第74話 従妹との約束
「さ、桜!」
俺は慌てて桜から離れた。いや、触って無い……いや、触ったけど……そういうつもりじゃ無いから! 俺は慌てる様にバック取っている態勢から後ろに飛んでそのまま床に尻餅をつく。
「!」
その瞬間桜の目が光った……様に見えた……野性動物が獲物を捕らえる目、昔の俺の目……。
「チャンス!」
桜はそう言うと俺に飛び付き、抱きついて来る! え? あ、しまった。
桜の小降りな二つの双丘が俺の目の前に迫って来る、そして尻餅をついている俺にのし掛かって来た。
こ、これは! むぎゅうう!
桜は俺をそのまま押し倒し、俺の上に全体重をかけて乗っかって来る。
そして、桜の胸が俺の顔を押し潰す……柔らかい感触が俺の顔を包み込む……そしてさらに押し付ける様に構わず俺の頭をそのまま抱え込んだ。
もう顔がおっぱいになる勢いで桜の胸が俺を押し潰す。
そして……さらには足を俺の胴体に巻き付け完全に桜と俺が一つになる。
な、なんだ俺は襲われてる? いや、違う……これは……フォール?
そう思った瞬間、桜は俺の両肩を強く持ちそのまま床に押し付け様とした。
「やらいでか!」
俺は昔取った杵柄宜しく、反射的に、そのまま桜を持ち上げる様に体を大きく反らした、首と足で身体全体を大きく反らす、いわゆるブリッジをした。
「きゃあああ」
桜が小さな悲鳴を上げたが、もう今度は許さない……俺はそのまま桜を横に薙ぎ倒しす。俺も桜がやった様に両肩を持って相手の両肩を床に押し付けるというフォール勝ちを狙う……。
俺は素早く身体を入れ替え、桜を押さえつけるべく桜の身体の上に股がり前のめりに体重をかけた。
俺と桜の顔が近付く、そこで一瞬我に帰る、えっと……あれ……桜いつの間にかこんなに成長して、えっと前に会ったのっていつだっけ? そう言えば胸もツルペタだったのに、あんなに感触が……
俺が一瞬止まったのを見て桜は赤ら顔で俺を見つめて言った。
「──瞬兄ちゃん……いいよ」
桜はそう言って目を閉じた……俺はゴクリと生唾を飲む……そしてゆっくりと桜の顔に自分の顔を近付ける。目を閉じるとわかる長い睫毛、桜のはあぁはあぁという息遣い……俺はさらに桜の顔に自分の顔を近付けた。
俺と桜の鼻先がかすり、そして唇同士がくっつくそのちょっと手前で……。
俺は顔を少し引く……そしてその反動を、頭の重さを、重力を利用して一気に首を落とした。桜の頭の前目掛けて俺の頭の前を……思いっきりぶつける。
「ぎゃあああああああ!」
『ゴツン』という鈍い音と共に桜が絶叫する、
さらに頭を押さえて俺の下で悶えている。
「はははは、俺をからかうとこうなるってわかってるだろ? マゾかお前は」
「いたいいいいいいい、瞬兄ちゃんのばかあああああ」
「ハイハイ、バカで結構……」
そう言って俺は桜の上から退いた。そして立ち上がると、上から見下ろす様に
頭を押さえて悶える苦しむ桜を見つめる。
……えっと……やっぱりこいつ……かなりでかくなってる……。
数年ぶりに見るいとこ……あんなに小さかったいとこ……子供だったいとこ。
幼女が少女になっている事に少し感動している……あんなに小さかったのになあ……って言う、結婚式のおじさんの様な自分がそこにいた。
「ううう、いてて……でも瞬兄ちゃん! さっきフォール取ったよね!」
「え?」
「ブリッジで返す前両肩入ってたでしょ!」
寝たままで俺を見上げ、頭を押さえながら涙目でそう訴える桜……いや、まあ入ってたかも知れないけど……。
「入ってたか?」
「うん! 絶対入ってた!」
「……まあ、桜がそう言うなら、入ってたんだろうなあ……」
うん……成長したなあ、昔はどんな手を使ってでも無理だったのになあ……。
「本当に!!」
「え? ん? まあ……」
「やったやった! 遂に瞬兄ちゃんからフォール奪った!!」
僕がそう言うと何故だか桜は飛び上がり部屋を駆け回る。
いや、昔ならまだ知らず、もうずっと競技から遠ざかっている俺じゃあ、いくらまだ小さいとはいえ、隙を見せたらもうフォールくらい取られるだろう? そもそも桜は…………。
「じゃあ約束守ってね!」
そう言うと桜は僕の目の前で、僕を見上げて満面の笑みでそう言った。
「約束?」
桜との約束? まさかよくある子供の頃の約束とかじゃ無いよね? まあ定番なのは結婚するとかそう言う奴だけど。まあいくら何でもそんな約束をした覚えないよなあ、そもそも俺と桜何歳違いだよ、ロリコンにも程があるだろう?
そして俺はそんな考えも吹っ飛ぶ程の約束をしていたらしい……。
「瞬兄ちゃん! 約束通り、私の処女を貰ってね!」
──昔の俺……捕まれ!!
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