやろうとしても赤ん坊のための毒の壺は一から毒素が低いのからやり直さなければならないだろう、それくらいデリケートな話なのだった、それぐらいなのでそれはもう死んでいく、とことん死んでいく、凄絶に無惨に残酷に残忍に残虐に人々は死に絶えていった。
それでも死なない人間の条件があった、『心に膨大な影を持ち』、『現実への悲観的な視点が極まり虚無主義に成って』、『今の現実を反転させたいと切望している中二病に近い闇深き誇大妄想狂』の三つの条件であった。
まぁ、それは少し置いといて人とは簡単に死ぬのだった………(死なない例もあり)。
「グギョロオオオオオオオオッギョギョロォオオオオアアアアアアアアアアアア!!」
「ゴバビッ!ゴババババババ」
「ヌッホオォオオオッヌホヌヌヌヌホッ!」
「電波電波電波電波電波電波、今度こそ来やがったぜ格別な電波がよぉおおっっ!!」
「オワァァァアアァッッッオワッ!」
「幸子、ミサキィイイイヤァァァッッ!!」
「ウエエエエエエエエエエエエエ!!!!ウヴ!!!ボオオアアアアアアア!!!!!」
「ザラザラスンゼェザラザラスンゼェ!!」
「ギィエエエエヤァァァァア」
「オッボロロロロロ、ボロッ!」
「ア!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
「ノッッホホホホッ!!!新しい自分!いいわ!もっと!もっと月よ!私を狂わせて!」
「ハハハハアァーーーー!!!!!ホォーーー!!!!ウホォーーーー!!!!!」
「グエエエエエエエッグエッグッ、おぉ、悪魔よ!甘美たる黒き祈りが届きませりぃ!」
「ゾアババババババッ!クソッタレェ!!」
「ギエアアアアアアアア!!!!!!!!アガ!!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ!いや我は死なぬ!何故ならばテスカトリポカの化身として世界を取り戻す定め、いくぞォ!!腐れ鳥モドキ蛇ィ!」
「ヴェアアアアアアアアア!!!!!!!!ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「おわぁ!おわぁ!おわぁ!おわぁ!」
「来たぜ、この俺の覚醒した
………と、このように悲鳴と絶叫、断末魔が木霊する凄惨たる有り様、地獄絵図だった。
その地獄の主、災厄の元凶たる大鳥は死に絶えて、亡骸から這い出る存在、それはまさに人間であった、この大鳥、本来は寄生鳥であり、惑星の地表に寄生して黒い粘着性の液体の大きな動く川のようになり、生物を搾取してその星の全ての生命体を知りつくし、そのデータを取り込むのだが魔神鳥はぶつかった時、即座にその半透明で粘膜上の大きな動く川になり損ねた、理由は地球文明の発達によるコンクリートがいけなかったのだった、何故、コンクリートがいけなかったのは定かではない、黒い粘着性の液体の大きな動く川になれず、黒い粘着性の敵対の大きな湖になった、それは東京全域を覆い東京都民の六割を皆殺しにしてしまった、その六割もの東京都民のデータを即座に採取して大鳥は人間の姿に転生をした、それが数秒で起こったのだ。
残った四割は全員『魔人』と呼ばれる存在となって、ポストアポカリプスよろしく、東京崩壊した後の世界を生きていくのだった。
それを生み出した大鳥を人々はやがて『魔神鳥』と名付けて、だがしかし呼ぶことを
その魔神鳥の
「なぁにその子供!?」
貴城鞍子はまだ飲んでいて、グラスも何個かカウンターに置かれててべろべろだった。
「拾った、大鳥の死骸の中身にあったぞ」
「つまり、人間に擬態した宇宙人ってことですか、いやはや久しぶりに見ましたねぇ」
勝田咲が後半部分で意味深な事を言い、
「どういう事アルか?」
「いえいえ、まぁ宇宙人ってわけではなさそうですがねぇ」
「どっちネ?」
「僕は蛇蝎のように嫌われてますからねぇ、本当の事を言っても信じてくれるかどうか」
「金やるから話ヨロシ」
「ん~考えちゃうなぁ~」
「おい、勝田よ、お前の知識マウントはどうでもいい、この子供はどうする?」
蛮上牙人が彼に何か含みながら聞いた。
「人間にして、五、六歳、幼少期ですね」
「まぁそんなとこだろうな、で?」
「女性が三人いるから誰かお母さんになる!っていうのがベストだと」
「あたしは無理~!こどもきらーい!」
と、高堂轟子が一抜けて
「私もイヤよシングルマザーなんて」
「じゃあ私かなぁ」
貴城鞍子が最後にそう言った。
「はぁ、それでよろしいかと」
と、けだるげに言う、勝田咲に八鳥卍蔵は。
「ところで咲君、あなた、どうしてその子供を殺そうとしているのですか?」
と、疑問を投げかけた。
「「「「え?」」」」
呆けた声をした四人、その間にも八鳥卍蔵は『魔槍』と呼ばれるほどの貫通力を持つ貫手で勝田咲の胸元を抉った、しかし感触はまるでコールタールに腕を沈めたようであった。
「なぁっ!?」
八鳥卍蔵が驚くのも無理はない、彼の胸元から出血はしなかった、黒い粘着性の液体、それは魔神鳥の寄生時に出すモノと似ていた。
「てめぇ!
「それ、私の子供に言ってるの?」
そう言う貴城鞍子の手のひらから炎がーーこれは俗に
「なにこれ?」
「あっ!?店内で発火物はやめてくだされ!酒のアルコールでドカーンッ!ってなる!」
その言葉に萎縮して貴城鞍子は自分の手のひらの火を止めた。
八鳥卍蔵が青醒めていたがもう一度青醒める事になる、胸元を貫通した貫手の方の腕の肘から先が大鋏によって切り落とされていた。
「ガァアアアアアアァッ!イダイ!イダイナァ!?てめぇ!?なにしやがんだゴラッ!」
と、昔の悪辣な発言が飛び出た八鳥卍蔵。
「あぁ、この罪団違法人鮮血淋漓のリーダーにこんなしたからには脱退しないといけませんね、本当に残念です、すごく居心地良かったのに、ほいっと」
別れを惜しむ間にもダーツは放たれる、三本目もダーツボードのダブルブルに刺さった、彼は全身を黒い粘着性の液体へと変貌させた、その間に
「アンタの事、もっと知りたいネ、反旗を翻すというのなら、アンタについていくネ」
と、言えば、高堂轟子が彼女、
「つまり敵って事だな?てめぇみてぇないけすかねぇキツい香水ババアは前々から殴りてぇと思っていたところなんだよなぁっ!」
「そうなりますカ?でも死ぬのはお前ネ!」
懐から柳葉刀を取り出し
「ちょっと任すわ」
「え?あぁうん」
蛮上牙人は子供を貴城鞍子に預け、阿鼻叫喚の街中を走っていく、目的は勝田咲だった。
「おい、新しい麻薬散布すんなよ」
「ファア?なーんだそれ?」
「邪魔だ!どけぇ!目障りだごみめらが!」
蛮上牙人は当てつけに道端にいた生き残っていジャンキーを通り魔のように殴って、更に街を走り続けた。
そして、不景気でシャッター通りとなった場所の通りで勝田咲を見つけた。
「てめぇ!あんな子供に殺意を向けていたっていうのはどういうことだ!お前は毒舌だけど女子供には手を出さない男だっただろ!」
「女子供にも手を出しますよ」
「えっ………そうか、そうなんだ、はははは、そうかーそうだったんだー、は!ははははははは!はははははははははははっ!」
戸惑いの後、狂ったように笑う蛮上牙人。
「ははっ」
それに笑い返す勝田咲。
「この外道がァあ!!!!」
蛮上牙人は怒り狂った、彼は魔素汚染して魔人となった余波で獲得した『魔能』によって手のひらに重力子を集め、そして重力波にして解き放ち、勝田咲を圧し殺そうとした。
が、しかし、勝田咲はーーー
「冥!死!贄!邪!骸!殺!厄!屍の山を築け、我が
と、叫んで、姿を変えた。
頭飾りは梟の羽と紙の旗で飾られて、人間の目玉の首飾りを着けている、ダーク・ファンタジーで出てくるノーライフキング、ゾンビの中のゾンビ、ネクロマンサーの成れの果て全身骸骨でありながら動くリッチと化した。
「化け物か!お前には相応しい姿だよ!」
グバジュ!
