第5話 この世界の事
昨日は名前に気を取られていて考えが中断したが、今日はこの世界の事を考えよう。
とは言うものの、何処か見知らん裏路地とお店の庭しか見ていないのだからどうしたものか。今日も朝ごはんを食べた後庭に放り出されている、せめて他の人間でも見てみたい、少女や叔母さんとやらは西洋と東洋をミックスさせたような外見をしていて見る限り純粋な人間に見える。
異世界の定番と言えば、エルフだの獣人だのドワーフなどが居る話が多いがこの世界の人類はどうだろうか、観察しようとそうっとお店の中を覗こうと思ったが叔母とやらがやたらと敏感に察知して庭に戻されてしまう。
そして俺の隣に陣取って横になっているルルさんに囲い込まれて俺の体は動けない。叔母に命令でもされたのか?頭が上がらないようだからな…それでいいのんかルルさんよ。
ルルさんの外見には少し慣れた様な気がする、相変わらず二つの顔は怖い顔をしているが昨日の叱られてて項垂れている姿を見て不憫に思えてしまった。
そんなルルさんを思い出してホロッとしていたところで。
「お邪魔しますーお荷物お届けに来たよー?」
ぬっ?何者かが挨拶をしながら裏庭にやって来た、二十歳そこそこの女性だが、なんと耳が違う!所謂獣人ではないか?ケモミミは存在するのか!これはエルフやドワーフが居る可能性が出て来たな。
少女メグちゃんが裏庭に面したお店の裏口から顔を出す、裏裏ややこしい。
「おはよう!メルーさん、お荷物の配達ご苦労様です!」
ケモミミ女性はメルーと言うのか、メリーさんと似た響きだ、ぁ…考えるのはやめよう。
「あれー?何か見慣れない子が居るー?」
ルルさんに囲われている俺を見て言う、何か綺麗なお姉さん系だが喋りがのんびりしている
「そうなの!昨日ルルが見つけた子なの!」
大きな箱を抱えたメルーさんとやらが近づいて来る、中身は食材のようだ、重そうなのに足どりは軽い、力持ちなんだなケモミミ特性か?
「そうだ、メルーさん色々なところで配達してるでしょ?この子の飼い主探してるんだけど見たことない?」
飼い主何ぞ居ないが喋れないので誤解も解けない。
「んー?んーんーもふっとした子だねー赤ちゃんかなー?」
「分からないの、ても体は小さいけど歯は生えてたよ?」
確かに歯はあるし確認も無理矢理されたが俺は小さくてもふっとしたわんこなんですか?ルルさん位は大きくなるのかな?三メートルの犬とか眺めはよさそうだが大きくなると捨てられるリスクが……
「んーこの町では見た事ないかなー?外からの迷子かもー?」
なるほど、ここは町の規模なのか、情報ゲットだぜ、やはり外も気になるな、やっぱりモンスターとか出るのか?ルルさんみたいな、出たら俺余裕で死ねるが。
「そっかー、メルーさんでも解んないか、迷子だったら可哀想だし飼い主さん見つかるといいんだけど、こんな可愛い子捨てるなんて考えたくないし…」
やべぇ、俺は激プリか、モテるおと、犬だな
「んーそうだー来週セリさん来るでしよー?その時聞いてみればどうー?」
新しい名前が出て来たな。
「あっ!そうか、来週だっけ、王都のセリさんなら色んな国行ってる物知りさんだもんね!なら知ってるかも?」
王都!異世界感のあるお名前!近いのかな?色々な国を巡っているのか、色々聞いてみたいが…喋られないのが悲しいです。
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