第33話 そして神は居なくなった

 結局神様像と意思の疎通が出来るのは判明したんだけど、チート下さいって祈ったらポワーンが二回、つまりノーだ、よろしい戦争だ。


 神様像を見て祈る、何を?だってチートもくれないのに、神様への祈りの意味は?世界平和てすか?ポワーン一回…よろしい。



「きゃんー!」へいわになーれ!


 マジカルなんとか風に言ってみた、二回のお返事、疎通出来てる!?コレ!


 言い方が気に食わないみたいだ、しょうがねーなー真面目に祈るよ、世界平和万歳!


 ノーのお返事、おん?戦争か?犬と木彫りの像の戦争とか、だからなんだよ…はいはい、真面目に祈るよちゃんと、世界が平和であれ、世界が平和であれ、せかいが…


 …相変わらず神様像はポワーン二回を繰り返す、ですよねー?


 今、木彫りの神様像はルルさんに咥えられている、ガリガリ音がするのを横目に、さーせん俺じゃ止められないんっす、と謝る。


 ルルさんはどうやら光る木が気にいってしまった様で、犬用ボーンのようにガリガリされている、止めて欲しくてノーノーしているようだが、生憎俺にはチートが有りませんで、ルルさんとはお話できないんすよーしょーがないっす!



(分かりました!分かりましたから!止めて下さいー!)


 ハッ!これは神様の声?ふ、ふつー…


(いやーっ!折らないで!お願いします止めてくださいっ!)


 ああ、木彫りの俺の神様像の足が折れそう。


(こ、この子とお話出来るようにしますっ!)


 えー?それだけ?だってお願いは世界平和だって言ったじゃん?動物と話せてもしょうがなくないー?


(ぐぅっ!そ、それも有ります!でもっ動物ともお話しはしたかったんでしょう!?)


 神様がぐぅ言うた…そろそろ本格的に折れそう、いいんじゃない?世界平和で。


(あうっ!ではっ貴方の欲しいと思うチートを思い浮かべてっ!早く!)


 んーそうだな、でもさ、いきなり欲しいの考えてって、チートにも色々種類があるから考える時間が欲しいです。


(わかったわよっ!!召喚して来られた人達が願うチートでいいですよねっ?ねっ!)


 あ、じゃあその辺で適当にお願いしまーっす。あざっす!


 と、その瞬間俺の体が眩しい程に輝いた!おおっ?な、なんだ?ビビるわー。


 ルルさんが眩しく光る俺をポカーンと見る、どうやらガリガリの気は逸らせたようだ。


(はいっ!チート投入っ!早く止めさせて下さいっお話しできるはずですからーっ!)


 マジか?どうやって?吠えて通じるの?


(ねっ念話で出来ます!)


 おー!念話!ルルさんとお話し出来るのね


((ルルさんー?俺の声聞こえてますか?))


 俺が念じてルルさんに話しかけた瞬間、びっくりしたんだろう、目を見開いて俺を見て…




 バキッ(ぁっ!)


 その瞬間から俺の神は喋る事も光る事もないただの真っ二つに割れたただの木彫りの像となった、南無ー。


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