第3話

「理央と別れた」

彼女は静かに言った。

「えっ…?」

「だから理央と別れたんだってば」

彼女は苦笑した。電話がかかってきた時からなんとなくそんな気はしていたが、実際聞くと驚きである。

「初めてこんなに人を好きになって、ずっと一緒にいたいって思ってた。だからこそ4年近く続いたんだと思うよ。でもね…」

彼女は俯き、指でストローをいじりながら言った。

「私に飽きたんだって…」

僕は頭の中に理央の顔を思い浮かべる。彼がそのようなことを言い出すとは…

「でね、その…家にいるとなんか辛くなってきて、名古屋に住んでる愛梨のところに行こうと思ったの。あ、わかる?愛梨のこと。安達愛梨」

僕は頷く。

「安達さんは文化祭に3年連続来てくれたし、君の話にもよく出てくるから知っている。彼女なら君の悩みをよく聞いてくれるだろうし、やけ酒なりやけカラなりに付き合ってくれるだろうね。」

彼女は続けた。

「名古屋までの新幹線のチケットを買ったらね、愛梨からLINEが来てたのよ。『会社のイケメンの先輩(将来有望)、というかずっと憧れてた先輩から一緒にご飯行かない?って誘われちゃったんだけど…』って。」

「察したからもういい、それで安達さんの家に泊まれなくなったんだろ?」

「うん。ということで3日間よろしくお願いします」

そう言って彼女は頭を下げた。

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