第22話癒し手

 ウィルデリアは、ブルーシア公爵に手紙を出して、星見の巫女さまの占いで、癒し手を探してもらうようにお願いした。


 数日後、ブルーシア公爵クロードの返事は、星見の巫女さまの占うまでなく、クロードの身近に最高の癒し手がいると言う事だった。


 その人物はウィルデリアも会ったことがあるようで、癒し手の腕はブルーシア公国一。



 今度のリードシアの建国記念祭に、クロードと共に来てくれるようだ。



 ウィルデリアはサリア達に癒し手の確保は、なんとかなりそうだと伝えた。


「ブルーシア公国一の癒し手のようですわ。」


「ブルーシア公爵のお墨付きがあれば百人力じゃないか!

 これで、竹女の病気も治るな!」


「いいえ、まだわかりませんわ。

 出来れば、その癒し手の方も、迷いの森について来て欲しいですが、流石にそんな命知らずな人いないと思いますわ。」


「おかあさま、迷いの森には俺も行きます。」


「ありがとうございます。

 それをお願いしょうと思っていたのですわ。

 魔法使いの貴方がいないと、竹女の居場所までたどり着きませんわ。」


 サリアは指を4本立てて言った。


「ウィルデリアとルッドマン君に私とニールの四人では無謀じゃないのか?」


 サリアの言う事はもっともで、ピクニックに行く訳ではないのだ、向かう場所は迷いの森。

 そして道中、スラム街も通らなければいけないのだ。


「ロウフィール嬢、ブルーシア公爵にお願いして、一緒に来てもらいましょうよ‼︎」


 ニールがおやつを待って現れた。

 今日のおやつはカボチャのパイだった。


「ニール、それは流石に無理だ。

 一国の主が迷いの森に一緒に来てくれるとは思えない。」


 サリアはそう言ってカボチャパイを手に取っていた。


「ニール、このパイは美味だ!」


「サリアさま、ありがとうございます。

 でもわかりませんよ?

 ロウフィール嬢のお願いでしたら、あの人頑張ると思いますよ?

 あと腕っ節が化け物じみてましたからね、最強の戦力として、是非とも欲しいです。」


「ブルーシア公爵はそんなに強いのですか?」


 リアムの問いに、ニールは即答で。


「うちのサリアさまが瞬殺でしたからねえ‼︎」


 その言葉にリアムはサリアをまじまじと見た。

 サリアは女の身でありながら、学園一の剣の使い手として有名であった。


「完敗だった。」




「クロードさまは確かにお強かったですが、ご同行してもらうのは難しいと考えましょう。

 わたくしの家の護衛を数名つけてそれから、ニール、冒険者にお知り合いはいますか?」


「いますよ。

 腕のたつ者を数名、知ってます。

 それと、ロウフィール嬢、スラスラをお忘れでしたよ。」


 ニールは瓶に入ったスライムをテーブルの上に置いた。

 数日前、ウィルデリアがサリアの部屋に忘れていた、スラスラだった。


「ニール、ありがとうございますわ。

 わたくし、すっかりスラスラを忘れてました。

 ルッドマン君、スラスラに魔力をお願いしてもいいですか?」


「もちろんです。おかあさま。」


 リアムは瓶の蓋を開けて、スラスラを取り出して、両手で包むようにスラスラを優しく握った。


 リアムは目を閉じてると、両手から光が溢れ出して、周りを明るく照らした。


 スラスラの餌となる魔力を出して、与えているのだ。


 初めてスラスラに餌を与えようとした頃、リアムはウッカリ、スラスラを燃やしてしまう事が度々あった。


 魔法のコントロールが難しくて、ただ魔力を出すだけでも一苦労で、集中しないと魔法の炎を出してしまうのだ。


「ルッドマン君、ありがとうございます。

 もう魔力は大丈夫ですわ。」


 ウィルデリアに言われて、両手を広げると、でっぷりとしたスライムがそこにいた。

 魔力を与える前の三倍の大きさになっていた。


 また、魔力を与え過ぎたようだ。

 でもしばらくすると元の大きさに戻るので、何の心配もない。


「魔力のコントロールもだんだんと上達してきましたわね。」


「毎日、タケメにしごかれてますから…」


 リアムは遠い目をした。

 竹女は以外とスパルタで、リアムの魔力が空っぽになるまで特訓するのだ。


 それに加えて、ウィルデリアからアドバイスも受けるようになり、更に上達が速くなったようだ。







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