第5話
木の葉は、枝から離れてしばらくは生きていました。地上に降りて、冷たい地面の上に横たわり、これからゆっくりと朽ちていく自分の運命のことを考えていたのです。かさかさと小さな音が聞こえました。虫たちが、木の葉を食べているのです。痛くはありませんでした。怖くもありませんでした。ただ、もう少し生きていられるはずだったのに・・・と考えると悲しかったのです。
「あんたを殺した奴らを知っているよ」
小さな声で虫たちが言いました。
「そいつらに復讐する気はないかい?」
木の葉はもう何も考えず、ただかさりと音を立てました。
「俺たちが手伝ってやるよ」
虫たちが笑いました。
その年の秋、世界各地の小都市で、大地震があいつぎました。高層ビルは崩れ落ち、数万人の死傷者を出して、しかし、それでも、彼らの復讐はまだ始まったばかりなのでした。 END.
木の葉 ある☆ふぁるど @ryuetto23
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