そのリッチの右手に首から下を握られた、布団で丸められるというのに似ていた。
「肉体内部に重力子を増幅させた、後は分かるか?ブラックホールが出来るんだぜ?」
と、蛮上牙人は覚えたての能力で蛮行を始める、それは頂上の存在に牙を立てるように。
「グギョロォ!?」
「人間語で話せ、ここは地球だぞ勝田咲、いいや
爆散・収束、蛮上牙人はブラックホールになり、そこにレクイエム・トランスでリッチとなった勝田咲が吸い込まれ、そのブラックホールはやがて勝田咲を吸い込んだ事を期に、役目を終えたように地球から消えていった、後に影響は何も残らなかった………
「もう消えたカ?なら、勝田咲、いいや『冥王様』がブラックホールの中から帰ってくる方法を作りマスカ、レクイエム・トランス、世界の終わり、このくそったれの世界の終わり……キィキキキキキッキーキッキッ!」
その勝田咲と蛮上牙人の闘いどこかの建物の上で見てた
☣️☣️☣️
やがてーーー
燃え盛るコンクリート・ジャングル、その中に二人の因縁深き男女がそこにはいた。
「轟子ちゃんアニムスって知ってる?女性の無意識の中にある男性的な面を言うんだけどさ、雄んなの子キャラとしてはグボァッ」
高堂轟子に胸を貫かれ心臓を鷲掴みにされ、今にもその心臓を握り潰し終えようとされようとしていた勝田咲は断末魔の代わりに知識マウントするのを決意したらしい。
「それが、なに?」
「やっぱトランスジェンダーって生きづらそうだねぇ、君の暴力性は男そのものだよ」
「そう、そうなのね、暴力性が男だけのものというのもジェンダーバイアスね、昔はアマゾネスっていうのがギリシャとか中国にいたの知らないのかしら?知識マウントは失敗、でも面白い事言うからまだ生かしてあげる」
「へぇ、それは愛されてるねぇ……」
「貴方は誰にも愛されてないわよ」
「そうか?」
「そうよ」
ジャギリジャギリ---
コンクリートの瓦礫を踏みにじる音ーーー
そこに青年がやって来た、ボロボロのジャケットとズタズタのジーンズにスニーカー、壊れかけの眼鏡の両目は赫怒で満ちていた。
「あっ、来てくれたんだ■■君……」
数年前、単なる魔神鳥の生まれ変わりなだけで良識と倫理観を備えた子供だった彼が……
「もう、君との
グジャブリャグッ!
彼女は心臓を握り締め終えた、そして腕を抜き、その血塗れの腕の血をペロリと舐めた。
それに彼は怪訝な顔をして言った。
「血が美味しいか?俺にとってはとてつもないほどに人間の血とは不味かったぞ?」
「そう、あなたにとってはそうなのね、私は美味しいわ、私はもう人間じゃない、野蛮人ですらない、一匹の獣よ?だから人間の上位種として人間を美味しいと思えるのよ」
「それは思い込みだろうが!」
「……かもしれないわね」
「もう、こんな事はやめようよ轟子ちゃん」
それに彼女は目を虚ろにしたままで言う。
「ふふっ、暴力性は動物全ての原初の罪、それに抗えない、抗えなかった、カウンセリングをしても精神安定剤を飲んでも抗えなかった!そしたら空から魔神鳥がやって来て私は女なのに男以上の超越した力を得たのよ!」
「暴力性は捨てろ!自分の中の化け物なんて捨てろ!誰もそんな下らない凶暴な二重人格なんて持たなくていい!ねぇ轟子さん!」
彼が必死に声を張り上げた。
「じゃあ平和主義の偽善者みたいに無抵抗になりなさいよ!それが出来ないなら、貴方も私の同じ穴の狢だよ」
馬耳東風だった。
「それでも君を止められないよりマシだ!」
彼は彼女を救うために同じ穴の狢になる決意をした。
「そう、なら、もう言葉はいらないわね!」
轟子は涙目をしながらそれを隠し通した。
「あぁ……もちろんだ……」
その彼の言葉を皮切りに二人は
「
彼女は二足歩行をする獅子、ワーライオンになりながら暴力性を解放させようとした、まるで発情して、今にも性交を始めるように。
「
彼は壊れかけた眼鏡を投げ捨て、踏み壊して、全身に邪気を具現化した黒い鉄糸を張り巡らせて鴉を模した兜、黒い羽のついた両籠手に黒い鳥の足のついた黒い全身鎧を纏い、邪気を増幅させた、まるで告白するように。
「グァァオオオッッッ!!!」
「キェエエエエッッッ!!!」
凶星と魔星はそうしてぶつかり合った。
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