第12話 快適な生活がしたい

 メルーさんには困った問題がある、何かと言えば犬の飼い方ですわ、人間と同じ食事と量出されてもね無理なんす、本能が拒否っている、人間だったとしてもお断りしたい!


「んー具合が悪いんですかー?お食事してくださいー困っちゃいますー」


 してやろう、犬の食事出せやー


「環境が変わったせいですかねー?」


 食事のせいです


「病院行きますかー?」


 行かんでいいわ


「じゃあー配達の前に病院いきましょーねー」


 俺が顔を横にフリフリしてるの見てお願い


「えーと?首が痒いーと?」


 痒いというか辛いです


「なるほどー犬と言うのは中々難しい生き物なのですねー?勉強になりますぅー」


 おう、是非とも勉強してください


「じゃあ病院へーいざー」


 家出していいですか?


 首根っこ捕まれて捕獲されたよー、誰か助けてヘルプミィ!






「で?うちは動物の医者なんてやってないんだが、メルー、おまえさんは何で犬を連れて来たんだい?捌いて欲しいのかい?」


 メルーさんもひどいけど医者のババアもひでぇ、冗談に聴こえない世界だよっ


「えー?動物は駄目とは聞いてませんよー?何故無理なんですかー?」


「常識だからだよ」犬だからだよ


 ババアとツッコミが被ったわ、ちよっとメルーさんに常識教えてあげてー!


「取り敢えずね、動物病院行きな」


 あるんですね?何で普通の病院連れてきた


「えー?そんなのがあったんですかー?配達人としては町中知ってますけどー見たことないですー何処ですかー?」


「まぁ動物飼ってるとこも少ないからね、ゼフのジジイがやってるんだよ、看板がないから解らないのもしょうがないけどね」


「なんとゼフさんですかー?普通のおじいさんだと思ってましたーじゃあゼフさんの所へいきましょー」


 ババアの次はジジイかよ、若い医者いないの?後継者不足ですかい、世界が違っても事情は変わらないもんですな、いやはや、はよ行こうや、誤解は早く解くべきだ、正直引き取られて三日まともな飯はメグちゃんの賄い飯位だ、腹減ったよー。


「所できゅーちゃんと言う名前なんですよー?可愛いですよねー抱っこしますかー?」


「きゃん!」はよ行こうって言ってんだろー!


「はいはいー元気なお返事ですねー良くできましたー!」


「元気なら医者必要かね?」


 元気なんだよ!




 


「ここがゼフさんのお家ですー知ってましたかー?意外ですよねー結構気難しそうなお爺さんなんですーでも怖くないから安心してくださいー」


 知らないに決まってるだろがい、何でこんなにメルーさんにツッコミせなあかんの


「ゼフさーんお届け物ですー」


 なんでやねん






「なんじゃ朝早く、今日はなんも頼んでおらんぞ」


 あわー、頑固ジジイのお手本みたいなの出てきた、怒らせないようにしないとな。


「あー間違えましたーつい癖でー」


「ええわ、はよ用事言わんかい」


「はいー、実はですねー……


「まず家に入ってからにせい」


 せやな




 家の中は普通だな、本当に動物病院?


「で、何の用じゃ犬なんぞ連れて、獲物か?」


 何でこの世界の人動物イコール獲物扱いなの?怖いんですけど。


「いいえー?実は犬を飼うことになりましてーどうも具合が悪い様なんですー」


 俺はびょうに…病犬じゃないアピールでキリッとお座りして尻尾もユラユラ揺らして元気なのを態度で示してみる。


「…元気そうだがの?」


 はい、元気です


「でもーお家に来てからー?三日程ほとんどご飯食べてくれないんですーだから病気だと思うんですー」


「ほう、食欲がないと」


 あります、ペコペコです


 ゼフのジジイが目やら口の中やら調べる、次は体をわさわさ調べる、医者っぽい、って医者か、あうあうー!ベロ引っ張らないでー!


「ふん、別段異常はなさそうだが?ちなみに食事は何を与えてるんじゃ?」


「もちろん私と同じ食事ですよー?」


 ゼフジジイが黙った、理解したんだろう


「メルーよ、犬はな体も小さいし人間の食事は味付けも濃いからの、普通は塩分を抑えた食べ物にするのが常識なんじゃよ」


 せやな


「えーっそうなんですかー?じゃあ病気じゃないんですかー?」


 コクコク、頷いてみる


「そうじゃな、賢い犬の様だが、縦に首をふっておる、なんぞ人間の言葉を理解してるんじゃないのか?」


「あららー?これそういう意味なんですかー首が痒いのかとー」


「お前さん……動物飼って大丈夫なんか心配になるわい、飼うならちゃんと調べないかんわ」


 せや、教えてたもれ、このままじゃ俺飢えで死んじゃうー。

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