第65話 姫様!!
『ウィル様、一段と気合いが入ってますね』
『そりゃー姫様がくるんだもんよ』
『見てみろ、あれ。メナードも浮かれまくってやがる』
グロウ、ヒウロ、ロックの視線の先には気合いの入ったウィルと、同じく全力でウィルの身支度ができると喜んでいるメナード。
慕っている煌竜の、さらにお姫様が来るのだ。
ウィルのテンションが上がらないわけはない。
『おや?マリちゃんさんは?』
『ほんとだ。何処いるんだ?』
いつもならウィルの周囲をメナードとウロウロしているはずなのに見当たらない。
「お待たせしました!!」
バタバタと探していた人物がくる。
おめかししたマリちゃんとクーにリンリン。あの二人がお洒落なんて、珍しい。マリちゃんの影響だな。
マリちゃんがウィルに駆け寄ると、誉められて嬉しそうにしている。女の子だなぁ。
その後、蜥蜴をムシャムシャしていたわたあめがメナードに怒られグズッたところに大福とアヴァロンが集合。
これで参加すると主張したみんなが揃ったわけだ。
『! 来たな』
防衛ラインのセンサーに引っ掛かる。
その方向を見れば、光輝く魔力の塊がこちらへとやって来ていた。
煌竜様の姫様、煌竜様の姫様、姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫
『ウィルさま、ほら、すってー』
すぅー!
『はいてー』
はぁー!
『落ち着きましたか?』
興奮しすぎて過呼吸になる僕のカウンセラー要員メナードに落ち着かせてもらったが、またまだ興奮は冷めやまない。
これは僕が気絶しないための処置だ。
こんなにも色んな鎮静化の魔法を掛けているのに全く聞かないなんて、本当に姫様は凄い方だ。
『 うーぃーるー!! 』
姫様の声だ!!!!
視線を向ければ艶やかな美しい体躯、フワフワモフモフの天国を具現化したような愛らしい生物。
え、待ってください。色が…。
白銀になってらっしゃるるうううつう!!!!???
『ウィル様どうどう!!!』
『お師匠!!深呼吸!!深呼吸してください!!!』
『ヤバイぞ!!ロック手伝え!!!』
『主様落ち着いてください!!』
ああ…、もう僕、あまりの美しさに昇天しそうです…。
手を組み、思わず成仏しそうになったところをマリちゃんの両頬パァン!!で我に帰った。
え、凄いマリちゃん。
覚醒の上級魔法をいつ覚えたの?
ようやく少し冷静になって姫様をきちんと見ることができた。
安眠期を経た姫様は少し容姿が変わっていた。
色は白銀に、角は途中から透明に変わり、鱗は太陽の光を受けてキラキラと輝いて、体の周りに虹が掛かっている。
いや、むしろあれは御幸だ。
おお女神よ、だ。
『あれー?気絶するかと思ったのに、耐えちゃった』
「ゴルダー、酷いぞぉ」
姫様の後ろに居たゴルダに頬を膨らませた。
『じゃあ、ルアーシャあとで』
『うん!』
ゴルダが離れていく。
道案内だったようだ。そうだよなぁ、あの土地から浮上しちゃったし、迷子になったら大変だ。
姫様、ルアーシャが舞い降りる。
花の香り。
その香りにマリちゃんもほうと吐息を漏らした。
優雅に敬礼する。
「姫様ご機嫌麗しゅう。安眠期には容姿の変化を選んだのですね。以前の色彩も美しかったですが、此度の色も思わず天に召されるほどによくお似合いです美しいですありがとうございます」
『ふふふ、うるわしゅー!相変わらず後半何いっているのか分からなくなるけど、ウィルも元気そうでよかった。でもね、』
ふわりと地面に降り立ったルアーシャが輝き、僕へと飛び掛かる。
さすがの僕でもビックリだ。
受け止められるかな?隣にマリちゃんいるし、怪我させたら大変。
『変わったのはそれだけじゃないの』
白い布が広がり、次の瞬間には麗しい女性に変わって、僕の広げた腕の中に飛び込んできていた。
え?え??
まって???そんなことあるの???
腕のなかに収まった女性が僕を見上げて笑顔で言った。
『これで色んな事が共有できるよ!嬉しいね!!』
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