傍観者

 本日未明、近くの家から異臭がすると警察に通報がありました。通報を受けた警官が室内を調べたところ、この家に住む××博士が倒れているのを発見しました。警察によりますと、博士はすでに亡くなっており、死後数週間が経っているとのことです。博士の自宅は鍵がかけられており、部屋には荒らされた形跡はなく、傍らには黒く塗りつぶされた紙の束が...












 なんだ、死んでしまったのね。少し発破をかけただけのつもりだったのだけど、やりすぎてしまったかしら?まあいいわ。これで悲劇は免れる。これで”私”という間違いも生まれない。あれは私には、人の身には有り余る力だったのだから。人は大きくなり過ぎた。当然自然はそれを修正しようとする。それでもなお、人は抗おうとした。その身に余る力に頼ってでも繁栄しようとした。でも、もう従わないと。人が最低限人であるためには慎ましく生きる他ない。昔、ずっと昔、えーあいというものが発展していた頃とはもう違う。今の世の中にえーあいなんてものはない。どうやら車はあるようだけど、きっと私が言った車と彼がが知っていると言った車は別物だろう。私が言ったのは自動で走るモノ。彼が言ったのは手で引くモノでしょう。

はあ、少し疲れたわ。もう眠ろう。まだまだ見てあげなくちゃいけない種はたくさんある。今回のはその一つに過ぎない。一体いつになったら私はこの夢から醒めるのかしら。





 そう言って名もなき傍観者は醒めることのない夢の中で再び眠りに就く。永遠を与えられた者の任を遂げるまで。

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ラベルフリーなノベル (旧晒しな日記) 結季 @024Yuuki

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