22.真相編[二]
――二〇二〇年、三月某日。夜。楠葉絢子。
凄まじい量の雨粒が、黒い空から落ちてくる。そんな中、佐倉さんとは二度目の邂逅を果たしていた。初めて対面した、あの公園で。正しくは邂逅などではなく、わたしが仕組んだ流れだけれど。
彼は通勤ルートを変えていた。何日か前もあの夜と同じように張っていたが、彼と会うことはできなかった。
であれば、と、彼を呼び出すことにした。
大和の振りをして。
『佐倉さんの話を信じよう。今週末の夜十一時に、佐倉さんの家から一番近い公園で』
少し考えれば、佐倉さんの自宅のポストに入っているなんておかしい手紙だけれど。そこに気付けないほど、佐倉さんは切羽詰まっていたということだろうか。彼の家の近くには、大和の恋人である走り歩の家もあるのだから、彼が不審に思わなくてもなんら不思議ではないのかもしれないが。
わたしはフード付きのレインコートを目深に被っていた。今の空と同じ色の、真っ黒な。
一方の佐倉さんは、わたしの姿を認めるや否や、手にしていた傘を取り落としていた。
闇と雨のせいで見にくい。でも、あえてこの日を選んだ。わたしは手に、何年も前に遠く離れたミリタリーショップで入手しておいた、ダガーナイフを握っている。
「あなた、自分のしようとしてることが、わたしに気付かれないとでも思ったの?」
闇の中で、ナイフの感触を確かめる。
躊躇する気持ちがない訳ではない。
だって、人を、殺すのだ。今まで経験のない、それも、人としての禁忌を犯す行為をやすやすとこなせるほど、わたしは感情のない人間ではなかった。
だがやらねば。わたしの首を絞めるぐらいなら、他人をも犠牲にする。その覚悟ならとうの昔にできている。――その為の準備だって、今は、あの夜と違ってちゃんとできているのだから。
わたしは自分を騙すことにした。上手くやれる自信はあった。自分は冷酷無比な人間であると、心の底から信じた。
演者になった。完璧なまでに。
すると、驚くほど簡単に、わたしの手にあったナイフは、佐倉さんの胸に飲み込まれていった。予備動作を最小限に留めたお陰か、踵を返される前に距離を詰めることができた。
彼の口から鮮血が溢れる。
至近距離で見れば、目からも液体が流れ落ちていた。透明だ。だが、雨ではない。痛みからだろうか。それとも別の理由からか。
ナイフを捻りながら抜いた。彼の胸からおびただしい量の血が流れる。血は雨と混ざり、地面に広がり、夜が明ける頃には排水溝に流れ着くだろう。
佐倉さんが膝を折る。何か言おうとしたのだろうが、その声がわたしの耳まで届くことはなかった。湿った音が、泥と共に跳ね上がる。わたしのレインコートにまで跳ねた泥は、やがて返り血と共に、雨に流されていった。
傍らに置いていたボストンバッグからバスタオルを取り出すと、佐倉さんの傷口に巻き付けて、その上から同じように取り出したビニールシートも巻いた。タオルや衣服が水を吸って重いが、なんとか簀巻き状態の佐倉さんを公園の入り口近くまで引きずっていく。
ナイフとボストンバッグと、それから佐倉さんの傘を忘れないように回収して、近くに停めていた車へと急いだ。公園の入り口ぎりぎりまで寄せてからリアハッチを開ける。
そこに簀巻きの佐倉さんを押し込んだ。
ここに死体を放置する訳にはいかないのは、佐倉さんが走り歩にとって特別ではないと知ったあの時と同じ。だからこそ、今回は準備を怠らなかった。
それから佐倉さんは、わたしの別邸に当たる屋敷の庭に埋めた。
その夜からしばらくはまともに眠れなかった。目を閉じれば、彼の最期の表情が瞼の裏に浮かんだ。
しかし、これでわたしは、絶対に大和を殺さなくてはいけなくなった。佐倉さんの死を、無駄にしない為にも。
――二〇二〇年、三月某日。夕方。楠葉絢子。
決行の日はすぐに訪れた。
大和が必ず自宅にいるであろう日、時間を狙って、彼の住むマンションを訪れた。わたしが警察である証拠と、それらしい理由をでっち上げて、エントランスの鍵を開けさせた。
ついにここまできた。とにかく、重要な見落としをしないように、冷静でいることが大切だ。
それだけを考えている内に、わたしを乗せたエレベーターは四階へ辿り着いた。
部屋のインターホンを押して、顔を見せた男を、隠し持っていた警棒で殴り付ける。混乱した相手は部屋の奥へ逃げ込んだ。袋の鼠だ。
頭を殴ると、意識はあるものの足腰に力が入らなくなったのか、彼はリビングに倒れ込んだ。
とどめを刺そうとした次の瞬間、わたしは勢いよく玄関を振り返っていた。視界の端に人の影が映ったのだ。
開け放された、リビングと廊下を隔てるドアの向こうに、人がいた。大和と同じ顔をした、男が。わたしと同じように固まって、呆然と立ち尽くしている。
足元から絞り出すような声がした。
「逃げろ、兄貴」
玄関から入ってきた方が、ぎょっとした表情を見せた。
そこでわたしはようやく、間違えた、と思った。
大和には双子の弟がいる。それは調査の中で知っていた。今、わたしの足元に転がっているのは、弟の方だ。
逃げ出す大和に、決して逃がしてなるものかと、自分でも驚くほどの瞬発力でもって迫った。あとコンマ一秒遅れていれば、逃げられていた。それぐらいぎりぎりだった。警棒を投げ捨てて、代わりに手にしたスタンガンで黙らせる。
弟の方が喋りにくそうに何か言っている。
声を無視してダガーナイフを手にする。佐倉さんに使ったのと同じものだ。
弟は、今度は何か叫んだようだった。しかし声になっていない。黙らせるのは後でいいだろう。
その後、わたしに待っていたのは、気が触れそうになる作業だった。二度目の殺人。そして、人の顔を潰すという、ある意味で殺人以上のおぞましい行為。
しかしわたしはここでも自分を騙した。わたしは冷酷無比な狩人。人間の心なんて、持っていない――そう信じ込んだ。
全ての作業を終えた後、弟も眠らせた。
口封じに殺してもよかった。佐倉さんと同じように。
でも、この弟は、何もしていない。佐倉さんと違って、わたしの邪魔をしようとした訳でもない。本当に、ただ、その場に居合わせただけ。
そう思うと、殺してしまうにはひどく哀れに思えた。たまたまそこにいたせいで不幸になるなんて……まるで、交通事故を引き起こされた、あの時のわたしみたいだと思った。
だから、監禁で済ませることにした。
動けない状態にした弟を置いて、大急ぎで自宅まで車を走らせた。そして大型のスーツケースを手にマンションまで戻った。住人に見付かれば、その時点でおしまいだということはわかっていた。それでもわたしは行動していた。
走り歩を閉じ込める為にリフォームまでした屋敷に、この弟も放り込んでおくことに決めた。毎日、適量以上の睡眠薬を服用させて、常に意識も記憶もはっきりしない状態を保てば、わたしがこっそり屋敷を抜け出すことも難しくはなかった。
わたしの目的は、走り歩に絶望感を与えた上で、この屋敷に閉じ込めるというところまできていた。
けれどわたしの邪魔をする者は、佐倉さんだけに留まらなかった。
北澤明宏。あの悪徳巡査部長が、新たな弊害にして脅威となった。
――二〇二〇年、三月某日。夜。楠葉絢子。
走り歩と二度目のキャメリンを訪れた数日後。帰宅する為、署から出ようとしたタイミングで、北澤に止められた。この男とは、ほんの何日か前に口論をしている。それも、互いの刑事生命に関わる内容の。
この男が何か企んでいるのは明白だった。付き合う道理などない。
わたしは無視して入り口から外へ出ようとした。すると。
