第12話魔除けのネックレス

 ニールは困惑していた。


 昼食中に怪しげな物を作る令嬢が、この世にいたのかと。

 彼は暖かいスープを届けに学園まで来て、その現場を目撃してしまった。


 彼のお嬢様のご友人、ロウフィール嬢その人であった。


「サリアさま、あのう…」

「言うな!お前の気持ちは分かる。」


 サリアはウィルデリアに注意しようと口を開けた途端。


「出来ましたわ!」


 ウィルデリアの手には真ん中に髑髏と黒い羽の付いたネクレスだった。


「それはなんだ?」

「魔除けのネックレスですわ。」


「逆に魔物の類が、寄ってきそうだ。

 それも桜島チヨの記憶からか?」


「いいえ!

 わたくしが愛読しているこの本に載ってましたわ。」


 と、オカルト本を見せるウィルデリア。


「この魔除けをブルーシア公爵に差し上げたくて。」


「やめておいたほうがいいと思う。

 婚約破棄されるぞ。

 まだ、早いだろう?」


「そうですか?

 わたくし、公爵から素敵な薔薇を頂きましたわ。

 それで、お礼に何か差し上げたくて…」


「もう少し、可愛いらしい物にしたらどうだ?」

「でもせっかく作ったので、わたくしこれを贈りますわ。」


 聞く耳を持たないウィルデリア。


「サリアさま、ロウフィール嬢、スープが冷めてしまいますよ。」


 ニールは二人にスープを勧めた。

 今日は海老のスープ。


 二人はニールのスープを黙々と食べた。

 とても美味しかったからだ。


(もしかして家の料理人よりも、腕が上かもしれませんわね。)





 数日後、ウィルデリアからの手紙がブルーシア公爵の元に届いた。


 そこには薔薇のお礼と、ウィルデリアが魔法が大好きと言う事が書かれていた。

 薔薇のお礼に魔除けを作ってくれたのだとも書かれていた。


「魔除けとは、この髑髏の事かな?

 なかなか斬新なデザインだ。」


 と言って、身に付けてみた。

 ギラギラな服に髑髏のネックレスは似合わなかった。


「セシル、どうだい?」


「はあ、素晴らしいネックレスでございますが、御守りは見せびらかすのではなく、ポケットに入れられたほうがいいのでは?」


「そうだな。」


 ブルーシア公爵はウィルデリアの手作りの魔除けのネックレスを気に入ったようだ。

 丁寧にポケットに入れた。


「ロウフィール嬢は薔薇を気に入ったようだ、今度は何にを送ろうか。

 魔除けのお礼もしなくては。」


「それはようございましたね、閣下。」


「しかし、魔法が好きとうのは、お伽話か何か好きなのだろうか?

 ロウフィール嬢、可愛いお方だ。」


「魔法が好きでしたら、不思議な類がお好きなのでしょうか?

 一度星見の巫女さまには会わせてはいかがですか?」


「セシル、良い考えだ。

 早速手紙を書こう、我が国にロウフィール嬢を招待しょう。」







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