第5話クロード・ブルーシア

 ブルーシアに嫁ぐのはウィルデリアに決まった。

 その一カ月後に、ブルーシア公爵との顔合わせが実現出来た。


 場所はリードシアとブルーシアの国境近くのリードシア側の城塞で行なわれた。

 今回はお見合いのような物だから人数は少人数。


 リードシア王国国王とブルーシア公爵の挨拶から始まったお見合い。

 ウィルデリアは上品な薄桃色のドレスを身にまとい、薄化粧をほどこして美しかった。


 対して公爵のほうは、顔は悪くないのにキラキラを通り越してギラギラの出で立ち。

 さも、成金趣味ですって全身でアピールをしている。


 クロード・ブルーシア、それがブルーシア公爵の名であった。

 今年で23歳、16歳のウィルデリアとは7歳差だ。

 先代のブルーシア公爵と侍女との間に出来た子供で、亡きアベンヌ姫とは腹違いの兄弟になる。


「お初にお目にかかります。

 クロード・ブルーシアです。」


 その低い美声にウィルデリアは思わずときめいた。


(この胸の高まりは魔法関連以外で、始めてですわ。)


「ウィルデリア・ロウフィールです。」


 会話は短い挨拶のみであとは、ブルーシア公爵と周りの大人達で盛り上がっていた。

 この場の主役の一人のはずなのにウィルデリアは蚊帳の外だった。


 ブルーシア公爵はウィルデリアを気に入ってらしく、その美貌を褒め称えていた。

 公爵は上機嫌だった。



 ウィルデリアの年齢と学園に通っている事を考慮して、今は婚約という形として、二年後の卒業にブルーシアに嫁ぐ事になった。


 お見合いの後、ウィルデリアのみ退室して、ブルーシア公国との国交について、話し合われた。

 国交は少しずつ昔のように徐々に戻す事を公爵は約束した。

 帝国の脅威も話し合われた。

 ブルーシア公国側も帝国を脅威に感じていたのだ。



 ブルーシア公爵とのお見合いが終わったウィルデリアは学園に戻っていた。

 ギラギラした悪趣味な出で立ちの公爵にときめいた事は誰にも内緒だ。


 あとは星見の巫女にどうやって占ってもらえるか、ウィルデリアは考えた。

 ブルーシア公爵とは徐々に仲良くなって星見の巫女に占ってもらえるように、おねだりしてもいいかも。


 ゾクッ!!


 その時だった。

 ウィルデリア、いや桜島チヨがかつて感じた不思議で懐かしい感覚を肌で感じた。


 ウィルデリアはその場へ急いだ。

 誰かが、魔法を使用をしている。


 学園の裏庭に着いた時には誰もいなかった。でもこの場所には確かに魔法を使用した形跡がある。

 ウィルデリアは誰もいない裏庭に一人佇んでいた。

 その前世ぶりの感覚に歓喜して。




「学園に魔法使いがいる?」

 サリアに先ほどあったことを話しした。

「ええ、あれは間違いなく魔法を使用してましたわ。魔力を感じましたし、形跡もありましたわ。」


「それじゃ、今まで学園で魔法の使用を感じた事があるか?」

「ないですわ。今日が初めてです。

 もし、学園に魔法使いがいるというのなら、スライムがいる事も説明がつきますわ。」


「ウィルデリアはその魔法使いはほっておけ、多分、別に害はないだろう?

 今大事なのは竹女へ繫る、星見の巫女さまに占ってもらう事だから。」

「いいえ、竹女の目を覚ませる為にも魔法を使える方が必要なのです。」


「それは初耳だ。どういことだ?」


 ウィルデリアは話した。

 竹女を封印したのも、時を止めたのも魔法だ。

 目覚めさせるには、解除の魔法を使わなければならない。


 何者か知らないが、ウィルデリアには魔法使いの助けが必要なのだ。


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