第8話 視聴覚ルーム
すぅーと、おだやかなグラデーションで、
まっ暗。というより、うすいグレーといった感じでしょうか。それでもエリゼの子らにとっては、りっぱな
ガクンと、ルームの
「キャッ」
だれか、女の子がさけびました。グレーから
ニ三分たちました。
「キィャッ」
「イヤー」
「ちょっとぉ、なにやってんの、んもぉー」
「ライトォ!」
「あかり、あかりぃ!」
「だれか、ドアあけて!」
「もう、いやあ!」
「ここ、マドないの?」
「ねーよ!」
「ライトつけてぇ」
「あかり」
「つけろ!」
「カンオン!」
ルームの
ムズムズするソル。今すぐフロアに大の字になって、体をこすりつけたい
よぎるフィトンチッド(樹木の香り成分)の
ただよう、カメムシや
あまく
ルーム全体のヴィジョンをつくりだす、カンオンの
だんだん
なんとか
「ふぇーちこく、ちこくぅぅ」
パンをくわえながら走りだす、ふだんはさえないドジっ子、元気だけがとりえの
ひとたび彼女が愛の
さだめられし
少女たちは、それぞれのメタル・ドレスにコンセプション(搭乗)する。ウーム(コクピットのよび名)の中で、シールドケーブルが
キャラの
手ごわい
目の前のあなた(敵とはいわない、頃すというかわりに、たおすという)は、自分の心の
じつは本当のとりえは強さではなく、
「ほら、みんながまっているよ。あなたもう一人じゃない」
クスっ、とわらう主人公。
その
閉ざされた世界がはじけ、ひきもどされる二人。
とうとう、われに立ちかえった、われらのヒロイン!
おろかさ――ピュアネス、イノセンス、正しさ、主人公たる資格――を標榜(ひょうぼう)するヒロインと、
「わたしは、あなたとはちがう」
「わたしは、ナカマをすてられない」
「私はあなたのようには、ならないわ」
「大事なものをすててまで、手に入れる強さなんていらない!」
「あきらめがわるいのだけが、私のとりえなの」
ホントの強さってなに? ホントウの強さとは「やさしさ」「やさしさ」とは強さ。じゃあどうしたら「やさしく」=「強く」なれるの?
「ミンナがいたから、私はここまで来れた(強くなれた)!」
力つきていたはずの少女たちが、フラフラ立ち上がる(イメージ)。
「あなただけには、負けられないわ!」
「自分だけ、いいとこ持ってくんじゃないわよ!」
「ブワヵは死んでも、なおらないわね」
「やれやれ、ここまで来たら
「まったく、どいつもこいつも、もの好きなんだから」
かたをすくめ、りょう手をひらくポーズ。ミドリ
「そういうあんたもね」
ウィンクするショートカット、アタマにゴーグル。とうしょ男の子とまちがわれた。けっこう
「ミンナ!」
ウルウルじゅるじゅるの、ヒロイン。じつは人気にとぼしい。
「キッタナイわね」
「泣くんじゃないわよ、ブワヵ」
アイコンタクト、
「もうなにも、まよわない」
することはきまった。
うしないかけていた
すったもんだ
で、なんとか
ミンナを
いきおいづく挿入歌(ヒロインの声優の曲)。はだかのシルエットのヒロイン。メタモルフォーゼの
「カランコロン、カランコロン、カランコロン……」
ロボットのせなかにも、アンジェリークな白いツバサがのびてゆく、8本全部がひらききると、マスクの口が「パカッ」とあき「シューーーーーッ」と、いきおいよく空気をふきだす。にぃーと、むきだしの
「ガォォォォォォォーーーーーーーーーーン」
まんをじして、
ミンナのねがいをムネにたたえ、ちっちゃな二つのおムネは、もうはちきれそう。
「ドキドキドッキン、ドキドキドッキン」むねをかた手でおさえ、みもだえるヒロイン。もう、は~との
ルナスティック――羽つき棒で先端はハート型。ワンクールごとにグレードアップしてアイテムが代わる――にたくす、この愛のエナジー。あなたのコドクにとどけとばかり、ときはなつピンクの
「美少女デモクラティック、ハイパーエスカレェーション!(元気玉と同義、民主主義マンセー)」
ホワイト・アウト。
エピローグ。ナカマたちの
To be continued.
CMに切りかわり
子らはさっきまでの
「ぽふっ」
ぷ~んと、
すうーと、明かりがもどりました。
「ヒィヤァ!」
女子のカナキリ声。
「ざわざわざわ」
「なにしてんだよ」
「なにしてくれちゃってるワケ」
「キャッチャーか、コーディネーターよべよ!」
「おまえが、よべよ!」
「おまえが、よべよ!」
「いや、おまえが、よべよ!」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「だまれ!」
「いっつ、ショータイム!」
「ひゅぅー」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「おい、ホントにだまれよ」
「おまえがな!」
「カッコつけんなよ」
「おまえがな!」
「なんで大人は、いつもこういうとき、いないんだよ!」
「子どもが、なんかいってるぞ」
「子どもは、おまえの方だろが!」
「おまえがな!」
「おまえがな!」
「おまえがな!
「あー、うるさい!」
「おまえがな!」
「もりあがって、まいりました!」
「どよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよどよ」
人が引いてポッカリできた
あたりの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます