第4話 これからの事を考えてみよう
ルルさんに転がされ酔って気絶した後、気がついたら翌日になっていた、夢オチの願いは儚くも叶わなかった、よく寝てたね、とか言われてもぉ、白目向いてませんでした?
さて、俺はこれからの事を真剣に考えないといけないようだ、取り敢えず衣食住には今のところ困らない、服は着てないが。大きくなったら捨てられる可能性も出てきたし。
知りたい事は色々ある、まず一番大事なのは俺は本当に純粋な犬なのか?恐らくここは異世界だ、転生は一から生まれ変わりだろう、だが離乳食のご飯じゃなかった、口を無理矢理むにっと開けさせたのはイジメじゃなく歯の様子を観察するためだった、もしかしたらわんぱく少女かもしれないと、少なからずも警戒はしていたからな。
ならば転移?いや、俺の生前は人間だった、詳細を言うならばただのニートだった、上司からお前気に入らない、とかそれだけの理由で苛められ病んで三十三才でヒッキーに、何時ものようにネトゲで現実逃避という遊びをし、酒を飲んで寝た、覚えてるのはそこまでだ。
気がついたらこの世界に居て、ラノベでよくある神様にチート貰って、なんて事スルーしてだ、救いは人間の言葉が解ることだろうか?ルルさんと意思の疎通が出来ないのは考えてみれば微妙な問題だ、なんせ人間だった時に動物と話せた訳じゃないしなーでもこっちの人間の言葉が解るのが謎い。
ルルさんは明らかに俺が読んでたラノベ世界で言うならば魔物、魔獣、モンスターみたいな分類だろう、ただしこの世界には普通の犬も存在するのは叔母さんという人が言っていたのだから存在はするのだろう、同士に会ってみたい
ルルさんと意思の疎通が出来ないのは種族が違うからかもしれないしな。
「わんちゃん?どうしたの?ご飯たべないの?おいしくなかったかな?」
メグと言う名の少女に声を掛けられてはっとする、そうだ今は朝食の時間だった。ご飯は人間の賄い飯を薄味にしたものの様だ、犬の舌になったからだろうか薄味でもそこそこイケる飯だ、食堂の子に拾われたのはラッキーだったかもしれない、野良になってしまえば生きていけそうにない。
「きゃん!」おいしいよ!
意思の疎通は出来ないが何となく気持ちを伝えられるような鳴き方を心得よう。尻尾も自分では気がつかない間にふふりと揺れていた。
「おいしい?良かったー」
ニッコリ笑顔、昨日も思ったが笑顔がナイスな少女である、将来は明るそうだ。
ガツガツご飯を食べていると
「そういえば、名前まだだったよね?何がいいかなー?」
おお、そうだ名前ね、カッコいいのでお願いします、マスタングとかどーよ?と念じてみる。
「そーだなー、ギュンとかどう?」
ギュン…ですか、何故だ?理由を是非、何か俺がぎゅん的な行動や仕草をしていたなら直すから!!
俺の心の声が通じたのか?ただ単に全身で否定しているからか、耳とか気がつかないうちにヘナッとしてたり頭が項垂れてたり、犬は分かりやすくて便利だな。
「あれ、気に入らない?きゅんか、きゃんか、ぎゅんか迷ったんだけど」
鳴き声ですやん、ぎゅんなんて鳴いたおぼえないんですけど!?
うむうむと考えてるようだが、あまり期待出来そうにない事は解った。
「あ!じゃーね、きゅーちゃん!どう?」
満面の笑みが眩しいてす、由来だとか意味とかなさそうな、だが理由も気になる微妙な所を突いてくる少女だ、が何だかこのまま続けるともっと酷くなっていきそうだ、今!早めに止めなければ!
「きゃん!」それでええでー!
一応伝わるように尻尾をわさわさ振って嬉しいアピール。
「気に入ってくれた!じゃあ今日からきゅーちゃんね!」
放っておいて他の候補も聞いてみたい気がするが、ルルさんの由来が見つけた時ルルルーって歌っててねー、と話していたので、恐らく懸命な判断だろう。
何かを真剣に考えていたような気がするが
なんだったっけ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます