第9話 飼い犬生活の始まり
あれから正式にメルーさんの飼い犬になった訳だが、メルーさんは言っていた通り忙しいようだ。朝六時に起床、朝食をモリモリ食べていた、配達人と言う仕事上なのか種族属性なのかドン引きする程の量をな。
ついでに俺の朝食も用意してくれたが何故に同じ量を食べると思ったのか謎だが、一口食べて拒否った、朝にカツ丼と唐揚げ、カレーという飲み物を出された様なもんだ勘弁して欲しい。
一時間後、配達のついでの荷物と共に馬車でメグちゃんの家、もとい食堂へ運ばれる。その間馬車の隙間から顔を出して町を観察してみたが、やはり町並みは洋風な感じだ、異世界と言うより海外旅行に来た気分になる。
気になったのはルルさんの様なモンスターが町に普通に居るのかと思ったのだが、まるで見掛けない、ルルさんはイレギュラー的な存在なのか?朝が早いから見掛けないだけなのか、猫すら居ない、犬を見かけたら意思の疎通が出来るのか試したかったのに残念だ。
メグちゃんが裏口で輝かしい笑顔でお迎えしてくれる、仕事の時間まで少しだが頭を撫でてくれたり体をもふもふわしゃわしゃされて過ごす、中身は三十路のおっさんだからな、身体中撫でられるのは何だか恥ずかしかったがメグちゃんは中々のテクニシャンの様で気が付いたらへそ天状態になっていた…。
ルルさんまでへそ天なのには驚いたが
店の仕込みの時間になると叔母さんがメグちゃんを呼んで行ってしまうと裏庭にはルルさんと俺だけになる、そしてのそっと近づいて来たルルさんに囲い込まれる、今までもそうだったが何故に?
母性本能ですか?ルルさんがメスかオスか解らないが…?犬になったからなのかあんまりじっとさせられると辛いのだ、走りたい欲求が出てきて困る。
少しだけ慣れたとは言え、三メートル級のルルさんに完全に全てを任せてリラックスするのはまだ無理、そろそろ離して欲しいなーという視線をしてみるが二つの頭はガン無視して寝ております、起こすのがこわひ。
神様居ないの?マジ意思の疎通したいんです
一時間程すると開店の時間だろうか、表に人の気配がする、この世界で目が覚めてまだ俺は四人の人間としかほぼまともに会っていないのだ、これもどうにかして他の人間とも交流をしてみたい。
と、考えながらうつらうつらしていると聞き慣れない足音が此方に近づいてくるのを察知!
犬だけに気配や足音には敏感になっている、これは知らない気配だ、誰だろう?
ルルさんがのそっと顔を上げるとそちらをじっと見つめている、警戒した様子がないので知り合いなのかもしれない。
店側の裏口から男が出てきた、五人目の人間は何かチャラそうな二十代位のイケメン風…
「お?居た居たルル、と新しいペットの…チビッ子?まじチビすぎー!」
けらけら指差して笑ってきたわ腹立つ。
可愛い俺に出来る精一杯の威嚇をしてみる!
「きゃん!きゃん!」
てめぇ!なめてんのかごらぁ!やったろかぁ?おん?
「おーおー?一丁前に威嚇か?元気いいな!」
変わらずけらけら笑ってくるわ!ぐぅおこ!
「ザイルさん!きゅーちゃん苛めないでっ」
メグちゃん!こいつ腹立つ!ルルさんに襲わせよう?グロ注意タグいれたろーぜ!
裏口からメグちゃんがイケメン風におこ、誰こいつ、知り合いなの?知り合わなくていいわ!あっちいけ!
ルルさんに囲まれて満足に動けないが一生懸命威嚇する、ルルさんは普段と変わらず男を静かに見ている。
「メグちゃんわりぃー話で聞いた以上にちびで驚いたわーなにこれ犬?まじかー」
ぐぬぬっ喋れないのがぐやじぃ!地面をてしてし叩く!
「それ以上きゅーちゃん馬鹿にすると叔母さんに出禁にしてもらうからっ!」
「あっはい、すいません…」
弱っ!ルルさんといいどんだけ叔母さん怖いの?
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