第20話 in the case of mirai

Place Tokyo


今から遡ること10日前


教壇の目の前の席


ダンダン

足で音を立てる


ダンダン


担任「柴田さん、足をダンダンしない」


「はーい」


担任「今から通信簿を渡しますので


お家に帰ったらご家族の方に見せて


捺印をお願いしてくださいね」


カキカキ

自由帳に絵を描く


カキカキ


隣の席の男の子「柴田さん


今の結構大事な話だよ


メモしなくていいの?」


「えっ?何の話?」


「えっ、だから通信簿の話」


担任「中村くん、柴田さんの連絡帳に


今の書いてあげて」


中村くん「はい」


生徒1 あははは


生徒2 痛いっ


生徒1 これ昨日、作ったんだー


生徒2 今までで一番いてぇよっ


生徒1 まじか、じゃあ成功だ


担任「そこ、静かにしなさいっ」


女子生徒「せんせー」


担任「何?」


「どうして柴田さんへの注意は優しいのに


私たちには厳しいんですか」


男子生徒「そうだ、そうだ」





ヒソヒソ

miraiちゃんはそういう病気だからだよ


えっ、そうなの?


ママに聞いたらそういう病気あるって


言ってたよ


どんな?





担任「静かにしなさい


今から夏休みの宿題についての話をします


先程、配ったように国語と算数のドリル、


それから絵日記、自由研究と読書感想文が


宿題です」


ペラ

ドリルをめくる


ペラ


mirai

うわー、ドリルこんなにあるのー?


せっかくの夏休みなのにぃ


自由研究は、楽しそう


あと、絵日記も好き


読書感想文もいい感じ


ガタッ

席を立ち上がる


担任「柴田さん、まだです」


mirai「はーい」


クスクス

笑い声


ガタッ

座る


担任「では、次学校に来る日は9月1日です


怪我のないように


楽しい夏休みを過ごしてください」


一斉「はーい」


「では、日直さん挨拶をお願いします」


起立


ガタッ

一斉に立ち上がる


カキカキ


ヒソヒソ

柴田さん(中村くんの声)


あぁ


ガタッ

立ち上がる


クスクス


きょうつけ、礼


日直「さようなら」


担任「はい、では9月1日ね〜」


イェーイ


夏休み♪夏休み♪


お前んちどっか行くの?


うん、おじいちゃんち


俺、北海道!


いいなぁ


中村くん「柴田さん、荷物全部ランドセルに


しまった?」


mirai「うーうーん、まだぁ」


「さっきから何描いてるの?」


「これ?


じゃーん、見て!今ね、絵本作ってるの」


「えっ、絵本?!すごいね」


「うん、大作なの」


「確かに、上手だね絵」


「ありがとう」


「柴田さん


図工の時間は、いつも集中してるもんね」


「うん、図工大好き!」


「そっか、でさー荷物」


「あっ、そっか」


担任「中村君、いつもありがとね」 


「僕は全然大丈夫です


弟たちの面倒で慣れてるので」


「そういうことかー


サポートが慣れてる感じ」


mirai「よしっ、終わりっ!」


中村くん「柴田さん、学期終わりだから


お道具箱も持って帰るんだよ」


「そっかー、学校は色々と大変だね」


「笑、うんそうだね」





そして、現在


ドサッ

ベッドに飛び込む


お菓子を食べながら漫画を読む


ふんふんふん

鼻唄を口ずさむ


ペラ

ページをめくる


ピピッ

エアコンの温度を下げる


はー、快適


一人っきりで過ごす日々は


ママ、お仕事で20時まで帰ってこないし


自分のペースで何でもできるって最高


あっ、もうこんな時間


今日は、8月1日


あと1ヶ月もこんな日々か続くなんて


夢みたい


嬉しい、嬉しすぎる


正直、毎日学校だった日々は


色々と限界だった


毎朝、同じ時間に起きて


月曜日から金曜日まで毎日学校に行って


そして、決められた時間割どうりに


プログラムが進行する


休み時間から掃除の時間まで


全てがきっちりと管理されている


どうもその環境に未だに慣れない


好きなことなら


いくらでも何時間でもできるんだけどな


こんな私だってはじめの10日ぐらいは


周りと合わせようと必死に頑張った 


けど、女の子って何であぁなんだろう


休み時間だけじゃなく


トイレのタイミングまで同じ


私には、無理


グループ行動憧れて参加していたけれど


できないことに気がついた


だから、一人を選ぶことにした


それに、私には心の声が聴こえるから


聴こえてしまうから


言葉にしていない


本来なら、誰にも知られたくない


内に秘めておきたい心の声が


私には、聴こえてしまう


シャットアウトしたくてもできない


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