第4話ウィルデリアVSサリア⁉︎
「ウィルデリア、お前のお祖母様を覚えているか?」
「テシデリアお祖母様ですね。
もちろんですわ。」
テシデリア・リードシア、ウィルデリアの祖母で王家から嫁いで来た、赤毛の緑色の美しい瞳の王女だった。
ウィルデリアが12歳の時に亡くなってしまったのだ。
つまり、ウィルデリアにも侯爵にも紛れもなく王家の血が流れている。
ウィルデリアは知っていたが、それを笠に着る事もなかった。
彼女にとっては何より大事なのは魔法だったからだ。
「サリア嬢の母君は現国王の姉君で、その血を引くサリア嬢と現国王の叔母にあたる母上の血を引くお前のどちらかを打診している。」
「その件は是非、わたくしにお願いしますわ。」
「お前、相手を知って言っているのか?」
「存じませんわ。」
「ブルーシア公爵本人だ。
あったこともない相手とお前は結婚できるのか?」
「もしかしたら、後で好きになるかもしれないですわ。
それに他に方法はございませんの。
お父様どうかお願いします。」
「はあーっ、わかった。」
侯爵は苦笑して、娘が下げた頭を撫でて言った。
「この父が出来る限り力になろう。
ただ、最終的にサリア嬢かお前かどちらかが選ばれるかわからんがな。」
「お父様、ありがとうございます。」
「それとだ、帝国が内乱で使用した新兵器についてだ。」
「兵器?」
「噂じゃ炎が舞い上がったり、氷で凍らせたりとしていたらしい。
そう、まるでお前の好きな魔法のようだと聞いた。」
「魔法?」
途端に目を輝かせるウィルデリア。
「ただ、これはあくまでも噂だがな。」
それでもなお、だらしなく崩れていくウィルデリアの表情。
父はそんな娘の変顔も可愛いなあと愛しく思うのであった。
「サリア、わたくしは貴女には負けませんわ。」
実家から戻って来た友人からの突如の宣戦布告にいつもながら、ついていけないサリアであった。
「今度はどうした?」
「あら、ご実家からお聞きしていませんの?
」
「何のことだ?」
「ブルーシア公爵に嫁ぐのはわたくしかサリアのどちらかを、国王陛下が打診なされていますわ。」
「初耳だぞ」
「でしょうね!」
またしてもニールが話しに割り込む。
「ニール、お前なあ!」
「貴方何かご存知ですの?」
「もちろんです、ロウフィール嬢。
アリサ公爵閣下からお聞きしてましたが、閣下にはその気もないので、サリアさまのお耳に入れるなとの事でした。」
「今まさに耳に入ったぞ。」
「ロウフィール嬢から入った情報ですから。」
「アリサ公爵閣下はサリアをブルーシアに嫁がせれる気もないのね!
よかったですわ。
サリア、わたくしの勝ちですわね。」
そんな勝ち負けならいくらでも負けてやるよとサリアは思った。
「良かったな!
これで星見の巫女さまに占ってもらえそうだな。」
「はい。
それと帝国が魔法のような物を使用したそうですわ。」
「帝国が?魔法って?」
ウィルデリアは父親から聞いた話しをそのままサリアに話した。
サリアはニールに知っていたかと、聞いたがニールも知らなかったみたい。
「おそらく帝国は魔道具を使ったとわたくしは思っていますわ。」
「魔道具?」
「ええ、この本に載ってましたの!」
二人に見せたのはウィルデリアがいつも読むオカルト本。
「それ信憑性はあるのか?
桜島チヨの記憶はどうした?」
「それがチヨの記憶に魔道具なんてないんですの。
あの時代には魔道具なんて必要なかったのですわ。全部魔法でやれましたし、魔法を使えなかった人なんていませんでしたわ。」
「まるで今と逆ですね。」
ニールがポツリと呟いた。
「そうですわ!逆ですわ。」
魔法が使えないなら使えるように道具を作ってしまえばいい。
誰がどのように作ったか今はわからないが、それより、ウィルデリアは大好物な魔法の話しが出来て幸せそうだ。
顔がだらしなく歪んでいた。
もうその形の良い口からヨダレとか出そうな勢い。
残念な美少女だとサリアとニールは思った。
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