第11話睡眠の魔法
魔除けのペンダント作りで夜更かしをしたウィルデリアは、授業中眠たくて仕方がなかった。
今日は朝から歴史の授業だった。
内容がまったく頭に入ってこない。
ライラに途中止められなかったら、朝まで作業をしていたかもしれない。
歴史の先生の声が、まるで眠りの呪文のようだ。
(これは睡眠の魔法ですわ。)
ウィルデリアは自分の頬をつねって呪文に対抗した。
(わたくし負けませんわ。)
しかし頬の痛みより呪文は強力だった。
ウィルデリアは少し寝てしまったのだ。
ゴンッ!
「ヘブシッ!!」
机に顔面を打ち付けてしまった。
あまりの痛みに睡魔はどこかへ逃げ去った。
周りの生徒はギョッとしたが、変わり者のウィルデリアの不可解な行動に、誰も突っ込まない。
サリアもあえて突っ込まなかった。
(どうせ、夜更かししたかなんかだろ?)
歴史の先生は耳が遠いのか、気づかず授業を続けていた。
その五分後チャイムがなり、授業は終わった。
休憩時間中、ウィルデリア達はお手洗いに行こうと教室を出た。
マリルー・ルッドマン侯爵令嬢に遭遇した。
「また、貴女ですの?
安心して下さい。
サリアは殿下に興味ございませんわ。」
ウィルデリアはサリアを庇うように前に出た。
その顔は少し腫れていた。
「それは良かった。
では、ご自分から婚約者候補を辞退して下さい。」
「それをしたいのは山々だが、父がそれを許してくれない。」
アリサ公爵はこの話には乗り気で、娘を未来の国王に嫁がせたいのだ。
それが娘の為だと思っている。
「まあ、いいです。
貴女自身は乗り気ではないよなので、少し安心しました。
それと、ロウフィール嬢。
貴女顔が腫れてますよ、冷やしてほうがよろしくて?
それでは、御機嫌よう。」
と、ウィルデリア達の教室に入って行った。
ウィルデリアは不思議に思ったが、サリアから。
「弟に用があるんだろう。」
「弟って?」
「同じクラスにいるだろう?
リアム・ルッドマン。」
銀髪碧眼の美少年、リアム・ルッドマン。
無口だが、その端正な容姿で有名なルッドマン侯爵家の長男。
マリルーも同じく銀髪碧眼で顔立ちも似ている。
「気づきませんでしたわ。」
「気づけよ!あんなに似ているのだから。」
「少し優しい人でしたわね。」
ウィルデリアは顔を両手で触った、まだ少しヒリヒリする。
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