第5話転生先は?


前回のステータスに抜けている項目を見つけたので、修正しました。(8/7)

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意識が段々と浮上してくる。

俺は...そうだ、異世界転生したんだ。

正面を見てみると、白銀色で綺麗な毛並みの狐耳、狐の尾を持った一組の男女がいた。

この人たちが今世の両親か...


「あぅ!」


恥ずかしいが、ちょっとしたサービス精神である。自分を生んでくれたのはこの人たちなのだ。


「わぁ! 可愛い! この子が自分の子なのね。ダルス、この子の名前は決めてあるの?」

〈[称号]転生者の隠し効果(最初に聞いた言語のスキルをLv.10で習得する。)により、[ノーマルスキル]獣王国共通言語Lv.10を習得しました。〉


初めの声は自分の母親だろう。それから、途中で出てきたダルスという名前は父親のものだろう。

ここまでは良い。だがお前はダメだ天の声(?)称号に隠し効果なんざ聞いとらんぞ! だがだからこその、なのだろうが。


「あぁ、一応決めているぞ。きっと気にいってくれるだろう。俺達の息子の名前はシャルスだ。魔術語で光を意味するのは知っているだろう?この綺麗な白銀の毛にぴったりな名前だろう。それに、俺の名前のダルスとお前の名前のシャネルの両方から音を貰っている。どうだい?」


俺はとても感動していた。魔術語というのがよくわからないが、良く考えて子供、要するに俺のことを思って付けられた名前だということは分かる。それは母も同じらしく、こくり、こくりと何度も頷いている。

俺は思わず自分の名前を口から出してしまった。


うあぅシャルス...」

まあ、舌足らずのいかにも赤子、といった声だが。

すると不思議なことが起こった。

自分から何かがするりと抜け落ちるような感覚と共に、目の前に優しく、柔らかく光る球体が現れたのだ。


「これは君かい? シャネル。」


「いえ、私じゃないわ。ダルスじゃなかったの?」


「いや、俺じゃない。」


「じゃあ、誰が...」


「もしや...」


「「シャルスなのか?!」」


え、もしやまずいことしちゃった? 俺。


「おいおい、こりゃぁ1節詠唱の照明ライトだが、生まれたばかりの赤子が使えるもんじゃねぇぞ?!」


「そ、そうね。そうだ、教会の鑑定士のところに連れていきましょう!」


「いや、待て。俺たちは白天狐人だぞ。只でさえ種族なんだ。それは子供や赤子でも例外じゃない。それどころか力がまだないぶん、余計に。そこにさらに子供が特別な能力を持っています、となったらどうなる。」


おいおい、かなり物騒なお話じゃねーか。てかって何だよ。


「そ、そっか。危険過ぎるわよね。なるべく露見しないほうが良いわね。でも、何か特別な能力があるなら知っておきたいわ...。何かあってからでは遅いもの...。」


そんなことを話している内に出していた照明ライトの魔術だったっけか、それは消えていた。だが、まだ話は続いている。


「そうだな...、俺が冒険者時代の知り合いで鑑定持ち、信頼もできるやつを探してみよう。

だが今はシャルスに乳をやって寝かしたほうが良くないか? さっき魔術も使ったんだ、生まれたばかりのステータスで。それなりにダルさを感じているだろう。」


実際、俺は父のいうとうり、それなりにダルかった。おそらくステータスの低い状態で魔術でMPを消費したことが原因だろう。この申し出はとてもありがたかった。


「そうね、そうしましょう。」


母も落ち着きを取り戻した所であった。

俺は母の乳を飲み、背中をトントンと叩いてもらう。


「ケプッ」


俺はげっぷをしてそのまま揺すられつつ夢の世界へと旅立っていた。

色々とやらかしてしまった感や、面白そうなワードはいくつか出てきたが今は良いだろう。安らぎの時を満喫しよう。

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