第10話 ウェーイノ・ミュージアム
クララン市の
ここらあたりにくると、いつもへんな
いつものようにバスは、ウェーイノ・ミュージアムちかくの池をすぎます。
シュザンヌルーム(シュザンヌのうけもつクラス)の
バスをおりるとき、
ウェーイノ・ミュージアムの見た目は、ひょうめんがデコボコしています。
ざっくりいうと、
――めんどうなのでリアルにいうと、金玉と青いキューポラでおなじみ、
ソルはきまったように、
こじんまりとした、平日のしずかな
ソルの前には「ナルキッソスの
ソルはここに
――シュルレアリスム
あるとき、ダリは
もともと、スペイン
フロイトにとって
インテリのマックス・エルンストはダリの
ダリは大人の
生きている内に
ダリのもくろみはあたり、人々の
「ナルキッソスの
「また、こんなところにいて」
ビクッとなります。
「ハン《班》のときに、かってに、うごきまわらないでって、いったでしょう」
こしに手をあて、タンッとユカをたたき、口をとがらせジュリがいいました。
「だいじょうぶだよ、みんなあそんでるだけじゃん」
ジュリにとって、あそんでいることが
「マリをほったらかしにして」
「ドクターじゃねーし、なんもできないじゃん」
「だれかが、みんなが、ついてなきゃダメなの」
「カンオンいんじゃん」
「そういうことじゃないでしょ」
そういうことだよ、と口にださずにつぶやきました。
「あなたがマリのたちばだったら、そうはおもわないはずよ」
いや思うよ、うっとうしいだけだが? なんでそんなに人といたがるのか、ソルにはわかりません。
ソルはジュリにつれられて、みんなのいるところへもどります。それぞれハン
ポリゴン
「ユー、ウィン」
「ラウンドワン、ファイッ!」
ニコライが、はしゃいでいます。ゲームをしているミチオに、かぶさろうとします。
「くっつくなよ」
「ピロロン、ピロロン」
「ハドーケ、ハドーケ」
「ヤッタネ」
「さわんなよ」
ニコライはニコニコしています。
「ア、イテッ」
「ハドーケ、ハドーケ」
「おい、はなれろよ」
「ピロロン、ピロロン」
「ソニッビー、ソニッビー」
「ア、イテッ」
「タツマセンプー」
「ア、イテッ、ア、イテッ」
「ヤッタネ」
「ユー、ルーズ」
「むこういけよ」
二コライはミチオにじゃれつき、やめようとしません。
「ラウンドツー、ファイッ!」
「ピロロン、ピロロン」
「ヒョー」
「あっちいけって、いってんだろ」
イラつくミチオ。
「ヤッタァ」
「ア、イテッ、ア、イテッ、イテイテ」
「ヒョー」
「タツマセンプー、タツマセンプー、タツマセンプー」
「ヒョー」
「ア~」
「ユー、ルーズ」
「やめろよ」
ニコライはミチオにとびのって、おんぶされようとします。
「お、おい、いいかげんにしろよ」
「ラウンドスリー、ファイッ!」
「下りろよ!」
「ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ」
「ヤッタネ、ヤッタネ、ヤッタネ」
「ショーリュー、ショーリュー、ショーリュー」
「下りろ!」
「スピード、アップ!」
「ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ」
「アイグー、アイグー」
「ピロロン、ピロロン」
「下りろって、いってんだろ!」
ニコライは、ほほを背中にのせて、だらりとミチオに体をあずけています。
「ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ、ハドーケ」
「ショーリューケ、ショーリューケ」
「アイグー、アイグー、アイグー」
「ショーリューケ、ショーリューケ、ショーリューケ」
「今すぐ下りろ!」
切れる、すんぜんのミチオ。
「アイグー、アイグー、アイグー」
「ア、イテッイテッ、イテイテイテイテイテ」
「ヤッタネ」
「ユー、ルーズ」
ニコライはミチオの顔に手をかけます。顔がゆがみ、
「てめぇ、いいかげんにしろよ!」
ふり落とそうとしています。ニコライは
「ぽふっ、コッン、コンコン……」
空気が
またラベンダーかよ。ソルはもう完全にこのニオイが、きらいになっていました。彼にとって
ニコライはうってかわって、にくにくしげな目で、ミチオをにらみつけます。
にらみあいが、つづきます。だれも口をきけませんでした。
「もうやめろよ、そろそろシュザンヌがくるぞ」
空気(みんなの無言の期待)におされてか、べつのハンの子がわって入ります。この中での
「きたからなんだ、なにがどうかわるんだ」
「もう、おわりにしろ」
エースが、ミチオにいいました。
「なんでオレの方に、いうんだ?」
「……」
ミチオが、いやみったらしく
「たしかに、オレはもう終わってるよな!」
「いや、なにも終わってないだろ。きちんと、じじょうを
「ハア、せつめい」
「いつの時代の人ですか?」
「いいなアク
アク
「カンオンが
「カンケーねーよ!」
フツメンのミチオは、はきすてました。
彼のいうとおり、
とりあえずエースは、はけ口は
みんなは
その中にあって、ソルだけは時間をきにしています。すでに彼の目には、今おこっていることが、
シュザンヌがいそぎ足でやってきます。他の子らも、いずこからか、ワラワラあつまりだしました。
「マリがどうしたの?」
「?」
みんなの頭の上に、いっせいにクエスションマークがうかびました。
それを聞いて、マリはきゅうにすわりこみました。
「気分がわるい」
といったきり、泣きだしました。
「あなたたち、ダメじゃない」
「……」
ニイナとジュリがしゃがんで、二人でマリをだきかかえます。
「おっかしいなぁ、なんでまだ、タンカはきてないのぉ?」
「……」
「……」
「おかしいなぁ、なんでだろぅ?」
ひとりごとのようにつぶやく、シュザンヌ。
「……」
「……」
「……」
みんな、いつものソルみたいに、なっていました。
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