第18話 はじめてのおつかい-②

おばちゃんに案内されてぎゅーにゅー屋さんでぎゅーにゅー買って、はちみつ屋さんではちみつ買って、今粉屋さんにいる。


『………こんなにたくさん…』

『どれだろう』


見渡す限りの粉の瓶が並んでる。

文字がわからない。


『……………文字のべんきょーいらないっていったけど。いるね』

『ダイフクわかった。人間の文字は読めた方がいい』

『わたあめこれからべんきょーする』

『ダイフクもする』


とにかくこの難所をのりきらねば。


「おじょーさん達、何を探してるの?」

『お?』


店員さんのおにーさんが来た。


「良かったら探してあげるよ」

『ほんと!?』

『わたあめ、さっきのメモ!メモ!』

『まってまって。えーと、………あれ?』


わたあめが全てのポケットをひっくり返して探したけど見付からない。

サーッと頭が冷たくなる。


『………………どっかいっちゃった』

『どうしよ…』


これじゃあなんの粉かわからない。


「え?これ渡してほしいって?分かったわ。

ねぇ、ねぇ、猫のお嬢ちゃん達」


おばちゃんが何かを渡してきた。

ちょっと泣きそうだったけど、我慢して何かを受け取った。


『わ!わたあめ!!メモ!メモみつけた!!』

『よかった!!!これでメナードに怒られない!!!』

『読んで!はやくはやく!!』


メモを読む。


『はくりきことべえきんぐぱうだー!!』

『はくりきことべえきんぐぱうだーだ!!ありますか!?』

「ははは、あるよ。ちょっと待ってね」


おにーさんが粉を袋に入れてくれている。


『…? ばたー?書いてたっけ?』

『わかんない。書いてかなぁ?いっか。バターと、あ!たまごもだ!!』

『忘れてた!!』


おにーさんが袋を二つ持ってきた。


「どうぞ。持てるかい?」

『持てる!』


一人ひとつずつ袋を持つと、横掛け鞄に入れる。


「ウィルさんの袖の収納量おかしいけど、この鞄も凄いね…」

「実はこの中に牛乳一樽とはちみつの壷も入ってるの」

「魔法って凄いですね」

「ねぇー、欲しいわよね」


ちゃんとボタンを閉めて、メモを見る。


次はたまごだ。


『たまごとバターはどこですか?』


わたあめがおばちゃんに訊ねた。


「すぐそこよ」

『たっまごとバータアー!』

『たっまごとバータアー!』


るんるんとスキップしながらたまご屋さんとバター屋さんに行って全部手に入れた。


『おつかいできた!!』

『できたー!!』


手を繋いでジャンプしながら喜ぶ。

グロウは一人でおつかいできないと一人前じゃないって言ってたけど、もうダイフクもわたあめも一人前だもんね!


「ほらほら、おうちに帰るまでがおつかいよ」


おばちゃんの言葉に衝撃を受けた。


『おうちに帰るまでが…』

『おつかい…っ!?』

「そーよー」


そうか、じゃあまだおつかいが終わってないのか。


『わたあめ急いで帰ろう!!』

『そうしよう!!』


ばたばたと門の所まで戻ってくる。

あ!忘れてた!


ついてきたおばちゃんに向き直る。


『せーのっ!』

『『ありがとーございました!!』』


ペコリとお辞儀。

お礼はしないといけない。


おばちゃんが吃驚していたけど、ほわりと頬を赤くして微笑んだ。


「どういたしまして。気を付けて帰るのよ」

『うん!』

『きをつける!』


門を通り、門番にぺこり。


『お邪魔しました!!』

『ました!!』


よし!羽出しおーけー!


『わたあめ、て!』

『ん!』


わたあめの手を掴み、空へと飛んだ。

急いで気を付けて帰ろう!!

おやつの時間までに!!










鞄から買ってきたものを取り出して机に置いた。


『うん。良くできました』


メナードが頭を撫でてくれた。


『誉められた』

『すごく嬉しい』


フライパンを取り出し、メナードが笑顔で言った。


『では、これでホットケーキを作りますので、あそこでロックの手伝いをしておいで。夜は猪鍋ですよ』


指差した場所で、ウィルとロックが二人で仕留めた猪を解体していた。


猪鍋は美味しい。楽しみ。

でもその前にホットケーキ!!


お手伝いしている間にホットケーキが完成し、みんなで美味しく食べた。


『もうおつかいできる!』

『一人前!!』

『二人だから二人前だあー!!』









はじめてのおつかい、完。

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