第16話 祭りの当日
「パンッ」
「ダン!」「ダン!」「ダン!」
「パンッ」
「ダン!」「ダン!」「ダン!」
「パンッ」
「ダン!」「ダン!」「ダン!」
「ピンポンパ~ン」
「キィーイィーン!」
「みなさん、おはようございますぅ」
「キイィーン!」
「あ、あぁ、今日はぁ、クララン
「チッ」
ソルは
「なんだよ、今日にかぎって!」
「本日ぅ、午前十時からぁ、フォロ・クラランズ
「またぁ、午後一時からはぁ、ごとうちアイドルゥ、
「またぁ、午後三時いこうからはぁ、フリーマーケットなどぉ、さまざまなイベントがぁ、めじろおしでございますぅ」
「ご近所ふるってぇ、ごさんか下さるようぅ、おねがいもうし上げますうぅ」
「またぁ、夜の部につきましてはぁ、またおってぇ、ごれんらくぅ、もうし上げますぅ」
「なおぉ、今日はぁ、
「みなさまにつきましてはぁ、ごりょうしょうのほどをぉ、おねがいもうし上げますぅ」
「なおぉ、
「お出しのさいはぁ、日にちをまもってぇ、お出し下さいぃ」
「なおぉ、今日のすくすくお子さまクラブゥ、シルバー元気クラブにつきましてはぁ、お休みとさせていただきますぅ」
「なおぉ、
「また
「みなさまにつきましてはぁ、ごりょうしょうのほどをぉ、おねがいもうし上げますぅ」
「なおぉ――」
「いつまで、やってんだよ!」
今日にかぎって、彼はイラだっています。おまつり
ガヤガヤとそうぞうしい、人でごったがえしたフロア。夏休みの
あいかわらず、彼は
その
プレイルームからあふれ、ろう下にたむろっている子らの、はなやいだすがた。ふだんは、ゆるやかな
女子の
また中には、大きすぎるマスクとサングラスで
キグルミを着ているのは、おもにやんちゃな男子です。女子の中では
フロアに下りず回れ右したソルは、自分のベッドへ引きかえします。ベッド下の
しった
ざわめきがコダマする
「キケンだよ、
「キケンだよ、
赤い足あとの
「どこいく気!」
ピタッと止まりました。わきからジュリがとびだしてきました。
ソルは、ゆっくりむきなおります。
「……」
「また一人で、フラフラどっかいく気でしょ」
「……なに? ずっとオレのこと
「ハっ、バッカじゃない」
「カンオン
だれがそうセットしたんだよ。と思いました。
「あんたが
だから、だれがそう
「ああ、そぅ」
といったきりソルは
ごかいされるであろう、この
彼は
ソルはターマ川ぞいのちか道をとおって、
彼の
「ママにまわしといて」
ぱっと、
「おそかったわね」
「……」
「で、ここでなにするの?」
「……」
「みんなをさしおいて、自分ばっか一人であそぶの、
「……」
ジュリの他にニコライ、マリもいましたひさしぶりに見た、マリのおなかの大きさ。その
「でもよく見たら、なにここ?」
「こんなとこで、今までなにしてたの?」
「マリになにかあったらどうするの、ニコライだって」
自分より一回り小さい、マリと手をつないだまま、ジュリが立てつづけにいました。
「やぁ!」
とつぜん、ジャンプするニコライ。なれっこなので、だれも彼の方をむきまません。
ぬけぬけとうまくゆくとは、彼の
とうとう彼は、まちきれなくなって
「チョッ、なに自分だけやってんのよ」
ジュリがあわてて、彼を
「みんなといっしょでなきゃ、だめじゃない」
「てか、ダメでしょ入っちゃ」
もはや、時間内にみんなを帰すことはムリとさとり、かまわず、いこうとするソル。
「ちょっとぉ!」
「きたければ、かってにくれば?」
つっけんどんなソル。
「入るんなら、まずマリが先!」
「マリを
つづけざまに、ジュリがいいました。
「だから、入ればいいじゃん。かってに」
ソルはもう、
「なにかあったらどうするの?」
「ジコセキニンでおねがいします」
ソルみたいな子でも、しるコトバとなりました。
「マリ一人で入らせるつもり?」
「つもりって……」
体半分つっこんだままのソル。なにをあせっているのか。自分でもわからないジュリ。
「キケンと思うなら、入らなきゃいいだけじゃん」
あおむけのソルの上を、白黒の
「マリが一人でのこされたら、かわいそうでしょ」
「えー、いいよぉ」
マリがいいました。
「いいの、あなたはだまっていて」
すかさず、だまらせるジュリ。
「ぼくが、さきにいく!」
とうとつにニコライが口をはさみ、マリがにらみつけました。
「どうすんだよ……」
うっすら白い小さな
けっきょく、すったもんだのおし
足から入ってゆくマリが、手で目かくしをかくしました。
「ヒジがじゃまだよ!」
「どならないでよ!」
「ヒジがジャマなんだから、しょうがないだろ!」
「もうぅ、いいよぉ」
マリは手をのばしてわきにつけ、目をつむりました。
重い方(あたま)から入れりゃいいのに、まったく……。さっきの
ほとんどソル一人で、マリを引いています。とちゅう「もう、ムリゲー」と、なんどもであきらめかけましたが、とうとう
「あーあ、よごれちゃったねマリ」
ストールをパタパタしながら、ジュリが
「で、ニコライはどうすん――」
「キャッ!」
マリがひめいを上げました。
「なに? どうしたのマリ」
「ヒッ!」
びっくりしてたずねたジュリが、マリの
みんなが
――
もうカンオンが、
青ざめた
力の入らない手でぬれティッシュをひき出し、キズ口におそるおそる当てます。そのまま、つたった
かわいたティッシュで
「ふぅー」
ためいきをつく、ソル。
なみだ目のマリとジュリ、そしてニコライは……。ニコライは
「おい、なにやってんだ!」
「こいよ!」
彼はいそいで小石をかきあつめ、それをわしづかみにして立ち上がります。ひらき
「カッ、ボチャ、ボチャ、ボチャン」
その後、二人をなんと
ふいに立ち上がり、レジ
「パシャンッ」
「なにやってんの!」
ジュリがおどろいて
「いいんだよ」
そっけなく、ソルはかえしました。
「えー、よくないよー」
「いいんだよ」
「えーなんでー…」
「いーの」
そういった後、ソルはだまってしまいました。
「えー……」
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