第25話 帰ろう
あの後かなり話し込んでた様だが、俺は脱力的な精神疲労でぐっすりと寝てしまった、目が覚めた時には既にセリのおっさんのお店の住居で気持ちのいい毛布で爆睡、起きたら翌日の朝だった、流石に寝すぎた。
ドアをカリカリして誰か来ないか、お腹空いたー、ご飯ー頂戴ー。
階段を上がってくる足音、おっさんじゃない、少しドアから離れて様子見。
「あらあら、起きたのねー?よく寝てたのよ」
げ!俺の系を刈る発言女だ!じりじり下がるこういう奴は何するか分からんっ
「あれ?何で逃げるの?お腹空いてない?ご飯持ってきましたよー」
匂いで分かっていたが…うー
「あやや、何か嫌われちゃったかな?ごめんね、刈るとか本当に嘘よ?おいでー」
ぬぬっ特殊な態度をとりおってからに、仕方ない腹へった。
食欲に負けてガツガツ食べているが、女は戻らないで食事風景を見ている、やめたもれ、離れろやい!べ、別に怖いとかねーし!
「うーん、やっぱり可愛いなぁーセリさんに貰えないかお願いしようかな…」
遠慮しますんで勘弁してくだせぇ
食べ終わる頃に別の足音、これは救世主!
「どうでした?おや良かったですあんまりにも起きないので少し心配しましたよ?」
おっさーん!ささっと足元に避難
「セリさん、この子私に貰えません?大事にしますよー?」
「駄目ですよ、お気持ちは分かりますが、仕事に戻りなさい?減給しますよ?」
「うげっ!すいません、直ぐにもどります!」
おっさんやるじゃん
慌てて女が階段を降りていく足音を聞きながらおっさんを見上げる、千代さんから色々聞いただろう少しドキドキしている。
「お昼前にはここを出ましょうか、きゅーちゃんさんも早くメグちゃんに逢いたいでしょう?お土産物も一杯持ってかえりましょうね?」
おおーおっさん、本当にあんたええ奴や!
馬車の荷台には確かに此処に来るより大分荷物が増えている、全部お土産物かなー?
「では、行ってきますね、お店宜しくお願いします」
「セリさん行ってらっしゃい、ご無事で」
あの女は居なかった、他の店員さんに見送られながら馬車は走る。
此処に来る道中結構暇だったからな、千代さんに言われた通り神様に話しかけてみよう、届けっ!俺の想いっ!とか馬鹿な事を考えていたらセリのおっさんが真剣な声色で俺に話しかけてきた。
「実はきゅーちゃんさんに初めて会った時、私は巫女様からはぐれて落ちた愛し子の話を聞いていたんです、犬の神様と言うので少し疑っていたんですよ?」
そうなの?
「初めに見たときはまだ子犬だから関係ないだろうと思ったんですが、メグちゃんが成犬と言うのでもしかしたら、と思い王都に帰った時事情を知る宰相様と巫女様に相談したんです」
「きゅーちゃんさん、不安だったでしょう?叔母さんに万が一を考えて、もしかしたら大事な子かもしれないと、なのでルルさんに協力してもらって王都に連れて行くまで守って貰ったんです」
叔母さんが頑なにルルさんの傍に置かせて、ルルさんも俺を離さずいたのは俺を守る為だった訳だ、何だよ、おっさんの俺ランクうなぎ登りやんけー!泣けるやろー!
「今回の巫女様の話で確信が取れた今はメグちゃんにもちゃんと話さなければいけませんね、驚くかもしれませんがきゅーちゃんさん大丈夫ですよ?こんな事で態度を変える子ではありませんから、安心して飼われて下さい」
うん、ちょと不安だった、もしかしたらそれなりの扱いになって距離が出来てしまうかもと思ったんだ、だからおっさんの言葉信じるぜ
「きゃん!」さんきゅーな!おっさん!
馬を操る邪魔かもしれないが、おっさんの膝の上に乗って思いっきり尻尾ふって嬉しいアピール!サービスだぜっ!すりすりー
所で正式な飼い主は一応メルーさんなんだけどな?あいつ天然だからポロっと言いそうで怖いもんなーあいつだけには内緒にせねば、きっとこの思いは皆満場一致で賛成だろう、天然よ永遠に……
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