「待てよ、楠葉。楠葉元則の養女さんよ」
ドスを利かせた声でそう呼びかけられた。わたしは思わず足を止めていた。わたしが刑事になってから、外でその名前を口にしたことは一度もない。だというのにこの男は――
「んん? その反応は図星ってことですかい。どうして俺が知ってるのか、知りたいとは思いませんかねぇ?」
「……調べたの? わたしのこと」
北澤はもう一度「んんー」と奇妙な声を上げてしらを切った。
「もう一度言うぞ。話がある。俺についてこい」
わたしは少し考えてから、北澤に頷き返していた。付き合わなくて済むならよかったが、どうやらそうも言っていられないらしい。
「ですが、場所はわたしに決めさせて下さい」
そしてわたしが提案したのは、最低限の譲れない条件だった。この男にのこのこ付いていって、安全でいられる保証などない。しかし北澤がやすやすと応じる筈もない。
続けて、切り札を使うことにした。
「ある刑事が、一部の連中の面倒事を揉み消す代わりに、無銭での飲食や、夜遊びに興じていた事実を、ある飲食店の経営者から確認しています。その方も迷惑してるみたいですから、被害届が出され次第、早急に動く用意をしないといけません。ああ、ご安心下さい。今はまだ、この情報はわたしで留めていますので」
この発言に嘘偽りはない。癒着の裏はすでに取っている。本来の目的や職務と並行して調べるのは骨が折れたが、なんとか糸口を掴むことはできた。お陰で化粧を落とせば、隈が顔を出すようになってしまったけれど。
北澤は怒りを抑えているのか、しばらくは黙ったままだった。やがて、舌打ちすると、
「わかったよ」
投げやりにそう答えた。形勢逆転とまではいかなくても、これで対等な立場には持ち直せただろう。しかし警戒は怠らないに越したことはない。
北澤に気付かれないように、スーツの上からダガーナイフの存在を確かめた。持ち歩くのは危険だと思っていたが……役に立つなら、使わざるを得ない。
警察の公用車を借りると、助手席の北澤と共にパンドラのある方向へ向かった。この男と同道することは誰にも言っていない。
そして目指すのはパンドラじゃない。
以前、走り歩との話の中で出てきた裏路地。あそこなら人気はまずないし、このような時間なら闇に紛れることもできると考えた。
車中の北澤が不審な動きを見せないかと何度も窺っていたが、そのような様子は見受けられない。次のやり取りがされただけだった。
「俺はね、警部補殿。どうにもあんたが、よからぬことを企んでるように見えてならんのですよ」
「それをあなたが言いますか。わたしはただ、早急な事件の解決を目指してるだけです。あなたとは行動理念が違います」
「まあ確かに、単純な私利私欲ではないだろうがね」
そしてまた無言に戻る。
肌がひりつくような空気の中、車は路地の近くまで進んでいた。民家から遠い路肩に寄せる。
「ここなら、まず人に見付かることはありません。先に行って下さい」
「こんな狭くて暗い道をか? そこまでは聞けねえな。この中で話がしたいなら、あんたが先に行け」
そう言われるだろうとは思った。この男に背中を向けることになるのは不安だが、こうなれば距離を取ってなるべく後ろを振り返るようにするしかない。
「なぜ、祖父の……元則の名前を知ってるんですか」
しばらく進んだところで、早速切り出していた。
「祖父、とくるか」
わたしの言い方が可笑しかったのか、北澤は意味ありげに喉を鳴らして笑う。つくづく人の神経を逆撫でするのが上手い男だ。
「俺がしたい話もそこに繋がってくるんだがね。あんた、その祖父とやらを大層、慕ってたそうじゃないの」
「ですから、どうして知ってるのか、質問に答えて下さい」
「警察という立場を利用しただけだよ。あんたと同じように。なあ、警部補殿? 俺のことだけじゃなく、過去の交通事故にもえらく興味があったようだが、それはなぜですかい?」
言葉に詰まった。この男、一体どこまで調べているのか。
「警部補殿があんまり熱心に調べるものだから、俺も気になってねぇ。そしたらなんとまあ、警部補殿の名前と全く同じじゃありませんか。二〇一五年に起こった交通事故の運転手と」
「……同じ名前だから、興味を持ったんです」
「そいつはおかしいね。あんたは最初からピンポイントでその事故のことを調べていた。どうして自分と同じ名前の運転手が事故を起こしたと知ってたんですかい? 俺はねぇ、あんたが警察に入る前から総務の一部の連中とは懇意にしてるもんでね。ほとんど新人といって差し支えない警部補殿がそれを知らないのも無理からぬ話だがね」
確かに総務課の人間なら、わたしがどの資料を参照しているか知っていても不思議ではない。もっと慎重に行動すべきだった。
「それと、祖父のことと、どう繋がるんですか」
とにかく気丈な態度を崩さないことに努めた。この男を喜ばせるような反応は見せたくない。
「楠葉絢子って名前の人間がK市に一人しかいないのは確認済みだ。そこで、あんたの出自を調べさせて貰った。あんたは虐待を理由に親元から離されて、施設に入った後で、身寄りのない金持ちの爺さんに引き取られてるな。その爺さんの名前が楠葉元則だった。ただそれだけですよ」
北澤の言う「ただそれだけ」がどれほど難しいことか、走り歩やこの男について調べていたわたしには想像に難くなかった。
この男の調査力は、わたしと引けを取らない。その上、コネまである。非常に厄介な存在だ。
「なるほど。確かに……わたしが養女だというのは、あまり知られたくない事実です。ですがそれを知られてるからと言って、あなたの不正を見逃す理由にはできませんよ。あなたの言うことを聞く気はありませんから」
「おいおい、話はまだ終わっちゃいないぜ。俺の本題はこっからだ、耳の穴かっぽじってよく聞けよ」
先ほどまでと雰囲気が一変した北澤に、思わず息を飲んだ。
「その爺さん、持病が原因ですでに死んでるな? 件の事故の一年後に。事故のせいで、あんたが進む筈だった道を断たれた後に」
北澤がそう発言した直後、わたしはスーツの内ポケットに手を差し入れていた。気付いているのかいないのか、北澤に動く気配はない。
「あんたが本当に調べてたのは事故のことじゃあない。被害者であり、事故を引き起こす原因になった少女、走り歩のことだ。今回、俺らが担当してる殺人事件の第一発見者にして、あんたが必要以上に世話をかけてる相手……これはなんの偶然かねぇ?」
「何が言いたいんですか?」
「ここまで言われてわからないような馬鹿じゃないだろう、なあ? キャリア組のお嬢ちゃんよ。――わかったら、得物から手を離しな」
北澤が最後まで言い終えない内に、わたしは刃をむき出しにしたナイフを振りかぶっていた。
しかし老いてもベテラン刑事。北澤はそうやすやすとナイフを受けてはくれなかった。攻撃をいなされて、腕を取られてしまう。
けれどわたしだって刑事なのだ。それに若い。ナイフは持ったまま、すぐに北澤の手を振り払った。
互いの姿が視認できるぎりぎりの距離で、わたしたちは構え合った。
「おっと、これは言い逃れのできない現行犯だ」
「いつから調べてたの? わたしのこと」
「あんたがうちの署に来て間もない頃からだよ。あんたは俺のことをただの悪徳刑事だと思ってるようだが、ナメて貰っちゃ困るな。上手く隠してたつもりだろうが、あんたからは不穏な匂いがぷんぷん漂ってますぜ。こちとら伊達に万年巡査部長やってきてないんでね」
「お見それしたわ。あなた、真面目に働いてたらもっと上に行けたんじゃないの?」
「生憎、遊ぶには俺ぐらいのポジションがちょうどいいんでね」
状況からいって、勝率はわたしの方が少し上だろう。ここまで運転してきたのはわたしだし、地の利も、殺傷力の高い武器もわたしにはある。拳銃は今は返却してあるが、それは北澤も同じの筈。そうでなくても民家に近いこの場で気安く撃つなど考えられない。北澤の有利性なんて、男性であることぐらいしかないように思えるが。
「北澤さんはなんの為に、この話をわたしにしたんですか?」
黙って証拠を上層に挙げれば、わたしの身柄を拘束するなど簡単にできただろうに。わざわざこんな危険を冒してまでわたしに接触したということは……。
「俺もあんたに腹を探られてるんでね。互いに協定を結べればと思ったんだが……。この様子じゃ、交渉は決裂以前の問題かねぇ」
北澤が呑気な調子で答える。けれど、その声から緊張感は隠し切れていなかった。
「そうね。あなたも頭が悪そうには見えなかったけど、判断を誤ったわね」
追い詰められているのは、向こうも同じなのだ。
恐らくだが、北澤にはここでわたしを始末しようなどという考えはない。人を殺すという行為は、容易にできるものではない。すでに二人殺しているわたしにだって躊躇いはあるのだ。
そして何よりリスクが大きい。北澤は悪徳刑事だし、判断ミスもするようだが、リスク管理ができない者ではない。
この場においては、より覚悟の強い者が勝つ――そう結論付けると、ナイフを握り直した。
次の瞬間、北澤は背を向けて駆け出した。すぐさま追いかける。
もう少しで追い付くというところで、振り向いた北澤を見て、わたしは咄嗟に目を瞑った。
細かい粒が瞼を叩き付ける。――砂だ。わたしの顔に向かって、何かが投げ付けられる動作が見えてから反応しているようでは、遅かったらしい。涙が溢れた。
このまま北澤を取り逃がせば、わたしの目的完遂は潰えてしまう。手にしていたナイフを、足音のする方へ投擲した。無駄な足掻きであることはわかっているが、何もせずにはいられなかった。
予想に反して、前方から野太い悲鳴が上がった。
涙を袖に染み込ませるようにして拭う。痛みと違和感はあるものの、なんとか瞼が開くぐらいには回復した。
再び駆け出した先に、北澤が倒れていた。ふくらはぎに刺さったナイフを抜こうとしている。
やってみるものだ、と思った。わたしの足掻きは、普通なら考えられない命中率でもって、無駄ではなくなった。
ナイフに伸ばされた北澤の手を蹴り飛ばす。ナイフはわたしが引き抜いた。血が溢れ出した。
「お前ぇっ……化け物か」
北澤が悲鳴混じりに罵倒する。立ち上がろうとするが、上手くいかないらしい。
神はどうやら、わたしに味方してくれたようだ。もっとも理不尽な目に遭って以来、神など信じたことはないが。
うるさく喚く男を黙らせる為、手にしていたナイフで喉を一突きにした。しかし人間というのは思いの外、頑丈なもので、即死など簡単にできるものではない。
殺虫剤をかけられた虫のように悶える北澤を、冷ややかに見下ろした。
「あなたには随分と手を焼かされたからね。楽に死ねると思わないでちょうだい」
そして再び、ナイフを振り上げて、振り下ろす――何度も、何度も。もはや自分を冷酷な殺人者だと思い込む必要もなかった。
わたしが普段から着ている服が、真っ黒なスーツでよかった。この時ほど、そう思った日はない。
はっと気付いた頃には、北澤は死んでいた。死に顔に、苦悶の表情を貼り付けている。
わたしは血の付いた肌とナイフをハンカチで拭った。それから人のいない公園のトイレで改めて身なりを整えて、公用車を返してから愛車で帰宅した。
不思議とその日は、安らかに眠れた。
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