第7話 危機一髪?

 ん?売る?俺を?うえぇっ!?


 行商人の言葉に思わず呆然とするが、メグちゃんも突然の提案に呆然としている様だ。


「悪い話じゃないと思うんですよ、借金だってまだまだあるでしょう?たかが一匹、されど一匹、お金が全く掛からない訳でもないだろうですし、叔母さんにも多少なり恩返し出来るだでしょう?」


 叔母さんに恩返し?って事はメグちゃんに借金があるのか?まだ数十歳なのに?


「で、でもっ食事は賄いで済むし少食だからそこまでお金が掛かる訳じゃないしっ…!」


 俺を抱く腕に力が籠る、少し息苦しいけど我慢する、だって異世界に来て最初に会った人間でもあるし、数日しか過ごしてないものの俺を可愛がってくれるのが心地よくって、って俺は我が儘だろうか?


「可愛いのは分かります、でも服だってまともに買えていないでしょう?お小遣いだって微々たるものですし、私も買って売るにしてもちゃんとその子を可愛がってくれる所に売れるように配慮はします、メグちゃんとは産まれたときからの付き合いですしね?」


「それに、その子が怪我や病気になった時は?出せるお金はないでしょう?」


 メグちゃんがハッとするのを感じる、そうか俺もそこまて考えて無かったな、医療技術がどうなのかもさえこの世界の事知らないし借金まであるようだ、俺のせいで余計苦労してしまうのか、ペットとか飼った事ないからそういう部分、理解が足りなかったな。


 小刻みに震え出した小さな腕の中で考える、俺は犬になったからって中身は三十路のニートだ、小さな少女に借金を増やしてまで飼わせるなんてないわーうん、俺ほんと馬鹿野郎だ。


 メグちゃんの腕の中でちょいともがいてみる、いいんだって、おっさんだって悪い奴じゃないだろう、良いとこで飼われるんだ文句はない。


 もがいてみるが俺が非力過ぎて抜け出せない、おっさん何とかして、と目で訴えてみる


「メグちゃん…」


「わたし頑張るっ!もっとがんばって働くのっ!だからっだからっ……」


 俺なんかの為にそんな頑張る必要ないって、ほらおっさんも困った顔してるだろう?きっとそれが最善の策なんだ。


 メグちゃんは俺を離す様子もないし、おっさんも無理矢理引き離す事もなく、じっと見ている、沈黙が痛い。






「あのーすいませんーお話し中失礼しますー」


 どこか気の抜けるような声がおっさんの後ろから聞こえて来た、この声は配達人のメルーさんだ、何故に其処に居るし。


「っあ、すみません、メルーさん配達の邪魔でしたか」


 何時から居たのか気がつかなかった、おっさんも後ろのメルーさんに驚いている。


「いいえー?配達は終わりましたーお話聞いてたんですけどーちょといいですかぁー?」


「んっぐっ…め、メルーさっ…」


「あららー可愛いいのにそんな泣いちゃーだめですよー?」


 のんびりと…何か雰囲気ぶち壊した感が


「あのーメグちゃんそのわんちゃん?私にくださいなー?」


 いきなりどうしたし、メグちゃんも驚いてるしどういう事?


「わんちゃんは私が飼いますーでも忙しくて飼う時間があまり取れないのでーその間メグちゃんの所で預かってくださいなー?」


 ん?

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