第11話 念願の身体が手に入りました
明らかに犯罪者面した奴らに両足が切断された女の子を咄嗟に助けて契約をしたまでは良かったんだけど、この女の子の両足が切断されたままだと直ぐに死んでしまいそうだった。
少なくとも既にこの娘は意識を失っているようだし。
まあこれに関しては安心して緊張の糸が切れたというのもあるんだろうけど。
ここ6時間程、エクレアくんは分裂を使いながらここら一帯の魔物を狩り尽くした。
これだけの魔物を狩ったんだから、回復スキルとかも獲得していないかな?
していないとなると正直俺は困ってしまうんだけど……
「エクレアくん、大分レベルが上がったんでしょ? 回復系統のスキルって何か無いの?」
「いや、分裂系統のスキルと闇属性魔法のスキルに魔力を注ぎ込んじゃいました。僕の体じゃあ切断面を塞いだところで溶け出してしまいますし、無理ですよ。それよりもマスターが余っている魔力で習得すればいいじゃないですか。」
俺は狩りに全くと言っていい程協力してなかったけど、エクレアくんが倒した魔物の魔力って俺にも分け与えられているのかな……?
もしそうなら俺も大分魔力が溜まっていそうだけど……
この娘の傷を治療出来る回復魔法が欲しいです。ついでにそろそろ視力も欲しいです。あともし出来るなら俺の本体じゃなくていいので全身ドッペルゲンガーの状態は保てるようにしたいです。
『スキル【
おお、すんなりと望んだスキルの獲得に成功した。
配下が狩った魔物からでも魔力って得られるんだね。
一気に4つもスキルが増えちゃったからまた魔力は空っぽになっていそうだからまた狩りをする必要があるけど……
そんな事よりも今はこの娘の回復が先だね。
折角契約者になってくれたのに直ぐに死なれたら勿体ない。
「
今のでMPがごっそりと持っていかれた気がするけど、切断されていた両足を治す事が出来た。
あんなに重症でも治せるこの
ワンチャンこのスキルを使って新興宗教でも興してみるというのもありかもしれない。
まあ面倒臭そうだしやめとこ。
それはさておき、遂に俺は普通の体で活動出来るんだ!!
ダンジョンマスターになってからトントン拍子で成長してきているけれど、それでも結構長かったよ。
折角なら人間の体が良いいよね。
他人からすると紛らわしい事この上無さそうだけど、この娘を対象に発動させよっと。
「
ふむ、この娘の身体、いい感じに馴染む気がする。って言うと凄い悪役感溢れる台詞になってしまうけれども。
ただ、身体能力が低そうなのがちょっと残念かなー。
まあその点についてはこの娘を育てていけば解決するだろうし、そんなに気になる程の事でも無い。
多分この身体でも十分に剣を振るう事も出来るだろうし、これで戦闘面についての課題も解決されたと言っていいかもしれない。
そしてやっぱり、視力があるというのは良い物だ。
まあここには松明の火に照らされた薄暗い洞窟の姿しか映っていないのだけれども。
あ、今気付いてしまった。
常時ドッペルゲンガーを維持出来るんだったら【影の目】なんて必要無かったんだ。
まあ、潜入調査でもする機会があったら一応は役に立つだろう。そんな機会があるかどうかは置いといて。
「念願の人間の体を手に入れられて良かったですね、マスター。」
「えへへへ、ありがとう。これからどうする? 一回契約者についても聞きたいし、帰還って事でいいかな? それにそろそろもう少し強い魔物じゃないと効率が悪そうだし。」
「そうですね、今の僕ならあそこにいた魔物でも一捻りだと思います! 一旦帰りましょうか。」
エクレアくん……たった数時間の間で随分と態度が変わったな。
こういう自分の立場が強くなった途端に調子に乗るのってあんまり感心出来ないな。
でもいずれ魔王軍の幹部になるんだったら必要な資質、なのか?
「じゃあ、あの巨大な穴から落ちていくか、俺が介錯するかだけど、どっちがお好みかな?」
あ、でも存在感が無いと介錯は出来ないか……
どれくらいの時間で回復するのか分からないけど――
存在感:1/7
契約者を得た事で上限が1だけ増加していた。これなら大丈夫だね。
「どちらも地獄じゃないですか……まあどうせ落下する恐怖を味わった後に潰れて死ぬくらいだったら、マスターにお任せします。さっきの見た限り、楽に死ねそうですし……。目を瞑っているので、はい、お願いします。」
「あいよー。【
俺は握った剣でエクレアくんを木っ端微塵にしてあげた。
よし、俺はこの娘を抱えながら、ゆっくり降りていこうかな。エクレアくんのリスポーン時間まではまだ長いだろうし。
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