第15話 すれちがい
ソルはいじになって彼の鳥、黒い羽ばたき
まわりの子らも、だれもちかよってこなくなりました。気をつかってというより、彼ら
じつは、このモデルは
こんどこそ、しっぱいできません。かんたんに手を下さず、まず
しっぱいのおもな
これができたら、ホルスに見せにいこうと思い、もくもくと
「チロロロロロロッ」
「チロロロロロロッ」
ソルは
「チロロロロロロッ」
「チロロロロロロッ」
「チロロロロロロッ」
「チロロロロロロッ」
「チロロロロロロッ」
はんのうがありません。
もういちどおそうとして、ビクッとなりました。
「ホルスのおともだちかな?」
よく見ると、まゆが半分しかありません。白っぽい
「おーい、だれか出ろよな。人きてんぞ」
カギのかかっていない
いがいと
ソルはヘラヘラしながら「これがいわゆる、
ソルは気づいていませんでしたが、彼はフェンリル
はじめのうちダイは、ソルのカンオンを
今彼は、一人でしゃべっています。さいきん自分のみのまわりでおきたことを、みぶりてぶりをまじえ、おもしろおかしく、それもちょっと
「
やおら、おじいさんが口を開きました。
「バカが多いからね」
ダイがフフッとなって、いいました。
ソルはバカというコトバに、ドキッとなりました。エリゼでは、子の前で大人が口にしないコトバです。
ダイは立ち上がって、パンパンのカバンと
「コワンッ」
「コワンッ、コワンッ」
「コワンコワンコワンコワンコワンコワンコワンコワンコワンコワンコワ…………」
あっちこっちはねっかえりながら、ペットボトルの小ビンが、フローリング中にちらばりました。ホルスがたのしそうに、それらをあつめ、テーブルの上へおいていきます。
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
一本一本、ダイが水を入れています。それをホルスが
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
たんちょうな
カクカクしたり、とまったりの
――これは「ふさわしくないものとして
この
今おじいさんが見ているのは、三人のドロボウのドタバタ
「もっとお金があれば、ちゃんとしたの見れるのにね」
ダイは上がってくる水の
「それは、べつのだよ」
ふいに、おじいさんは口をひらきました。
たしかに
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
さすがのソルも、いたたまれなくなってきました。しかたなく重い口を開き、お手つだいをかってでました。
「お、わるいな少年」
「いえ……」
ダイはカバンの前面のチャックをはずし、中にキッチキチにつまったラベルの
「それじゃあ、ここらへんに、はってってくれる?」
ビンを
「まあ、だいたいでいいよ」
ペットボトルには「神秘の水『ターマ川のしずく』引き合わせのキセキ」とロゴがあり、
スタンダードの水色の
ラベルおもては
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
「ジャーーー、キュッ」
ソルはダイのおくりを、ていちょうにことわり、家を出ました。ホルスとは、ろくに話すこともできず、けっきょくなにしにいったのか、わかりませんでした。来たときとおなじように、わきに
草ボーボーの
カンオンのあるなしにかかわらず、たいていの子は、外ではあそびませんでした。今の彼らのように、子が時々思いつく、長つづきしない気まぐれをのぞいては。
――カンオンのある子らは、それをつうじて、ナカマとゲームをします。ない子は、おもに
つりをしている子らのかなたに、ソルはおかしな
ソルはじいっと、見つめました。もうかなり小さくなっていましたが、
ふだんは考えられませんが、ソルはがまんできなくなって、しらない子らにちかより、たずねます。
「ねーあれ、さっき、ここまできた?」
「きたよ、さっき」
「どこらへんまで来た?」
「んー、池の
べつの子が、
「なんか、ずっとそこでモタモタしてたよ」
「いつごろきた?」
「3、40分くらい前かな?」
さいしょの子が、二人目の子にたずねながらいいました。
「40分以上はたってるね、かくじつに」
三人目の子がわって入りました。この子にもカンオンはいません。
「ふーん、そう」
「ありがとね」
ソルはかるく手を上げ、ぎこちない
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