第6話 異変
ニュースをお伝えします
長い間、世間を賑わせていた
Darkウイルスもようやく終息を迎え
また、11月11日に北海道、京都府
それから四国地方全域に起きた大爆発も
その他の地域に被害が広まることなく
事態は終息しました
また、海外で起きていた暴動騒ぎも
落ち着きを取り戻し
ようやく地球は、平和な日常を
取り戻しました
この一連に繋がりがあるとは思えませんが
同時期に落ち着いたことを踏まえると
全く関わりがないとも言い切れません
ただ、一つ残念なお知らせがございます
先程お伝えしました
大爆発による被害状況ですが
北海道、京都府、四国地方全域にお住まいの
全ての方がお亡くなりになられた可能性が
非常に濃厚とのことです
警視庁ではまだ詳しく捜査を進めている
段階ではありますが
万が一、生存されている方が
いらっしゃいましたら
こちらまでご連絡いただけますよう
宜しくお願い申し上げます
奈良県
柊高校
男子生徒「うぉりゃーーーーっ」
ガッシャーン
ガラスが割れる音
きゃーーーーーっ
悲鳴が上がる
バリンッ
男子生徒2「はは、おもしれぇっ」
ブンブンブンブン
バットを振り回す
生徒1「片っ端から全部やってやる」
ガッシャーン
ガッシャーン
きゃーーーーーっ
グシャッ
足でガラスを踏みつける
グシャッ
バタバタバタバタ
先生が駆け寄る
担任「こら、やめなさい、何をしてるんだ」
生徒1「うるせぇっ」
ブンブンブンブン
バットを振り回す
担任「こんな危ないもの、離しなさいっ」
生徒2「黙れって言ってんだろうがっ」
ガッシャーン
担任「他の生徒は、きょ教室に戻りなさい」
バタバタバタバタ
生徒が一斉に去っていく
担任「校長先生」
校長「何をしてるのっ、あなたたち」
生徒2「むしゃくしゃするから
ガラス割ってんだよ見たら分かるだろうが」
校長「あなたたち2年の
澤田くんと甲斐くんね」
生徒1「だったら何なんだよ」
校長「お家の人に連絡して
迎えに来てもらいます」
生徒2「来ねぇよっ
俺になんか興味ねぇんだから」
校長「とりあえず、校長室に来なさい」
生徒1「うるせぇんだよ」
校長「何ていう口の聞き方」
生徒1「ははっ」
担任「笑うんじゃない
校長室に行きなさい」
ダンッ
壁を蹴っ飛ばす
生徒2「だから、
うるせぇって言ってんだろうが
俺に指図すんなっ」
バタバタバタバタ
保健師が駆け寄る
保健師「澤田くんの家も甲斐くんの家も
連絡がつきません」
先生1「だから、言っただろうが」
コソコソ
保健師「どうします?」
ガッシャーン
ガッシャーン
担任「澤田、甲斐
一体、何がそんなに気に入らないんだ」
生徒2「全部だよっ、いちいち聞くな」
担任「少し前までは
真面目に野球やってたじゃないか」
生徒1「別にやりたくて
やってたわけじゃねぇよ」
担任「そんなことない、一生懸命だった」
生徒1「ガタガタうるせぇなっ」
担任「今日はもう帰りなさい」
生徒2「帰っていいの、ラッキー
じゃあ、俺帰るわ」
生徒1「俺も帰るってことで」
ブンブンブンブン
ガラガラ
きゃーーーーーっ
生徒2「きゃーきゃーきゃーきゃー
いちいちうるせぇんだよっ」
ダンッ
机を蹴飛ばす
きゃーーーーーっ
京都府
RRRRRRR
RRRRRRR
RRRRRRR
mitsuru「もしもし、貴宝です」
政府「もしもし、こちら日本国政府です
ご無事で良かったです、その声は」
「mitsuruです」
「長男の」
「はい」
「良かった、生きていらっしゃって
お姉さんやお母様は?」
「姉と母は、あの爆発事故で
亡くなったんですよ」
「そうでしたか、では、貴宝家は
あなただけが生き残ったんですね」
「はい」
「それは大変でしたね
この爆発事故で、十家は誰も
生き残らなかったんですよ」
「そうですか」
「五家に連絡しましたところ
安西家のmikoさんだけが
生き残ったみたいでして」
安西miko、あの子だ
「そうでしたか」
「二人だけでも生きていらっしゃって
良かったです」
「はい」
「実はこれから公にするんですが
爆発した土地が回復次第
居住者を新たに募る予定なんですよ」
「そうなんですか」
「えぇ、ただ貴宝寺周辺は
居住できる方が限られていますので
その他の地域を募集する予定です」
「まぁ、そうなりますよね」
「mitsuruさんとmikoさんは
大変かと思いますが、ご了承ください
お二人は、面識はあるんですか?」
「えっ」
面識というか、この前偶然会った
「いえ、ありません」
なぜか嘘をついてしまった
「そうですか、mikoさんはmitsuruさんの
一個下になります」
「そうなんですね」
「はい
ですから、ちょうど宜しいかと思います」
「えっ」
ちょうどいいって
「あっ、いえ」
あぁ、そうか
跡継ぎの話をしてみるのか
「分かりました、今度伺ってみます」
「それは良かった
くれぐれも宜しくお願いします」
ガチャン
突然、跡継ぎの話をされても
彼女の気持ちもある
俺の方はというと、悪くないと思う
悪くないなんて言い方をしたら
上から目線になるけど、素敵な子だと思う
俺の一個下ということは、中学三年か
その若さで結婚など考えられないだろう
まぁ、俺も考えたことはなかったけど
この爆発事故で学校も強制的に閉鎖
そりゃあ、そうだよな
授業をする先生もいなければ
生徒もいないんだから
することもないし、彼女の家に行ってみるか
一人っきりでどうしてるか
ずっと気になってたし
奈良県、柊高校
校長「では、会議を始めたいと思います
何か、ありますか?」
手が挙がる
校長「はい、小倉先生」
小倉「うちのクラスの澤田と甲斐の件で」
校長「そうですね
話題はそれしかありませんね」
「昨日、乱闘騒ぎを起こしまして
昨日は早退させ、今日は無断欠席してます」
コソコソ
無断でもいいから、学校にいない方が
平和よね
まぁ、そうだな
小倉「今、あの二人を野放しにしておくと
何をしでかすか分かりません」
校長「確かに、そうですね
ただ、他の生徒の親御さんからも
二人を登校させないでほしいという声も
あがっていますし
偶然、二人とも母子家庭という環境でして
親御さんもあまり協力的ではないんですよ」
小倉「だったら、尚さらこちらで
あの二人を監視しておかないと
何か起きてからでは
我が校の信用にも関わります」
校長「もちろん、それも分かっています
二人があんな風になったのは
いつからですか?
