『ぼくのお仕事紹介』
やましん(テンパー)
『ぼくのお仕事紹介』
* これは、フィクションであります。
現実世界とは、何の関係もございません。
* あまりに暑いので、かなり、おおぼけ状態で書いております。
ご了承ください
******** ********
彼らに、地球征服されて以来、この世は平和になりました。
もっとも、元地球の指導者たちは、憤懣やるかたなしだったろうけれどな。
《征服》と言っても、より正確に言えば、《吸収合併》みたいなものであります。
彼らは、地球人大衆にアンケートを取り、民衆にあまり支持されていない【指導者】を排除しました。
比較的支持率が高い人は、役所の要職に使うこともあったようです。
また、実績を見て、民衆を弾圧したり虐殺したような指導者は『冥王星』の拘置所に送ったと聞きます。
しかし、一般民衆は、多くの差別や紛争や戦争から解放されたのであります。
************ ************
とはいえ、今も、生きて行くのは大変です。
公共事業で成り立っていたわが社は、結局消滅でした。
彼らの方針は、失業率、常に『ゼロ』を維持することであります。
才能がある人は、その方向で可能な限り道が開かれることもあるのです。
問題は、病気はあっても、な~~~~んも、取り柄のない、ぼくのような場合であります。
それでも、地球人社会なら、『あんたのせいよ! 強いものが、勝つ!あなたは、負けた!』でおわりだったのですが、彼らは必死に仕事を見つけてくれたのです。
【『ありがたいことであります。』】
ぼくは、新たに設立された『メンテナンス会社』に採用されました。
さいしょは、基本である、トイレ掃除からであります。
彼らは、異常なくらいに、きれい好きなのです。
どこもかしこも、ぴっかぴかでないと、気が済まないらしいのです。
とはいえ、彼らは、非常に【寛容】な生きものなので、それで暴力をふるったりはしないのですが。
彼らの全体の形は、人間によく似ています。
ただし、大きいです。
平均体長、300メートルから500メートルです。
大きな種族だと、800メートルに達するものもあるといいます。
だから、彼らのトイレもでっかいです。
ぼくは、主に男性用トイレの清掃班です。
考えて見てほしいのです。
直角壁の長さだけで、それなりの山の、切り立った岩壁に相当するのだから。
ただし、ぴかぴかのまっ平でありまする。
ぼくらは、命綱を装着し、上部から降りる。
着用しているスーツは、強力な『たわしのようなもの』であり、外部からの細菌などの侵入は、不可能だということです。
こいつで、身体をよじりまわしながら、掃除するのだ!
上部から、滝のような勢いで、洗浄水が流れ出ます。
重労働ですよ。
ただし、50人くらいが、ペアで取り組むから、個人が受け持つ範囲はそう広くはないのです。
一日、一か所でよいです。
就業時間も、4時間ほどであります。
お給料は、それでも、月に50万ドリムになるのです。
かつてのぼくの収入の10倍! でありまする。
有休も、3倍以上になったのです。
残業はないです。
医療費は、ただです。
子供の、教育費も、ただ。
大学まで、無償です。
優秀ならば、大学院も同様ですが、難しい試験が当然あります。
ただし、彼らの技術レベルは、非常に高度なものなので、地球人には、天才以外は、ほぼ対処不能です。
このお仕事も、いわば、作り出されたお仕事ではあります。
もっとも、地球人にあった服を作る仕事とか、農業や、地球人用食品の生産とか、マー人用の各種物品の生産とか、そうした、もろもろのお仕事も、もちろんあります。
また、医者になるのは、今も昔も難しいですが、現在は、アパレル関係の仕事が、若い地球人には大人気なのだそうです。
************ ************
ま、もっとも、彼らはでっかすぎて、地球での生活というものは、なにかと不便であるらしいと聞きます。
駐留している彼らの数は、100万人くらいであるというのです。
追放された、地球人の《旧指導者階級》が、レジスタンスとなって、地球奪還作戦を実行しようとしているらしいです。
多くの、かつて、どちらかというと、差別されていた、庶民であった地球人が、どっちの味方に付くのか・・・・
これが、現在の最も注目されるところであります。
ぼくは、マー人のほうが良いと思います。
マー帝国地球版『深夜タイムズ』
《地球人素人記者》による、『地球レポート』No.25
次回は、来月6日です。
************* 👽 **************
おしまい
『ぼくのお仕事紹介』 やましん(テンパー) @yamashin-2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます