第23話 失敗は尻拭いのもと
いきなり犬神様とか言われてもどうしていいかわからん、それに出来損ない感があるじゃんか、人間の言葉は解るのに動物が解らないとか致命的な欠点ですよね?だよね?
「きゃん?」本当に神なの?俺
何となく巫女ばあさんに話しかけてみる、何か話せそうな予感がしたんだ。
「ええ、そうですよ、貴方はちゃんと神です」
「きゃん!?」まじで通じた!
「巫女は神の代弁者ですから解りますよ、何か疑問がある様ですね?」
「ほお犬の言葉が解るか」黙れ宰相
「申し訳ありません、犬神様に大事なお話をしなければいけない事があるので、皆様は此処でお待ちいただけますか」
「ふん、私はそれ程暇ではないからな、後で話を聞こう」
宰相は帰るようだ、さっさと帰れ!お尻を向けて後ろ足でしっしっと。イラッとした顔をして出ていく、ケッ。
「私は残りますね、メグちゃんにお預かりしている身ですし、見知らぬ人ばかりでは不安でしょうし」
おうっおっさんは分かってるぅ、不安ですぅ
もう一人のおじさんも残る様だ、おっさんと仲がいいみたいだな。
「では、部屋を変えましょう私の部屋へどうぞ犬神様」
巫女ばあさんがさっと近づいて来て抱き上げられる早業!あーれーと言う間に部屋を出てしまう、おっおっさーん!
「ふふ、可愛らしいお姿で降りてこられましたね」なんか怖いひ。
巫女ばあさんに連れてこられた部屋は意外にも真っ白な空間とは違って暖色系の懐かしさを感じる、和室っぽい部屋だ、くんくん匂いを嗅いでみるとお香が炊いてあるが優しい匂い、うーん、何故だ?日本を感じる。
「懐かしいですか?」
え?
「私のご先祖様は日本人と言うのです、犬神様はご存じのはずですよね」
日本人は名前じゃないが、え、そうなの?
「きゅん?」巫女ばあさんは何代目なの?
「まぁ、ばあさんは頂けませんね?私、千代と言うのです、せめて千代さん、とお呼びくださいな?」にっこり
はい、申し訳ー……こわっ!
「私で三代目です、名前は一代目から変わらず皆千代と言うのですよ、名前を引き継いで初めて巫女として認められるのです。」
ほお、伝統のようなものかー、でも三代目って意外と浅い家系なんじゃないだろうか?この世界はもっと歴史があるような話してたで、おっさんが。
「歴史ですか、巫女の家系は特殊なんですよ?この世界が出来て神が人間をお作りになってから存在するのです、そして巫女は世界が必要と判断される時まで眠りにつくのです」
気のせい?今俺の心読んだの?
「ええ、読めます、これも巫女の能力ですね、ですが巫女はあくまでも代弁者に過ぎません神の声とその眷属の心の中しか読めません」
でも犬神の俺よりハイスペックじゃねーか!
「犬神様は事情があって今は人間の言葉しか解らないのです、その辺のお話しをしましょう」
「そもそもですね、犬神様が降りて来られる場所は本来であれば此処と決まっているのです、ですが予想外の事態が発生して違う場所に落ちてしまったのです」
予想外の?何があったし?
「西の大陸をご存じですか?」
あー、勇者召喚の国?
「ええ、ハイデルと言う国なのですが今回の勇者召喚を失敗したのが影響したのです」
失敗したんかい!で何で影響があるの?
「世界にはバランスが必要です、一つバランスが崩れてしまえば誤差が生じます、それが今回犬神様が別の場所に落ちてしまった原因です」
神様のわりには万能じゃないのね
「正式に言えば犬神様は神の愛し子、神様の子供の様なものなのです、ですからこの世界の影響を受けてしまったのですよ、勿論神はこの世界の外にいらっしゃるので影響は受けません」
ほー神の子供か、正直「神!」とかだったらもうどうしていいか不安過ぎぃ!だったからちょと安心、でも俺は何でこの世界に来なきゃいけなかったの?世界に一匹的な?
「それも勇者召喚の失敗のせいなんです」
どこまで失敗のケツ拭かなあかんねんっ!
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