確か、先月までは放課後は
校庭で野球の練習してる姿を
よく見かけましたけど」
顧問「先月までは、練習に参加してました
それが今月に入ってから
突然、来なくなりました」
校長「部の中で
何かトラブルはありましたか?」
顧問「いえ、特には」
校長「原因は、何でしょう」
手が挙がる
校長「はい、荒木先生」
荒木「実はうちのクラスでも
あの二人ほど荒れてはいませんが
クラスで揉め事が
頻繁に起こるようになりました」
校長「最近ですか?」
荒木「うちも今月になってからですね」
校長「そうですか
今月入ってから学校で何か変わったことは
ありましたっけ?」
小倉「いえ、特には」
顧問「今月初めと言ったら
あの大爆発で大騒ぎでしたから」
校長「大爆発
ただ、それと生徒たちの騒動とは
関係性はないはずなので」
荒木「そうですよね」
京都府
ドンドンドン
扉を叩く
ガラガラ
扉が開く
mitsuru「こんにちは」
miko「mitsuruさん」
「ごめんね、突然」
「いえ、特にすることもなく
毎日、時間を持て余してましたから」
「俺も一緒」
「良かったら、お入りください」
「じゃあ、お邪魔します」
家もそうだが
この家もなかなか年季入ってそうだな
造りも家とよく似ている
若干、家より狭いといったところだ
miko「すみません、散らかってて」
mitsuru「いえ、全然」
今のは、社交辞令で言ったのだろう
言葉とは裏腹に綺麗に整理整頓されている
miko「今、お飲み物をお持ちしますね」
mitsuru「あっ、お気遣いなく」
スタスタスタ
お盆を持って近づいて来る
畳を最近、張り替えたのか
い草の良い香りが部屋中に漂っている
居間には、彼女のご両親とも思われる
写真が飾られている
mitsuru「手を合わせてもいいかな」
miko「えぇ」
スタスタスタ
チーン
手を合わせる
お久しぶりです、貴宝家のmitsuruです
10年振りでしょうか
もう一度、会ってお話したかったです
mikoをよろしく
どこからともなく声が聞こえてくる
この声は、きっと彼女のお父さんか
そう、俺には特殊能力がある
未来を予知する能力
それから、亡くなった人の声が聞こえる
mitsuru「分かりました」
miko「えっ」
「あぁ、何でも」
心で答えたつもりが
うっかり声に出てしまっていたらしい
「紅茶をどうぞ」
「うん、ありがとう」
これは、アールグレイか
それも高級な
俺も紅茶は好きでよく飲むから、分かる
「これ、かなり良い紅茶だね」
「えっ、分かります?
私、紅茶にはちょっとした
こだわりがあって色々と集めてるんです」
「俺も紅茶、好きなんだよね」
「そうなんですか、良かった
分かってもらえる人に飲んで頂けて」
フフ
と言って微笑む彼女がとても可愛く思えた
mikoさんはmitsuruさんの一個下になります
ですからちょうど宜しいかと思います
mikoをよろしく
この周りから応援されている感じ
そして、俺の気持ち
なかなか良い感じだ
ただ、彼女の気持ちというのも大事だ
それにより
この先の未来がかなり変わってくる
miko「あと、これ」
恥ずかしそうに差し出す
mitsuru「もしかして、手作り?」
「そうなんです、お口に合うかどうか」
パク
今の言葉も社交辞令なのだろう
言葉とは裏腹にめちゃくちゃ美味しい
「すごく美味しいよ」
「良かったです」
「mikoさんも座って食べよう」
「ありがとうございます」
いや、こちらこそ色々とありがとう
ここ最近の体調不良に爆発事故に
姉と母の死で、正直参っていた
久しぶりに楽しいと思える時間を過ごす
カチ
ティーカップを置く
「良かった、mitsuruさんがいてくれて」
えっ、それってどういう意味?
じーっと見つめる俺に気づいたらしく
「あぁ、家族全員亡くなってしまったので」
あぁ、そういう意味か
俺は、死者の声は聞こえるが
生きてる人の心の声は聞こえない
「良かった、生き残った意味がある」
「貴宝家は
日本にとってなくてはならないもの」
「それを言ったら
五家のmikoさんも同じだよ」
「家とは、また訳が違いますから」
「この前も言ったけど
敬語は使わなくて大丈夫だよ」
「いえ、そういう訳にはいきません」
「じゃあ、もっと仲良くなったら、ね」
少し大胆なことを言ってみる
「はい、光栄です」
予想とは反して彼女は爽やかに即答した
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