大学3年 冬

第1話

駅前のお店のショーウィンドウが赤と緑と白に染まり、人々が浮つきだすこの季節。コートのポケットに手を突っ込みながら、僕は家路につく。寒い。


近くのコンビニでレモンティーを買った。カイロの代わりとして手を温めていたら、ポケットの中に入れて置いたスマホが揺れだした。スマホを取り出し、画面に表示された名前を見る。嫌な予感がした。

「はいもしもし」

「急で申し訳ないんだけど今日泊めてくれない?事情を説明すれば長くなるんだけど、今日寝るのとろがないのよ」

「泊まるって、おま…」

「じゃあ6時に名古屋駅に迎えよろしく」

そう言い捨てて彼女は電話を切った。


予感は的中してしまった。彼氏のところに泊まれよ、俺の他にも友達居るだろ、というか男の家に泊まろうとするな、などの不満はあるが、彼女なりの理由があるのだろう。それよりも早く家に帰って掃除機でもかけた方が良さそうだ、なんて思いながらレモンティーを飲んだ。少し冷めてはいたが、それでも体は温かくなった。

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