第31話 ダーティワーク 1 水面下
うまいこと、はぐらかした(?)
なにより、いちばん気がかりなのは、ナップサックの
早いとこ、なんとかしなくちゃと、彼はあせるばかり。ずうっと、それを手ばなす
手っとりばやく、
どうせ、ここは
――と、すぐあやまりに気づきました。それまでの
まあ、いいや。もうオレのしったこっちゃねぇーし。とにかく
だらしない
うっくつした行きがかりと、この先まちうける
彼の思いをよそに、おじさんは
はやく、なんとかしなくちゃいけないのに……。
イライラする、ソル。
なのに、いつまでたっても、あいつが……
さすがに、あのさわぎの後で、スキをみせるとは思えません。彼には、おじさんの
それにしても……
「――いつになったら
イライラの
「ちぇ、こんなことなら
とっさに、そこまでキメの細かい
らちが開かないので、しかたなくソルはヒマつぶしに、先ほどの
それから、あの店にいたみんなに、さがす
て、ことは?
カンオンか、レーダー
でも、みんなじゃない。たぶんアイツだけ、もってるっぽい。
それでゴチャゴチャ、もめてたんじゃないのか?
ん? ちがうのか?
あれこれモンモンとしつつも、今の彼には、これが
「そんなこたぁ、どうでもいいんだよ、オレは!」
ただ、ほんの少しだけ、ほんの少しだけ
カンオンがないので、ゲームもできません。たたでさえ
チェロキーは時間どおり、いつもの
スリッパでドアをおし
「もしもし、もしもし――」
「ピィーィイ!! ィィィイイィィイィィイィィィィ……」
「えー、あのぉー、子どものことですが――」
「えーはい。あーはい。……はい。……はい」
「いえ、それは、
「……では、このまましばらく、
「……はい。……はい。……はい」
「わかりました」
「こちらからの
「なにもなければ、このまま
「では、その他もろもろ、細かいことは、またつぎの
「……はい。……はい。――わかりました」
「では、
「オーバー」
さいごは
クラブ「ニューアンカー」の店のおくから、はなし声が、もれてきています。カウンターごしの、お
ビニールのかかった
そこからはもう、ヒソヒソばなしではなく、ふつうにしゃべるママの声がきこえました。
「……ちょっとぉ、どういうことかしら?」
「聞いてないわよ……そんなこと。ハナシがちがうじゃない……」
「……ええ、そう。……そう。……そう。……そうよ」
「だってぇー、あの二人は、あたしより先に
白く
パッと、
ひととおり
とつぜん
「えぇー。そぉーんな、言い方ないでしょう」
「なぁんのために、ワタシはいるのかしら?」
つけまの
コンシーラーをおくと、身をのり出し、クワッと目を広げます。ビューラーでまつ毛を上げ、アイラインとマスカラをぬり、
ちかごろ
またコンシーラーを手にとりました。
とつぜん、ゲラゲラ
「
だんだん、
「なぁんか、ぜんぜん
気のないそぶりでいうと、いったん
むひょうじょうで、コロコロ、コロコロ。
むごんで、コロコロ、コロコロ。
もくもくと、コロコロ、コロコロ。
しんけんに、コロコロ、コロコロ。
コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、コロコロ、……
「まぁーた、アタシがビンボーくじぃ」
ふくれっつらで、コロコロ、コロコロ。
「メンドーなことは、みーんなアタシなのね」
じゃっかんうれしそうに、コロコロ、コロコロ。
また、
「ハイハイわかりましたよ。ホーント、みんな手間のかかる子たち、なんだから」
体がほてって
ねぼうをしたことが、ちょっとしたカルチャーショックでした。いかなるものからも、おこされなかったからです。ばくぜんと、ケアされるのが
ふぁ~と、
「なんだよ。おこせよ……」
カーテンごしのやわらかい
――ハッとなって、長イスと
ハメゴロシの
ほっとするより、
「チッ、あさっぱらから、気もちわりーの。あさじゃねーか」
キョロキョロ見まわしました。
「なんだ、まだ(カンオン)いねーのかよ」
「いつになったら、あいつはかえってくんだよ……」
らくたんして、つぶやきました。
とりあえず、あの
「
「……はぁ~?!」
「なんなんだよ、コレ!」
きのうの
大人にほんろうされっぱなしで、なんだかハラが立ってきました。どうじに、むりょくな子のじぶんにも、ハラが立ちました。ここへきてようやっと彼にも、みずからが
あらっぽくドアを開け、
おじさんの帰ってくる
「さて!」
と声にだして、立上がりました。これから
ようじんにこしたことは、ありません。おじさんもカンオンも
でもその前に、まずは
おじさんのジムニーは、
ハイブリッドのエンジンは、ほぼアイドリングしか、したことがなく、
いちだんらくついたチェロキーは、ボロ
「なあ、おまえは
「
おじさんは、しらばっくれましたが、かまわずチェロキーは
「なんでやつらは、
「いや、だから
「どう考えたって、その方がうまくやれるだろ」
おじさんは、ただ、わらっていました。
「その方が
かたをすくめる、おじさん。
「じっさいのとこ、あせってんじゃないのか? ぜんぜん、
「たんじゅんにメンドクサイんだよ(笑)。 ヘタにかかわって、じぶんだけ
いきなり、ぶっちゃけますが、チェロキーも、さらりとかえしました。
「バカなやつらだ。後で
「おれらと
間をおかず、またしゃべりはじめました。
「人が
はなしのとちゅうまでは、からかう気マンマンだったチェロキーですが、けっきょくだまって、おわりまで聞いていました。
「それより、あの子は、ほっといていいのか。カンオンいなくなったんだろ?」
チェロキーは、わだいをかえました。
「なに、こうつごうさ。
「それに――。それがなくても(監視には)、
チェロキーがうすら
「こっちは、だいたい
チェロキーが
「もう、やってるよ」
おじさんは引き上げました。
どこからか、ターコイスブルーの
土でそで口とかた口をよごし、体をほてらせ、アゴから
「もう、そろそろいいだろ」
だいぶ手こずりましたが、なんとか彼の、なっとくのいく
「えぇ~」
ボーゼンと
横むきに、すっと立ち上がると、走らず大またで歩き出しました。
「――とにかく、君をボートにのせる、ことにきまったから。そのつもりでいて」
おおあわてで土をはらい、
「後、できれば自分か、だれか他の大人が、ついていくことになるかもしれない」
「はぁ、そうですか……」
まだ
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