第18話 出航
なんの目やすもない、
「コッコッコッ」つつくように、ときおり小さく
いつしかソルたちは、ふだんと変わらない時を、すごすようになっていました。海のまっただ中にありながら、エリゼにいるような、
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ニコライの
「あ”あ”あ”あ”あ”あぁぁぁぁ××******×××××***×××***××あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”××***×***ぁぁぁぁぁ――
「ヒマなんだぁよおぉぉぉぉぉぉおおおぅぅぅうううう!」
「きゅうに大きな声ださないでよ! そんなことは、みんなわかってんの」
「だって。」
ホッとしたマリが、ジュリにかぶせます。
「みんな、そうなんだよ。ニコライだけじゃないんだから」
と、あいづちをうちました。
「あ”あ”あ”あ”あ”あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「……」
いちばんホッとしているのは、だまっていたソルでした。ふうー、セーフ。あぶない、あぶない。
「ヒマだ、ヒマだ、ヒマだ、ヒマだ、ヒマだぁぁああぁぁぁよぉおおぉぉぉぉ――
「だあー、ウッサイ! ウッサイ! ちよっとぉ、ソル! あんたもなんか、いいなさいよ。おんなじ男子でしょ!」
おなじね……。ないしん、つぶやくソル。
「さっきやった、アメでもなめてろよ」
「もうない」
ポツリというニコライ。
「?」
なんのことか分からないソル。
「もうない!」
大声をだすニコライ。
「しるか!」
つられて大声をだすソル。
「もお、しずかにして! マリのおなかにわるいでしょ、赤ちゃんになんかあったら、どうすんの!」
ジュリが一ばん大きい声で、どなっていました。
だから、そんなことぐらいで氏なねえよ。まいど思うソル。
「じゃあ、みんなのカンオンで、なんかやる?」
とつぜん、とっぴょうしもなく、ソルがいいました。
「???」
あのソルからの、いがいな
「どうせ、たいしたこと、できない」
「いいんだよ。たいしたこと、できなくて」
「トランプゲームとかぐらいしか、できないよ」
フォロ―するマリ。
「じゃ、それで」
「はぁ?」
「七ならべなら、わたしとくい!」
きゅうに、はしゃぐマリ。
「なんでもいいから、やろう、やろう!」
ゆかにりょう手をつき、パンパン足をたたくニコライ。
「……」
むごんのジュリ。
「こんな
ひきつづき
水で
「ねえ、なんか、くらくなってない?」
ガマンできなくなったのか、マリが、さいしょに口に出しました。
「それになんか、ちょっと……」
口ごもりました。
「……」
あたりを、うかがうジュリ。
「なんか、クッセー」
気がついたことを、すぐに口にするニコライ。
ソルも気がついてはいましたが、
「ちょっと、見てくる」
立ち上がって、ソルはドアへむかいました。
ほほをなでるような、ぬるい
「なんか、やばくない?」
そうつぶやくと、彼はまわれ右しました。
もどってしばらく、彼はだまったままでいました。
「……で?」
ジュリがたずねます。
「そらが暗い」
口かず少なく、
「で?」
ニコライが、かさねて聞きます。
「風が出てきた」
といって、マリのほうをチラッと見ました。
「……」
マリは、だまっています。
しったからって、子らではどうにもなりませんが、
けっかは、すべて
だれもが
「で、けっきょく
あっさり、ニコライがいいました。
「こなきゃ、いいけどね」
へいせいをよそおって、ソルがいいました。
「くるわけないでしょ。あんたたちの
「だれも
「あ、そう」
「ダイジョ―ブ、ダイジョ―ブ。
マリをだきよせながら、ジュリはいいました。
フツフツ
また雨が、はげしくソルの
「ぬれたぬれた。ハズレたね、カンオン」
ニヤッとして見せましたが、
「で、それで、どうすんの?」
「どうするも、こうするも……」
「ひゅぅぅぅううううう、ごぉぉぉぉおおおおおおお! ざっぶん、ざばぁあ、ざぁぁあああああ!」
「あんま、こうふんすんなよ、ぶったおれるぞ」
なんかハラのたったソルが、いいました。
ニコライがむっとして見かえし、女の子たちが、ビクッとなりました。彼がニコライの
すこしくらい、いってもいい
「ちょっと、やめてよね、マリがこわがってるじゃない」
「またマリかよ。ちょっとは、じぶんのせいにしたら?」
「どういうこと?」
「なんでもないよ」
ニコライは
きょくげんまで、
「くらすぎんだろ、これ!」
さけぶニコライ。
「おかしいよ。ぜったい、おかしいよ! なんでカンオンまで、明るくなんないの?」
なっとくいかない、ジュリ。
ソルは、だまっていました。ビビリをかくすためと、いくら
「もおー、なにやってんのよ、ソル!」
「ぽぽぽぽぽーん」
「あーもう、やめた。しるかボケ!」
「つよいゆれに、ご
「
風と
「え、なに? なんていったの?」
「ぽぽぽぽぽーん」
「な・ん・で・も・な・い!」
「どなんないでよ!」
「つよいゆれに、ご
「え、きこえない」
「な・ん・で・も・な・い!」
「ガンッ!」
ブッツリ
「いってーな」
「マリ、だいじょうぶだった?」
「うん、わたしは、ぜんぜんへーき」
まず「これは
「ふむ。……つまり、どういうこと?」
ニコライがたずねました。
「オレしーらね、だってよ。ようは
「そんなの
「まあ、あれだ。さいしょっから、
「いやー、まいったね。
「どーすんのよ!」
「
そういって、ソルは、せせらわらいました。
「ダメだ。おかしくなってる、この人」
ジュリが、あきれていいました。
「もういい」
はきすてるように言うと、暗がりの中、マリの手をとって
「つまんねー」
ふてくされるニコライ。ベンチシートにもどり、足をかかえ、三人ぶんをつかって横になりました。
ソルはリセットされたみたいな、じぶんの
うつうつとしていましたが、ふと気がつき、ソルはさけびます。
「ダメだみんな、
「ちゃんと
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