残り四日

一人の少女はその日郵便受けに入っていた手紙を読んでいた。手紙なんてこんなご時世に珍しいものというに、少女の手には六通。

読み終えたそれらの内容に少女はため息をついた。よくもまあこれほど同じような内容で書くものだ。呆れて物も言えない。

筆不精な彼らのことだ、仕方がないと割り切って、少女は丁度やってきた自身の妹に提案した。

「ねえ、ふゆき。一緒に九州行かない?」





[残り四日]


「かーんふーんだ! はーい、あーちゃん、ゆっちゃん、結希ちゃんみっけ」

件の神社で本日は缶蹴り中である。昔から隠れている人を探すことが得意な雷牙は現在無敵のオニである。

「結希ちゃんてなんよ。気持ち悪か」

辛辣な結希の毒舌に雷牙は数歩大袈裟に後ずさった。

「きも、気持ち悪いて、ひどか。俺のガラスのハートは粉々に……」

「じゃあ、そのガラスは強化ガラスやな」

「もしくは毛が生えてるか」

結希と香のあまりのいいように、雷牙はおろか雄大と叡司まで若干引き気味である。

「毛が生えた心ってなんや! 心臓なら聞いたことあるけど……。て、何。今日は俺をいじりたい感じの日⁉︎ いたいけな紅顔の美少年をいじめようというとか⁉︎」

女子らは衝撃の事実! と言わんばかりに一瞬停止した。

「紅顔の美少年てどこにおるん」

「紅顔のコウの字は厚いだとして、美少年は何処に!」

「え、コウの字が厚いじゃなかったらなんなん?」

「くおうっ。寄ってたかって〜。俺もう時間やけん帰るかんな」

いじけたような顔をして、雷牙は去っていった。その姿に少女が声を上げて笑う。

「あはは、逃げた〜」

「確かに。あれは逃げだよね〜」

明日もからかってやろう、と結希は悪戯っ子の顔をした。

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