ぎん色のほし

sima

ぎん色のほし

あるところに、ひだりの めを おとした

人ぎょうが いました。

人ぎょうにのこっためみぎのめは、

あお色をしていました。


ふかい よるの ことでした。


なにしろ、みぎの め だけで ものを みなければ

ならないのですから、たいへんです。

「ひだりの めは どこだろう。」

人ぎょうは ずうっと めを さがしていました。


あさが きて、人ぎょうに だれかが はなし かけます。

「なにを さがしているの。」

それは、うさぎ でした。

人ぎょうはいいました。

「ひだりの めを さがしているんだ」

うさぎ は すこし かんがえた あと、

きん色の こくもつを もってきてくれました。

「たしかに きれいだけど ちがうね。」


おれいをいって、人ぎょうは あるきだしました。


ひるが きて、人ぎょうに また だれかが はなしかけます。

「なにを さがしているの。」

それは、ちいさな しかの こ でした。

人ぎょうは いいました。

「ひだりの めを さがしているんだ」

しかの こは すこしまよった あと、

あか色の きのみ を もってきてくれました。

「たしかに きれいだけど ちがうね。」


おれいをいって、人ぎょうは あるきだしました。


よるがきて、人ぎょうに またまた だれかが

はなしかけます。


「なにをさがしているの」

それは、おおかみでした。

人ぎょうは いいました。

「ひだりの めを さがしているんだ」

おおかみ は すこし めを とじてから、

がらす を もってきてくれました。

「たしかに きれいだけど ちがうね」

人ぎょうは、また、あるきはじめました。


「みつからないなあ」

人ぎょうは つかれて いよいよ あるけなくなりました。

そらはすこしあかるくなっていました。


だれかがはなしかけます。


「なにをさがしているの」

それは、しろい ことりでした。

人ぎょうは なにもいえませんでした。

しろい ことり は そらへ すぐに とびだちました。

そして、しろい ことりは、

ぎん色の ほしを もってきてくれました。

たしかに きれいだけど……

人ぎょうは そう いおうと しました。

でも、もうだいじょうぶでした。

そのほしのおかげで、人ぎょうはひだりのめもみえるようになりました。


「ほんとうにありがとう」

人ぎょうは ことりにおれいをいいました。

ひだりの め とみぎの め で、色は ちがってしまいました。

けれど、人ぎょうはきにしませんでした。


あさが来ました。ぎん色のほしをもらった人ぎょうには、

たいようがかがやいているのが、よくみえました。





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ぎん色のほし sima @NoVel-8

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