第67話 大量生産しないといけなくなった
姫様の獣毛と羽毛をいただいてチャレンジしたら、成功した。
「……なるほど、煌竜は精霊と竜がまたがった存在だからうまく纏め上げてくれたわけか。凄い」
しかし、これでうまくいけば、更なる力が手に入るって訳だね。
「どうですか?どうですか?」
『どう?どう?』
二人して詰め寄り聞いてくる。遠くで使い魔一行がクッキーを頬張りながら見守っている。
僕が実験するときにとばっちりを喰らわない位置に留まって、後ろでこっそり防御魔法用意している。
分かっているじゃない。
「ちょっと試し撃ちしてみますので、あの、あそこでみんなが固まっている所まで避難してもらってて良いですか?」
『えー、大丈夫よ』
「ルアーシャさん、もしかしたらあっちの方が綺麗に見えるかもしれませんよ」
『あら、ほんと?じゃあそうする』
素直にルアーシャがマリちゃんと避難してくれた。
まって、出会ってそんなに経ってないのに扱い凄く上手いの才能としか思えない。
さて、皆さん避難してくれたので実験しますか。
出来上がったアクセサリー(魔道具)を空中に放り投げる。
そこに初級の火炎玉を撃ち込んでみた。
結果、火炎玉は跡形もなく破裂し、アクセサリーは無事。
破裂した火炎の残骸は火花となって飛び散った。
改良しよう。
二次被害出る。
歓声を上げる皆だけど、こそこそとアクセサリーを組み直して同じように火の玉撃ち込んでみたら上手く吸収してくれた。
「さっきのがキレイだった」
と、大福から感想。
別に花火作ってた訳じゃないんだけど。
個別で遊び道具として作っても良いかもしれない。
とまぁ、こんな感じでガチャガチャ弄りつつ上級まで何とか相殺できるようにしてみた。
その間使い魔達とルアーシャおよびマリちゃんは飽きて好き勝手に遊んだり食べたりしてた。
自由である。
ついでにさっきの花火が出るのも作った。
こんなにも正常に作動するオモチャ手に入って楽しくないわけがない。思えば僕元々組み立てオモチャ好きだったな。そりゃハマるわけだ。
「マリちゃん、ちょっといい?」
「? はーい」
マリちゃんの手首に魔道具を装着する。
「わあ!とても可愛いですね!」
せっかくだから色も付けた。気に入ったようで良かった。
『いいなぁ、マリちゃんの羨ましい』
ルアーシャがマリちゃんの魔道具を覗き込んでいる。
「姫様のもお作りしますか?」
パッと顔をあげたルアーシャ。
『作ってくれるの!?』
「勿論です。ただ…」
そう、作るだけだったら問題ない。問題なのは、ルアーシャ用ってこと。
「煌竜様方々の規則違反にならないのかと、あと姫様の、竜から人の形とかに変わる際、伸縮の魔法が必要になるので大丈夫かな、と」
『ああ、なるほど』
自然体が一番の煌竜様に魔法の込められている道具を身に付けて具合が悪くならないかと心配なのだ。
『うーん、じいやに聞いてもいい?それで大丈夫だったらお願いしたいのだけど』
じいやか。それなら大丈夫そうだ。
「それでしたら」
『やった!』
そのあと、女の子組全員に手渡し、男組はまた材料が手に入り次第と言うことになった。
『じゃあ、ゴルダに言って持ってきてもらえばいいね!』
と、ルアーシャが提案してくれたので、近い内に全員に配れそうだ。
夕方まで森で遊びまくり、ゴルダが迎えに来た。
「じゃあまたね!ルアーシャ!」
『ええ、 またね! 』
あっという間に白銀の姿に戻るルアーシャ。
あ、やばいまた動悸が。
ひっひっふー!ひっひっふー!ひっひっふー!
よし!
『 ではいきましょうか。ウィル、これは赤いのに聞けばいいんだな 』
「はい!お願いいたします!!!」
バイバイと手を降り二匹の赤い空の中、煌竜様は飛んでいった。
後日。
「……多くないですか?」
大量の獣毛と羽毛(抜け毛と思われる)と、ドラゴンの国の木の枝が送られてきた。
『 じいやがおっけー?だってさ。道具はこっちでそろえるから、みんなの作ってーって。ほうしゅうもあるよ! 』
と、ゴルダが扉から頭を突き出してそう言った。
うーん。ゲートが小さいな。しっかり図ればよかった。
街に設置したのと同じ転移門をドラゴンの国にゴルダに持っていってもらったのだが、大きさが足りなかった。
あとでマジリックに調整してもらおう。
「分かりました。では、姫様から順に作っていきますね!よろしくお伝えください!」
『 はーい、ありがとうねー 』
ばたんと、扉がしまった。
さて、と。
『ウィル様…』
背後のメナードの視線が痛い。
こりゃしばらく休みは返上だな…。
「よ、よーし!がんばろっと!!」
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