第2話ノアの浮上
「とにかく、腹が減った、何か食べ物はないのか。」この場所に来てからどのくらい時間が過ぎたのか分からなかったが俺の腹はさっきから空腹を訴えていた、めっちゃくるぐるなっている。
「お兄ちゃんは宇宙人の宇宙船に人間の食い物なんて有ると思うの?。」
VRのノアがさっきより落ち着いて受け答えをする、いやまて大体VRなら人間じゃ無いんだから、落ち着く時間なんて必要ないだろ。
「嘘だよー、ボクの足を舐めたら餌を分けてあげるよ。」そう言うと足を俺の目の前に突き出してきた。
「さっき自分から嫌だって言ったろうが、それより俺が嫌だと思わないのか。」
きょとんとした目で俺の方を見つめている。「違うの?、そう言うのが好きなんじゃなかったの?ボク理解できないよう、もうお兄ちゃんの事が信じられない。」
なんの小芝居なんだ、いや、俺は「さっきの話しでは俺はマスターなんだよな、主導権を渡せそして・人間・の食べ物をくれ、ボクに命じる。」
ノアはポンと一段高い所にある椅子の肘掛に飛び移り片足で立った「残念でした、ボクはノアって言わないとね動いてあげないんだもんね。」
空腹とともに疲労が倍加していく。
「分かった、ノア食事を頼む。」
「それだけなの?、ボクにご奉仕しないの?それでも良いけど何食べたいか分かんないよ。」
「いったいどうすりゃいいんだよ。」
「まあいいや、虐めるのはこれくらいにしてあげる、食事はメリナが用意するから奥の部屋に行ってよ、メリナは料理が得意なんだ。」ノアは空中に浮いて胡座をかいている。
「栄養はボクがきちんと計算しあるからね、それとメリナを食べちゃダメだよ、食べたらお仕置きするからね。」見ると逆さまになって浮いている。
こいつ、絶対主導権を渡す気ないな。ともかく俺はここに来てからノア以外に会っていない、まさか人間は俺だけで他はVRだけなんじゃないだろうな。
空腹を抱えて奥の部屋に通じる通路を歩きながら目を凝らす、レンガの迷路風に見えるが、手でそっと触るとその表面は非常に滑らかで継ぎ目も無かった、つまり視覚情報はあてにならないのだ。
通路の突き当たりの扉も石造りの重厚な扉に見えたが近づくと音も無く壁に吸い込まれた、厚みは1cm程度だと思う、やはり石ではないな。
「ヨタク様の食事の用意が出来ております。」中央の円い大きなテーブル、そこの横に立っている一見女性から声が掛かった、こちらもきちんと日本語だった。
「ヨタクって誰よ、俺は高山 コナン、探偵さ。」
「探偵って何でしょうか。」表情が変わらない、冗談が全く通じなかった。
「ごめん冗談でした、高山 優だ、現在無職で就活中なんだ、ヨタクじゃないから。」
「ノア様からヨタクと呼んだ方が好感度が上がると聞いていますので宜しいでしょうか。」
「良くないよ、その呼び名はやめて、あっと君はメリナかい。」その服装は、必要性はともかくシンプルな濃紺の膝丈のスカートに軍服のようなブレザー、薄い茶色の瞳、白い肌と尖った耳に尻尾、え、異世界じゃないのが確定ならコスプレなのか?。
「はい、メリナ03です。」
「ええい頭が働かない、とにかく食事させてもらう。」
腰を下ろした椅子は硬さはあるが座り心地は悪く無い、人間工学的に考えられているのだろう、知らんけど。
食事は俺一人分だけが用意されていた、そのテーブルは長さが5mほどもありそこに一人で座るのは居心地が悪かったがメリナは無表情に傍に立ってこちらを見ている。
テーブルの上の食器は白い普通のランチプレート、それにシート状の何かと固まりが無造作に載せてある、その側にあるコップには緑色の液体が。
いやまじこれ食えるのか、大丈夫なんかい。
箸もスプーンもない。
恐る恐るシートの1枚を指で摘んで口に運ぶ、匂いも無い、端を噛み切る
・・・味がしない、柔らかくした厚手の紙を噛んでいる食感。
「すげ〜不味い。」
仕方が無いので、コップを掴み中の液体で流し込む・・こ・「うう」
吐きそうになった、不味いんじゃなくて味がしない、飲んだ事はないが溶かした粘土とかはこういう食感じゃないだろうか。
「メリナ・・・さん、この食事って俺だけなのか。」
「いいえ、全員この食事です、栄養価は問題ありません。」
「味、しないんだけど俺の舌がおかしいんっかな。」
「味ってなんですか、私は理解出来ません。」
ムーの遺産だよお兄ちゃん、だから言うこと聞いてよねーポンコツAIとニートの事情 猫3☆works リスッポ @nekosanworks
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