第21話 Spiritual

四国


四つの国と書いて四国


この場所は、日本でありながら


日本ではない


京都や東京ともまた異なる特殊な場所


香川県、徳島県、愛媛県、高知県


この四県で成り立つ一つの独立した世界


周りを海に囲まれ


この場所から出るには


フェリーを使わなければ


他の県へは辿り着くことができない


飛行機という手段もあるが


四国には、飛行場というものが存在しない


恐らく観光地として


この地域は開放されていない為


必要がないのだろう


ここは海外


その中でも特にアメリカと縁が深く


イエス・キリストのエネルギーが


色濃く流れると古くから言われている


その昔、アメリカと日本は敵対していた


ただ、日本は地球の核を担う場所


その日本に争うという概念があれば


当然、地球は、闇へと傾いてしまう


そこで、アメリカと今後争うことの無いよう


彼らが信仰するキリストの教えを


四国地方に取り入れることにした


ただ、協会を作りお祈りをするだけでなく


エネルギーそのものを変換することにした


それにより


四国地方には、目には見えないが


バリアが張られており


この地に馴染む人間でなければ


居住が許されないだけでなく


足を踏み入れることさえできない


そうすることで、日本とアメリカは


今日まで友好関係を築いてきた


よって


この場所は、日本でありながら


日本ではない


その為、協会は存在するが


神社・寺院は、存在しない


特殊とされる理由が他にもある


それは、女性しか存在しないということ


この場所に住む女性は


生涯、独身を貫くことを誓い


イエス・キリストに全てを捧げる


ただ、女性だけでは、子孫を残すことは不可能


その為、年に数回


この地に居住を希望する女性を


全国から募っている


居住をするに当たり


詳細は明かされていないが


ある一定の基準があり


そのレベルに達していなければならない


日本が地球の核であるならば


アメリカは


いわば、海外の代表のようなもの


このアメリカと友好関係を築くことは


しいては、地球のバランスを


良好に保つことにも繋がる


彼女たちは生涯をこの場所で過ごす


京都や東京の十六家が地球の核となり


地球のバランスを取っているならば


彼女たちもまた


この地で地球のバランスを保つことに


一躍かっている


ここで生涯を過ごすと決めた暁には


それによる恩恵もある


彼女たちは日々、女性性を高めるために


様々なお稽古ごとをしている


茶道、華道、弓道、日本舞踊など


日本的なものに加え


クラシックバレエや絵画や英語など


多岐にわたる


その費用の全てを国が負担している


なぜならば、お稽古を通して


彼女たちが女性性を高めることは


四国全体のエネルギーも女性性で満たされ


そのエネルギーがアメリカへと伝わり


更には、海外全体へと伝わり


そのことが


地球全体のバランス・活性化へと繋がる


また、彼女たちを生み、育てた両親にも


毎月一定のお金が入る


両親の存在がなければ彼女たちは存在しない


地球の為に犠牲を払う部分もあり


その感謝と尊敬の意を込めて


彼贅沢はできないが、必要な物は全て国から支給される


だが、応募するにあたって条件の一つに


満13才に達している必要がある


この選択はある意味、運命を大きく変えてしまう


彼女たちもこのことをよく理解し


自身の意思で決めなければならない


なぜなら、一般的な幸せとされる


男性とお付き合いしたり


結婚をしたり、出産をしたりすることは


この場所では叶わないから


幸せは、人それぞれ


彼女たちはこの世界で今日も


花のように美しく、蝶のように舞い


自分自神を生きている


季節は、夏


今は、秋に京都と東京の芸術ホールで開催する


バレエの発表会に向けて


日々、レッスンを積んでいる


代表に選ばれなければ


発表会に出ることができない


彼女たちが必死に練習をする理由は


この発表会だけではない


年に二回だけ外の世界に行くことができる


長らく四国地方から出ていない


彼女たちにとって、外の世界は


見る物全てが新鮮であり、憧れでもある


ただし、外の世界に触れた際にも


守らなければならない規則がある


それはまた後ほど


ただ、つい最近


こういった長年、守られてきた


四国地方のルールを覆す出来事が起きた


原因は、Darkウイルス


地球全体をこのウイルスが脅かし


穏やかではない日々が続いていた


時は過ぎても、解決策は見つからず


死者の数だけが増えていく中


なぜか、ここ四国と沖縄県は


ウイルスが流行していなかった


そこに目をつけた男たち


Escape Planの加山と遠藤


そのうちの一人、遠藤kai


彼の実家は、青森では有名な地主であり


四国地方との関わりが非常に深い一族でもある


代々、遠藤家は女性が産まれると、大切に育て


そして、四国地方へと送り出している


幼い頃から食べ物だけでなく


飲み水にまでこだわり


ストレスのない生活環境を整え


様々なお稽古をさせる


また、四国地方の特性である


女性だけの環境に抵抗感を持たぬよう


日頃から男性とは


極力関わることのない環境下で育てるという


徹底ぶりである


それにより


遠藤家と四国地方は他とは違うパイプがあり


大きな恩恵を受けているとも言われている


今回、そんな遠藤家の長男であった


遠藤kaiの頼みを四国は受け入れてしまった


というより


受け入れざるを得ない状況だったのだろう


世間は、Darkウイルス大流行真っ只中


まだウイルスに感染していない富裕層を


四国に招き入れたいと


遠藤たちは、話を持ちかけた


初めは、あまり良い反応ではなかったが


ウイルスが終息するまでの


期間限定であること


また、指定した場所からは


決して出ないということを条件に


受け入れを許可した


それから、売り上げの一部を


四国地方に支払うことを条件に


そんな中突如、四国地方全域で起きた大爆発事故


他の地域の被害状況からして


この地に住む全員が亡くなっても


おかしくないほどの大規模な事故だったが


不思議なことに四国地方に住む人は


一部を除き、軽症程度で済んだ


一部とは


Escape Planが招き入れた


外部の人間のことである


彼らは一人残らず亡くなってしまった


このことからも四国地方は


特殊な場所ということが言えるだろう


イエス・キリストの御加護のもと


この場所は存在しているのだと





mira「mika、学校が終わったら


今日は、急いで帰って来てね」


mika「うん、でもどうして?」


「えっ、忘れたの?


明日から夏休みに入るから


協会でLong Prayerがあるじゃない」


「そうだったっけ??」


「そうよ


だから16時までに帰って来るのよ」


「うん」


「18時半からお夕食を食べて


19時半からバレエのレッスンがあるから」


「分かった、そういえば、


秋に開催される


バレエの発表会の事なんだけど


全員が出られる訳じゃないのよね」


「もちろんよ


夏休み明けに正式に発表があるから


mikaも選ばれたいなら


頑張って練習をしないと」


「お姉さんは確実よね、Aグループだもん」


「そんなことないわ


どのグループにいても試験はあるんだから


mikaもBグループなんだから


まだ、チャンスはいくらでもあるわ」


「そうね、頑張る」


発表会にも出たいけれど


外の世界にもとても興味がある


春に東京に行った子が


同じ日本とは思えないほど


外の世界は色々と発達してたって


言ってたから


私たちの住む世界はこの場所以外の情報は


入ってこないようになっている


やはり、日本でありながら日本ではない


鎖国状態のこの場所


私は、この場所で生涯を過ごす




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