D.C.
D.C.
あれから彼は……雨の中で泣き叫んで……すべてを吐き切って、倒れた。
まるで、コンクール当日に豪雨の中でわたしが屋上で泣き叫んでいたのを見ているようだった……。
……なんで、こうなったんだろう。
わたしの体験した結末を彼にさせるなんて……わたしは、どうしちゃったの?
わたしの思う、最高の吹奏楽部。
わたしだけの世界でなら実現できると思っていたのに。
ちゃんと実現できてた、はずなのに……。
なんで結末は、悲しくなっちゃうんだろう……。
雨は未だに降り続いていた。晴れたと思っていたけれど、それは幻だった。
……もう一度、やり直そう。
不幸せな結末はもう散々だ。色々な幸せの形を見に行きたい。
わたしの心の声が生み出した、わたしだけの
その中で生きる、
きっと……幸せの形はたくさんある。
不幸せの形よりも、きっと、たくさん。
--※--
「悠斗、悠斗!」
「うわっ!?」
耳元で思い切り大声を出されて飛び起きる。
ここは学校の教室。ちょうど夕方。大声の主は……久々に再会を果たした僕の幼馴染、
「もう、何で寝てるの? これから仮入部でしょ?」
「あ、あー……そう言えばそうだった」
まさか帰学活が終わった後に寝るなんて思いもしなかった。中学校に入って新しい生活に疲れてしまっていたのだろうか。
「で、どこ行くの。吹奏楽部?」
「……そう、だな」
僕は椅子から立ち上がった。寝ていたにしては身体が軽く感じる。
吹奏楽部。僕はその場所に……なぜだか、入らなければいけない気がした。
たくさんの忘れ物がその場所にある。僕の知らないはずの場所なのに……なぜかそう、思ってしまったんだ。
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