第17話 つまずき
「きた」
小川の先を見ていたソルがいうと、みんながいっせいに、そちらをむきました。かすんだかなたに、川はばと同じ大きさの白い
「ふぅーね、じゃーん」
ニコライのよろこび
「なに、あれ?」
ジュリがききました。
「ふーね、じゃん」
こたえるソル。
「だから、なんで、ここにいんの?」
いぶかるジュリ。
「さぁ」
うそぶくソル。
「あの
マリが
「さぁ……」
ゆっくりゆっくり、
「おっせー、おっせーよ」
「すっトロい、
イラだつニコライ。
「ぶつかるよ、あれ」
「あの
「ぶつかってもいいの?」
「まだかよ!」
ジュリは、うたがわしげに、ソルと
スクリューが
音がやみました。
「さて」
とは、いったものの。ソルはどうしたらいいか、わかりません。とりあえず
こればっかりはカンオンに、たよれません。りょう手でつかんで、
ウンともスンともいいません。ハンドルにのぼって、グングン
「まぁムリ、だわな……」
「おーい、ニコライ!」
「ちょっと、こっちこいよ!」
彼らしくもなく、しかたなく、たすけを他人にもとめました。
いったんやめて、おき上がるソル。しきりなおしをます。ニコライにはジャンプしないで、力だけ入れるよう
「ぐっ………………」
ガクン、となりました。
「まだヤメンナ!」
さけぶソル。ニコライが
なんとかなりそうなところまでくると、もどかしいソルは、一人でハンドルをもちました。めいっぱい
まだまだぜんぜん、
プクプク
「まぁだっ、かよっ!」
やっと
コククリートにねころんで、あせだくのソル。いきが上がり、手はまっ茶色で、
ほぼ上がりきった、そう思ったやさきでした。
「コオォン、コオォォン、コオォォォンオン、オン、オン、オン……」
やおら、
「なんか、いってるぞ!」
ソル。
「うごけ、うごけ!」
はしゃぐニコライ。
「カッ、ツツン」
マリンギヤが、ニュートラルから
「バキバキバキッ! ボクンッ」
エコプラスティックのかざり
けたたましく
ほほをひきつらせるマリ。ジュリもふるえています。二人とも
「ギギギギギギギギギィィィー、ザシュッ」
さざ
「ウィィィィィィィン……」
「カッカッカッ…」
だんだんしずまってゆくと、かわいた音を立て、モーターが
しばらくの間、みんなは、むごんのままでした。
「あ~あ」
やっぱり口を開いたのは、ニコライでした。
「やっ、ちまったな」
「……」
「……」
「……」
むごんのままの三人。
シクシク、マリが
「しーらね、おれ、しーらね」
「ゴトンッ」
「ガッガッガッ」
「ガリガリガリガリ……」
「ゴウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」
今までとは、ちがう
ソルたちから見えない
高々と茶色い
「うわぁ、下がれ下がれ!」
目をおおい、うでをまわして、さけぶソル。いったん引くと、マリがのこっているのに気づきました。もどって
「ピャー」
うれしげに、
「んもおぉ、どおしてくれんのよ、これ!」
ジュリのみじかいポニーテールは、ぬれてさらにみじかく、なっていました。
ソルはなにか、あきらめたような
「おまえじゃないからな」
カンオンが、みんなに
ジュリはマリの
「これ、ひっさしぶりー」
ニコライはカンオンの
「こわれた」
そっちょくに、ニコライがいいました。
「おなかが、いっぱいになっただけだろ」
自分を
「こわれたんじゃない?」
しんぱいするマリ。
「だから、くるとちゅうで、もうこわれてたのよ。ねっ」
といって、ソルを見るジュリ。
「……」
もはや彼にはことが大きすぎて、いやな
「カッッン」
かるい音が
「シュルシュルシュルシュルシュル…………」
「モーターがうごきだした」
ちょっとホッとして(?) 、ソルがいいました。
「チッ、しんでなかったのか」
したうちするニコライ。
氏というコトバに、ドキッとするマリとジュリ。少しムッとするソル。
「なんだ、かえっちまうのか」
「ところで、どこにかえるんだよ?」
ニコライがソルを見ていいました。とうぜんソルは、むごんのままでした。
「これ、わたしたちが、こわしたことになるの?」
マリがたずねました。
「えー、ならない、ならない。ならないよ」
ジュリがマリをだきながら答え、ソルにむかっていいました。
「まったく、だれかさんのせいで、ひどい目にあったわ!」
やっぱりソルは、むごんのままでした。
のろのろのろのろと、
「チョットなに!」
ジュリが気づきました。
彼は
「なにやってんの!」
きわめて
「チッ、はやくしろよ」
イラだつソル。ふりかえって見ていませんが、ジュリたちの声が、どんどん大きくなってくるような気がします。
見上げるソル。
「ドタ、ドタ、ドタ」
「おじゃましまーす」
「なんで、くんだよ!」
おもわず、どなるソル。
「マリまでつれて!」
「しょうがないでしょ!」
「あんたが、かってにいくからよ!」
どなりかえすジュリ。
「かってに、ついてきたんだろが。なんでお前までいっしょなんだよ!」
二コライにも、ほこさきをむけます。
「おこってる、おこってる~」
にやけるニコライ。
「なにやってくれたんだよ……」
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