第24話 尻拭いの犬神
この世界に来る切っ掛けが勇者召喚の失敗で、別の場所に落ちたのもそのせいで?しかも能力がポンコツ状態なのも失敗の影響で合ってますかね?ば…千代さんや。
「ええ、簡潔に言えば全てが失敗のせいですねぇ、困ったものです」
いや、俺のが困るわ……何か使命があるの?まさか失敗の尻拭いで魔族と戦えと?
「それは有りませんし、無理でしょう?今は何の力も有りませんから、有っても戦いはしませんから安心して下さい」
心の底から安心できないんですけど?
「犬神様の使命としてはまず能力の欠陥を修復しなければいけません、勇者召喚がちゃんと失敗せず成功していればあなたはこの世界に来ることも無かったんですから」
まじか、それ疑問だったんだ、何で俺は犬神に選ばれたんだ?ただのニートだぞ?
「ニートが何か解りませんが、神の判断基準としては日本でお亡くなりになったタイミングですね」
あの、俺ゲームして寝ただけで死んだの?
「残念ながらその様で」
死ぬ理由がしょうもなくて泣ける。
「これからする事はまず全ての生命と意思の疎通が出来る能力を埋める事でしょうか」
あーだから人間の話しか理解が出来なかった訳だ、で、どうしたらいいんで?
「そうですね、本来ならば此処で修行をし、能力を取り戻すというのが一番の近道なのです」
断固拒否っ俺はメグちゃんの飼い犬なんだ!
「みたいですね?でしたらそのメグちゃんと言う方の所で神に祈りを捧げましょう、段々と神の声が聞こえてくるようになれば成功ですよ」
へー簡単そう。
「サボってはいけませんよ?飼い犬生活にうつつを抜かしても能力は戻りませんし、世界のバランスも元に戻りません、歪みのある世界で何が起きるのかさえ私にも判りませんからね?」
うっ、はい……でもでも、仮に全ての能力が埋まったとして何か役目があるんでしょ?
「ありませんよ?」
……あの、それって取り戻す意味がある?
「有ります、要は存在こそが使命ですら」
何か世界観が解らなくなってきた…
「そうですね、簡単に言えば貴方が存在する事でバランスが保たれるのです、召喚の失敗で歪んだ世界を元に戻すのが目的ですからね?先程も言いましたが歪んだ世界というのは危険ですから」
じぁあ西と魔族の戦争って何なの?勇者が必要な事態なんでしょ?
「別段勇者が今必要な訳ではないのですけどね、そこは、あれです、人間ですから?」
何処かの詩人みたいな事を言い出した!
…何か凄い疲れた、早く帰りたいよー!
「ではお話も十分出来た事ですしセリさんにお返ししましょうか、ちゃんとやること覚えてますよね?」
へい、神に祈ります、声よー届け!ですね
「よろしいです、では参りましょうか」
応接間に入るとおっさんと、おじさんが中々仲良くお話をしている所だった、そういえば色々あっておっさんの正体が気になって居たのを忘れてた、此処には千代さんも居ることだし聞いてみようかな。
「きゃん?」セリのおっさんってかなりの有名人なの?
「あら?知らないのですか?」
うん、だって話出来ないし……
「ああ、そうでしたね、申し訳ありません」
「おや、お話は終わりましたか?」
「ええ、お待たせして申し訳ありません、犬神様がセリ様が何者かと聞いておられまして」
「おや、私に興味をお持ちとは嬉しいですね」
はよおせーて?
「セリ様は商人をする前まで冒険者として名を馳せておりました、最高ランクのSクラスの凄腕さんでしたのよ?」
うえ、マジ?冒険者辞めたらあんなにふくよかになってしまったのか……
「…そこですか?今はそうですけどそれはとてもお強い方なのですよ、ふふ」
「何やら恥ずかしい事でも言われてますかな?いやはや、もう引退して十年程ですからさすがに全盛期とは言えませんが、きゅーちゃんさんを守れる位には未だに鍛練はしているのですが年は誤魔化せませんでお恥ずかしい」
Sとな、といえばテンプレ的には相当だったのだろう、人は見かけによらないお手本だな
「それで、詳しいお話は聞けるのでしょうか?まだお時間があれば是非」
俺寝てていいですか?色々聞いて精神的に疲れてしもーた。
「犬神様はお休みしたいようですが、寝てて構いませんよ?」
はーい、えんりょなくーぅ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます