第17話 はじめてのおつかい-①

こんにちは!

ダイフクとわたあめです!

今日はね、二人でお使いに来ています!


『きもちーねー』

『ねー!』


背中にある大きな翼を広げると、風の精霊さんがたくさん風をくれるので飛ぶのが楽しい。

両手で持ってるわたあめも体重をとても軽くしてくれているから楽チン。


いつもは猫の姿なんだけど、今日は新しいお洋服だから人の姿なんだ。ウィルとおそろい。


『なに買うんだっけー?』

『えっとね』


わたあめがメナードに渡された紙を取り出した。


『はくりきこと、べえきんぐぱうだーと、たまごと、ぎゅーにゅーと、はちみつ!』

『ダイフクはちみつ好き!!』

『わたあめも!!』


黄色い甘い花の蜜。

直接舐めたら怒られるけど、今日はたくさん食べていいって言われた。

楽しみだなぁー!


たくさん飛んで、ウィルの言っていた町が見えてきた。


『わたあめ喉乾いたぁ』

『お水飲んでから行く?』

『うん』


一旦近くの森に降りて水を飲む。

魔力は少ないけど、喉の乾きは無くなった。


『ねぇねぇ、ダイフク』

『なにー?』

『あれ』

『ん?』


わたあめが指差す方向を見ると大きな猪がいた。

鼻から蒸気出して怒っている。


『『わぁ』』












わたあめのお腹が膨らんでいる。

ちょっと体重増えたから飛ぶのが大変。


『食べてないよね』

『食べてないよ』

『ほんと?』

『ほんと』

『つまみ食いもしてないよね?』

『…………………ちょっとした』

『おやつ前なのにメナードに怒られちゃうよ』


もー、ダイフクも一緒に怒られるのに。


『みてみて!門が見えてきた!』

『話そらすー』


でもわたあめの言う通り街の門が見えてきた。

たしか門の前で降りないといけないんだったっけ。


『おりるよー』

『うん』


地面に無事着地。

わたあめのお腹もへっこんで、元の姿に戻ってる。


門番さんがびっくりして細い棒を持っている。

なんだっけ?なんか出すんだよね。

あれ?どれだっけ?


『ダイフク、これだよ』

『あった!ありがとー』


横掛け鞄から許可書と使い魔の認定印を取り出す。

認定印は首から下げて、わたあめと手を繋いで門へと歩いていく。


『わたあめいくよ』

『うん、せーの』


二人揃って。


『『こんにちわ!』』


ウィルとメナードに挨拶は大事だよと教わった。


すると、きちんと挨拶できたからなのか門番さんが棒をおろしてしゃがんできた。


「君たちはもしかして大魔術師、ウィル・ザートソンのところの子かな?」

『うん!そうだよ!』

『これ見せてって言われた!』


許可書と認定印を見せる。

すると、門番さんはにっこり笑って立ち上がった。


「ようこそ、レディ達。ゆっくりお使いしておいで」


そして門へと道案内してくれた。


『レディだって!』

『初めて言われた!嬉しいね!』

『嬉しい!』


バイバイと手を振ると、門番達は見えなくなるまで手を振ってくれた。

良い人間だ。

心も綺麗な臭いがする。


「ミミ付き尾付きは珍しいねぇ、何処の子だい?」


おばちゃんがやって来た。

甘い良い臭い。


『ウィルー』

『ウィルんとこ!』

「あらあらウィルさんの所の子かい!どこ行くの?」

『食べ物やさん?』

『違うよ!粉屋さんとはちみつ屋さん!と、えと』


なんだっけ?えーと。あ!


『ぎゅーにゅー屋さん!』

「たくさん買うんだねぇ。お店の場所は分かるのかい?」


聞くの忘れてた。

わたあめも首を横に振ってる。


『わかんない』

「あらあらウィルさんもうっかり屋さんねぇ。よし!おばちゃんが案内してあげよう!」

『ありがとー!』

『ありがとう!』


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