第43話 出口
ソルは気づかず
ロボットのいどうは前のターンにくらべ、チェックが
「ヒュンッ」
とすぎてから、
とうとう、のこり1kmをすぎました。
おもわず口もとがゆるみ、すぐに気を引きしめました。出口になにがまっているか、わからないからです。
大きなカーブに入るやいなや、彼はとび
気もちを落ちつかせながら、指のすき間からカンオンの明かりをもらし、
光が見えてきました。
ゴールの
そこから
もういくらなんでも、クラランには入っているはず。地下はしらないが、地上ではおそらくそうだろうと、
「おまえ、出口のとこわかるか?」
「出口、人いないか、わかるか?」
「出口、人いないか、わかるか?」
少しイラだって、たずねました。
「よし、テイサツにいけ。見つかるなよ」
前方をゆびさしました。
でも、まちぶせしていたら? あいてもカンオンを持っていとしたら?
なおさら
今ソルは「
カンオンがもどり、さっそく
上下グレイのスウェットに身をつつみ、白いマスク、黄色いゴムイボつき
うでを組んで
「いや、子ドモですけど……」
うすら
ローカル
トンネル内はまだ暗く、出口は
ロゴスそのもののような、
「……」
ぼそぼそ、なにか声にならぬ声で、つぶやいています。
足ぶみどうぜんで、できるがり、ぜったい見つかないであろうていどまでちかづき、立ち止まりました。
そうじロボットが彼より先、出口につきました。光がゆれ、
もどってきたカンオンには、彼らのリラックスしたすがたが
「よし。」
つばをのみこみ
「チッ、どうするよ」
とおくからサイレンの音が
パワーウインドウにスキマが空き、エンジンがかかりました。ギヤがバックに入っても、ピーピーと音はなりません(もちろんクラランでは違法行為です)。ここらへんは
二台の
なるべくたくさん道を横切り、来た道とつながらない道へ出ようとしていました。メチャクチャに走りまわり、
もっと細い道へ、
高い
道に面したところにだけそれがあり、三方はガラ空きでした。ボンネットのない
細長い青空に、
「シャー」
と、
「うっせーな。あっちいけよ……」
「シャー」
「おれの方が先に――」
ハッとなって身をおこしました。
キョロキョロして、カンオンをさがします。
あいつ、またどこかに……。
「ソルくんね」
と言われ、ふりかえりながら
ソルは、ほんもののパトカーにの中にいました。彼ののっているパトカーの前後にも、べつのパトカーがはりついていました。
トンネルを出るとどうじ、ソルの
またか……。
しつこいくらい、じぶんの
おねえさんはチェック
「――カンオンは?」
ニコッと
「あなたのカンオンは、だいじなようがあって、あなたとおなじように
上下、
「――クララン本部から、サン・ニコル
「くわしいことは、
「
いまわしい
「あー、びっくりした(笑) きゅうに大声ですから、おどろいちゃった。なに、どうしたの?
と、ほほえみました。
彼の右どなりにすわっている、
おじいさんは、おねえさんの方をチラッと見ました。
「ちょっとこれは、だいじなことなんだけど――」
トーンが変わりました。ソルも
「君のその手にしている
べつにやましいことはありませんが、かたくなって、カクカク左手をもち上げました。
「ふ~ん。コレだれにもらったの?」
「……」
おねえさんは、おじいさんを見ました。おじいさんは、だまって見かえしました。
「……」
「その
「……」
彼女はコミュニケーション・マニュアルを見ていませんでした。キャリアのエリートだから、
「今じゃなくても、いいから。あとで話してくれる?」
「……」
ソルはなやんでいました。なにを、どこまで、しゃべっていいのか。じぶんにとって、島の人たちにとって、
いったいなにをしゃべれば、だれを売ることになり、オレは
――いうほどか?
イヤ、いうほど
すくなくとも
ポリスあいてに、おおげさすぎじゃねぇの?
まあ、だれも
――おい! 後で
それともなにか?
けっきょくのとこ、どっちが
(じっさいはそれらはランダムで相前後し、入り混じりあっていましたが……)
とかさ、わざとコトバあそびして、時間かせぎしてるだろ?
見え見えなんだよなぁ(笑)。もう、バレバレ。
――ていう、これも
ぬかるみに、スタックしてしまいました。ひさしぶりの彼らしい
「――これほしいの?」
とつぜん言い出すソル。
「?!」
となる、おねえさんと、おじいさん。
「ほしけりゃ、あげるよ」
サイズのあっていない、ゆるい
「ハイ。」
おねえさんは
すかさず、おじいさんが
「ただいま、
ボソッと、前の人がひとり言のように言いました。
どうせカンオンがモニターしているので、
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