第10話ただただ甘いクッキー
ボリボリッ
(こんなに甘いクッキーは産まれて初めて食べた。)
ウィルデリアが作ったと言うクッキーは甘すぎる程甘いのだ。
不味くはないが、紅茶を何度もおかわりしないと食べれない。
おかげで、お腹はタプタプだ。
「良かったですわ。
クッキー、お口に合うようで。
早起きして作った甲斐がありましたわ。」
「わざわざ、ありがとう。
心配かけたようだけど、もう大丈夫だから。」
「それは良かったですわ。」
ウィルデリアはニコニコと笑って、続けて言った。
「先ほどお会いした、同じ婚約者候補のルッドマン嬢は乗り気満々でしたし、あの方で決まって欲しいですわね。」
「乗り気じゃない私よりいいと思うよ。」
ウィルデリアは疑問に思ったのでサリアに
聞いてみた。
「因みに婚約者候補は何人いますの?」
「私を含めて5人だ。」
「思ってたより多いですわ。
大丈夫!それだけ人数がいればサリアが成る可能性は低くいですわ!」
「そうだな。」
ウイルデリアの慰めで少しは気分が良くなったサリアは9枚目のクッキーに手を伸ばした。
昼食が終わり、授業が始まる前に何故か複数の女子の同級生に、お腹に効くお薬をもらったサリア。
サリアは不思議がってたが、相手に悪いと思って受け取っていた。
その晩、ウィルデリアにはブルーシア公爵からの手紙と贈り物が届いていた。
手紙にはこう書かれていた。
『ロウフィール嬢へ
返事どうもありがとうございます。
とても嬉しかったです。
ロウフィール嬢のご趣味や好きな物はなんですか?
私は剣術が好きで少々嗜んでいます。
またお会いしたいです。
クロード・ブルーシアより。』
贈り物は大輪の薔薇の花束だった。
ウィルデリアがお見合いの日に着たドレスの色と同じ、綺麗な薄桃色の薔薇。
胸が熱くなるウィルデリア。
「お嬢様、綺麗な薔薇ですね。」
「ええ…わたくしこの薔薇は初めて見ましたわ。」
「もしかしたら、ブルーシアの薔薇かもしれないですね。
傷むといけないですから、花瓶に挿しましょう。」
ライラは水の入った花瓶を持って来て、そこに薔薇を挿した。
薔薇の棘が全て、綺麗に取り除かれているのを気づいた。
「わたくしも何か贈り物を…何がいいのか思いつきませんわ。
ギラギラした物でいいのかしら?」
「ギラギラした物ってなんですか?」
「ブルーシア公爵はギラギラした着物を身につけていたのですわ。」
「はあ、ギラギラしてたんですか。
お見合いだから気合いを入れられたのではないのですか?」
「そうかもしれないわね。」
ウィルデリアはその日のうちに返事を書いたが、直ぐには送らなかった。
薔薇のお礼に魔除けのペンダントを作っていたのだ。
ライラから何故か止められたけど、聞く耳を持たなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます