第9話マリルー・ルッドマン
いつも通り午前の授業が終わったその日にウィルデリアは珍しく他の生徒、数人に声をかけられた。
内容はここ最近、落ち込んでいるサリアの事で、心配した彼女達はサリアの友人である、ウィルデリアにその理由を聞きにきたのだ。
彼女達はサリアのファンのようだ。
男装の麗人サリア・アリサは一部の女子に大人気なのだ。
ウィルデリアは内容が内容なだけに、適当に。
「食べすぎて、お腹を壊したのですわ。」
と、言ってその場を離れた。
まだ決まってない事をベラベラ喋るわけにはいかない。
それより、少しだけでも慰めになればとウィルデリアはサリアに手作りの焼き菓子を作って持ってきたのだ。
朝早起きをして、ライラと一緒に作ったクッキー。
サリアは甘いものも好きだから、だいぶ甘めに作ったのだ。
ウィルデリアがサリアをいつも通り、昼食に誘うとしたら、彼女の姿が教室になかったのだ。
「アリサ嬢、貴女には負けません!」
ここ最近にも聞いたことがあるセリフにサリアはうんざりした。
(今度はなんだ⁉︎)
だた違うのは、そのセリフを言ったのは友人のウィルデリアではなくて、目の前のつり目の美少女であった。
マリルー・ルッドマンと名乗ったルッドマン侯爵家の令嬢のようだ。
「わたくしも貴女と同じ、婚約者候補です。
アレクセイ殿下の婚約者候補として貴方はふさわしくない!!」
「ああ、そういう事か。」
「いくら殿下と従兄妹でも、そんな男装している令嬢が同じ婚約者候補だなんて認めません!!」
「わたくしだってあのバカ殿下がサリアと婚約だなんて、認めませんわ!!」
「誰です!!」
「ウィルデリア・ロウフィールですわ。」
颯爽と現れたウィルデリアはサリアを庇うかのようにマリルーの前に立ちはだかった。
「無礼者、殿下をバカなどとは!!」
「無礼は貴女ですわ!
わたくしが名乗ったのに名乗りもしないのですか?」
「わ、私はマリルー・ルッドマン!
そこのアリサ嬢と同じく殿下の婚約者候補よ。」
それを聞いたウィルデリアはマリルーの両手を握って賛同した。
「まあ、それは素敵ですわ。
殿下の婚約者は貴女こそふさわしいです。
わたくし応援してますわ、ルッドマン嬢。」
「まあ、ありがとうございます。」
「わたくし、サリアが婚約者候補だなんて反対でしたの!!」
マリルーの両手を握ったままウィルデリアは続けて言った。
「殿下は性格最悪のクソ野朗ですが、頑張って下さいね。」
「なっ、無礼な!!「それじゃわたくし達は昼食ありますので、御機嫌よう!」
サリアを連れて、ウィルデリアはそそくさとその場を離れる。
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